初めての本。感謝を込めて。
人が生きるってのがここにあって
人が人のことを想うってのがここにある。
花見をして家に帰って大往生のおばあちゃんが亡くなったあの日、あの時
自分の中で何かが弾けた。「この人を忘れたくない」
訪問入浴の時に述べ100人以上の最期に関わってきたが
フルネームと思い出の両方を言えるのはほんの一握りの人だけだ。
弾けた何かを拾い集めるように自分の心に聞いた
「今、自分は何ができるのか?」
答えはこんなメールで残っている。(個人情報のため一部修正あり)
施設長である社長にメールした内容
◯◯さんの現状(徐々に最期に近づいている姿。生きている様子)に何か我々(とりあえず介護職員)からできないかと話し合い、施設に来てから残る◯◯さんの写真を手作りアルバムにしてお嫁さんへプレゼントしたいと思っています。構成などは明日、話し合い進めていければと思っています。作成にはお金が多少かかります(写真の現像代、アルバム購入代など)それでも今までの◯◯さんから頂きたものに比べれば微々たるものかと思います。よろしければこのままアルバム作り進めて行きたいと思うのですが…行ってもよろしいでしょうか。突然のご提案いつもすみません。ご検討して頂けると大変嬉しいです。よろしくお願い致します。
井上
↓
返事は「どんどんやって〜」
(だったと記憶してます。記録が残ってないですが否定的なことは一切なかったのが確実)
無印良品で発売されている「絵本ノート」に写真を貼って
職員から言葉を書いてもらったのが看取り本の走り。
表紙は職員が書いてくれた(ありがとう〜!)
特別なものはなく全てが日常
お風呂上がりの写真やお昼を待つちょっとした時間
自分で手を動かし作る料理、作ったものを一緒に食べる。
お嫁さんとの写真、孫やひ孫が遊びにきた時の写真。
花見の写真、家に帰った写真・・・
最後の2ページは職員からのメッセージ。
思い出はみんな違う。込められる言葉はオンリーワンでナンバーワン。
自分で作ったおやつを食べている写真
家に帰ってお嫁さんと笑顔で写真を撮る
お風呂上がりの何気ない1枚
亡くなるちょっと前の写真。良い顔だった〜
「感謝。感謝。ありがとう」
おばあちゃんの口癖だった。
裏紙に「感謝」と書いた。
ページ数で言ってしまえば14枚。
写真も技術があるものではない。
コピーは万人に刺さるメッセージでもない。
ただ、その人を思うこと。
誰もが旅立ったおばあちゃんを尊敬し敬愛していた。
思い出のつまったこの本を後日、お嫁さんに渡す。