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SaLaD音楽祭〜はじめて音楽に触れたとき~
9月18日(日)、19日(月)の二日間は、東京都交響楽団と東京芸術劇場が連携して開催する、サラダ音楽祭のSNSレポーター隊として、池袋で過ごしました。かわいくセンスのよい、サラダ音楽祭というネーミングは、Sing and Listen and Dance〜歌う!聴く!踊る!というコンセプトを表現しています。
東京芸術劇場のコンサートホールやシアターイースト/ウエスト、各ギャラリーをめいいっぱい使い、さらに野外劇場や周辺の街中でも様々な催しが行われていました。とても心に残る体験だったので、公式ではない個人的なレポートとして、書いておきたいと思います。
「子どものためのオペラ『ゴールド!』」では、白いオブジェが浮かぶ、空の上とも海の中とも思えるシンプルな空間が、語りと歌、パーカッション、そして光と音響の力で、家の中にも、砂浜にも、お城にも、嵐の海にもなることに驚きました。
指一本から始まるダンスをみんなで一緒に考えて、猫になったり、空を飛んだり。都響メンバーのパーカッションに合わせ、思うがままに大人も子どももたくさん笑ってはしゃぎ合った、「コンドルズとLet’sダンス!」
そしてメトロポリタン自由通路での、新国立劇場合唱団メンバーによる声楽アンサンブル。最も身近でシンプルな、声という楽器を使って届けることのできるエネルギーの大きさに心打たれました。
それらの音楽に触れるうち、いつの間にか自分の音楽体験は、知識や経験に邪魔されるようになっていたかも知れない、とふと感じました。
手を叩けば音が出て、足をならせばリズムが取れる、そして声を出せば歌が歌える。身体を思うままに動かせば、やがてそれが踊りにもなる。記憶にないほど小さい頃、私と音楽の関係も、そんな感じだったのでしょう。その感覚を、忘れていたかもしれない。
改めて手元のパンフレットを見返すと、はじめて音楽に触れた頃のような素直でシンプルな衝動を、聴き手の、そして表現者の「今」につなぐために考え抜かれたプログラム群のようにも感じられます。
0歳から入場できる「OK!オーケストラ」やワークショップは、子どもにとっても親しみやすい曲や題材を取り上げており、はじめの音楽体験となった子どももいたことでしょう。大人にとっては自身の音楽との出会いを思い出すきっかけとなったかもしれません。
一方、メインコンサートは、より大きな構造の曲を現代のアーティストの感覚で嚙み砕くことで、原初の音楽体験に引き戻す試みだったようにも感じます。
「都響といっしょに『だれでもピアノ🄬』」は、指一本で鍵盤を押すというプリミティブな行動と本格的なアンサンブルを、最先端の技術でつなぐものです。
感じる心と想像力さえあれば、私たちは色んなことができるはず。時にそれができないのは、難しく考えすぎているだけなのかもしれません。そしてテクノロジーは、想像力の実現を支える道具でなければならない。
それは、音楽に限ったことではないようにも思います。
そんなことを考えた2日間でした。
サラダ音楽祭のレポートは、FBページやTwitterからも読めますよ!
(山平昌子)