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物書きとマジシャン

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小さいながらも店を構える"師匠"に弟子として日々その後姿をついて行くメルは自分も一人前の商人になりたいと志す。あらゆる知識を吸収するぞと意気込むメルだが、本当に知りたい答えを師匠…
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記事一覧

物書きとマジシャン#44

「大事な話が、なんだかすごく迫力を感じました。」  アレクはすっかり立ち疲れていたのだろ…

物書きとマジシャン#43

 まさか、彼らが同じ商団の仲間になるとは。  正確にはザルツさんが今作っている契約書にサ…

物書きとマジシャン#42

「――では、イリスへ移住をお考えで?」 「ええ、サウスでは居心地が悪くなってまいりまして…

物書きとマジシャン#41

 昼間に商館へ出入りする人間は少なくない。  所属はするものの店を持たない商人が取引相手…

物書きとマジシャン#40

 すっかり寒くなって雪がちらつき始めた。  北と東に大きな山が控えるこの街は、南から少し…

物書きとマジシャン#39

「お、帰ってきたな。 何人か両替希望の客が訪ねてきてたぞ。」  隣のお店のご主人が待って…

物書きとマジシャン#38

「危ない人かと思いましたが普通に良い人でしたね。」  正午はすっかり越えてしまい、陽が傾きつつあるので早々に帰らないと慣れない土地で闇をさまよう事になる。  頼れる場所も知り合いもこの辺りにはいない。  最悪、来た道を戻ってバーナックさんを頼るしかないだろう。しかし、あの小屋で3人が無事に夜を過ごせるとは到底思えない。  この辺りはオオカミも多い上に、ノスの野盗も山には潜んでいるはずだ。 「結局、農家の人とは話が出来ませんでしたね。」  物乞いと思われているのもあ

物書きとマジシャン#37

「傭兵は傭兵さ。 いつだって報酬をたっぷりくれるやつの傭兵だよ。」  はははと笑いながら…

物書きとマジシャン#36

「まあ入んなよ。」  家、というよりは言うように小屋だ。 それも、至る所から木材の切れっ…

物書きとマジシャン#35

「あんたら、こんなところで何してんだ?」  話を聞こうと見かける人たちに静かに声をかける…

物書きとマジシャン#34

「この辺は放棄地が目立ちますね。」  明け方の暗いうちから出発して、メイサとイリスの境目…

物書きとマジシャン#33

「東はともかく、北寄りはリスクがありますね。」  遠征なんかあったら荒らされちゃうしなあ…

物書きとマジシャン#32

「あ、おかえりなさい。 今日は遅かったですね、何かあったのかと思いました。」  ごめんご…

物書きとマジシャン#31

「なあ、最近銀貨と銅貨の回りが悪くてな。 どう思う?」  商館の主、ザルツさんが銀貨を数えながらつぶやく。  店のお金の一部を銀貨で引き出しているところだ。あとは銅貨ももらっておかないと両替に対応できない。  いつも夕方の帰りに寄っていた商館だが、酒場からの帰りの一件があって以来、こうして朝に寄ることにしている。  今まで帰りの方が売り上げの分も増えているからと、何も考えずに夜に回していた作業だが、冷静に考えると大きい取引は証書で行うので、これでもいいかもしれない。