割り算の筆算は、なぜ大きい位の数から決めるの?
1 はじめに
小学校で学習する筆算。
そのうち、掛け算と割り算の筆算は、下のように行いますが、なぜ掛け算は一の位から計算するのに対して、割り算は最も大きい位から計算するのでしょうか?
このことについて、説明したいと思い、記事を書きました。
2 割り算の2通りの解釈
割り算には、2通りの解釈があります。
6÷2を例にして、説明します。
・等分する
6を2等分すると、いくつずつに分けられるか(これが商になる)という式の解釈です。
・いくつ入るか
6の中に2がいくつ入るか(これが商になる)という式の解釈です。
この記事では、割り算はこの解釈で進めていきます。
・なぜ2通りの解釈ができるのか
その理由は、乗法の交換法則が成り立つからです。
要は、掛け算の場合、かける順序を入れ替えても、答えは変わらないという法則です。
この法則があるため、割り算は2通りの解釈ができます。
3 割り算の筆算を一の位からやってみる
では、なぜ割り算の筆算は大きい位からやるのか。
あえて、一の位(小さい位)からするとどうなるのか、やってみました。
今回は、173712÷462を例にします。
次のようになりました。
さて、図3を見ると、学校で学習した割り算の筆算に比べて大変だった箇所があります。
それは、次の2つです。
学校で学んだ筆算は、この2つの問題を避けることができます。
4 割り算の筆算のアルゴリズムは割られる数に近づけていっているのだ
では、筆算のアルゴリズムを下に示します。また、その右側には、そのアルゴリズムを不等式と数直線で表現したものを示します。
図5の数直線を見てもらうと分かりますが、このアルゴリズムでは、図4で示した「大変だったこと」は起きません。それは、数直線を見てもらうと、明らかだと思います。
割り算の筆算は、このようなアルゴリズムで商を求めているのです。
5 最後に
この記事を書いていて思うのが、割り算の筆算のアルゴリズムの裏に隠れた根拠を考えると、数学的な考え方が養われると思います。
ぜひ授業でも、取り上げてもらいたいと思います。
また、日本では、割り算の空白の部分があります。(図6)
なぜここにちゃんと数を書かないのでしょうか?
書いた方が、アルゴリズムの意味はわかると思うのですが。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。