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【推し本⑥ 人間の建設】

 こんにちは!
 今回推すのは、【人間の建設】です。
 なんか難しそうですよね(笑)

 この記事を読み終わったときにちょっとでも読みたいと思ってもらえるように推したいと思います。

 最後まで読んでいただけると嬉しいです!!

1 どのような本なのか

 タイトル:人間の建設
  著者 :岡潔、小林秀雄
 出版社 :新潮社

 以下は、本書の裏表紙の紹介文から引用します。

 有り体にいえば雑談である。しかし並の雑談ではない。文系的頭脳の歴史的天才と理系的頭脳の歴史的天才による雑談である。学問、芸術、酒、現代数学、アインシュタイン、俳句、素読、本居宣長、ドストエフスキー、ゴッホ、非ユークリッド幾何学、三角関数、プラトン、理性・・・主題は激しく転回する。そして、その全ての言葉は示唆と普遍性に富む。日本史上最も知的な雑談といえるだろう。

人間の建設 裏表紙

 上述したように、雑談の中で主題はどんどん転回します。ですが、この2
人の知の巨人の雑談は、様々なことを考えさせられます。

 読み始めて数ページ後には、「この本推したい!!」と思い、ここ好きだ!と思えるところに付箋をしていったら、こんなことになってしまいました(笑)

147ページの本に対して付箋の量が・・・

 この付箋を貼ったところから、「特に面白うそうだな」というところを紹介します。

1 無明と学問

  まず、無明とは次のように説明されています。

 人は自己中心に知情意し、感覚し、行為する。その自己中心的な広い意味の行為をしようとする本能を無明という。

人間の建設

 この無明については、キリスト、釈迦、孔子も、「困るものだ」と言っているようです。

 この「無明」を抑えれば(つまり自己中心的さ)、難しいことでもやっていることが面白くなり、学問になってくると書かれています。

 このことは、禅僧良寛が、なぜ雨の音を聞いて名句を作ることができたのかを例にして説明されています。

2 科学的知性の限界

 数学の体系に矛盾がないというためには、まず知的に矛盾がないということを証明し、しかしそれだけではたりない、銘々の数学者がみなその結果に満足できるという感情的な同意を表示しなければ、数学とはいえない

人間の建設

 これは、岡潔さんの発言です。

 なぜこの発言が出たかと言うと、この雑談が行われた時代、数学でこのようなことが行われました。

 一方では「~は存在すると仮定し、もう一方では「~は存在しない」と仮定する。
 この2つの仮定は明らかに矛盾しそうなんですが、数学的な操作を加えると無矛盾だと証明されたのです。

 これは知的には「証明されたから」と言われても、感情では納得できるものではない。それはやる気になれない。

 つまり、知的な学問と見られていた数学にも、感情抜きには情熱はもてないということです。

 ちなみに私が高校数学で感情的に納得できなかったのは、この2つの極限です。

$${\frac{1}{1}+ \frac{1}{2}+ \frac{1}{3}+ \frac{1}{4}+…+ \frac{1}{n}+…=∞}$$
なのに、
$${\frac{1}{1}+ \frac{1}{2}+ \frac{1}{4}+ \frac{1}{8}+…+ \frac{1}{2^n}+…=2}$$

分母の大きくなるスピードがちょっと速いと∞だし、ちょっと遅いと2に収束。

これは直観と反していたので、すぐには納得できませんでした。

3 数学と物理の違い

 物理学者はリアリティを問題にしていますね。
 物理学者の場合、リアリティと言うものは、人があると考えている自然というものの本質ということになりますね。それに相当するものが数学にはありません。
 だから見えない山の姿を少しずつ探していくということですね。
 ある意味では自然をクリエイトするものの立場に立っているわけです。
 クリエイトされた自然を解釈する立場には経っていないのです。

(中略)
 できていく数学を物理では唯一の正しい解釈をさぐり当てようとする手段として使うのでしょう。例えばアインシュタインはリーマンの論文をそのまま使った。そういうことを数学はしない。無いところへ初めて論文を書くのを認める。
 だから木にたとえると、種から杉を育てるということになって、杉から取った材木を組み合わせてものをつくるということはやりません。

人間の建設

  これほど適切に、例えも使って分かりやすく説明された言葉に初めて出会いました。

 数学者は物理学に適応させるために新しい理論を作ったわけではないが、その数学の厳密さを足掛かりにして物理学者は研究するということが、よく分かりました。

4 おわりに

 ここに紹介したのは一部で、まだ他にも面白い内容がたくさんあります!!
 特攻隊の話は、「なるほど。そういう解釈もあるんだ。」と思いました。
 ぜひ読んでみてください!!

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!!


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