数学的な考え方を養う図形授業の提案
1 数学的な考え方とは
2 多角形の内角の和を考える授業において
中学校2年生では、多角形の内角の和の求め方について学習します。
多角形の内角の和を求めるためには、
既習の三角形の内角の和(180°)を利用するために、多角形を三角形に分割する
という考え方を使います。
この考え方を学級全体で共有して生徒に補助線を引かせると、大方下の図のような補助線(青色)を引きます。
ここで、次の発問をします。
(教師)
これらの補助線の引き方で共通していることと、違っていることは何でしょう?
そうすると、次の返答が予想されます。この返答は、数学的な考え方が働いています。(統合的に考えているといえます)
(生徒)
・共通しているのは、補助線で三角形に分けたこと。
・違っているのは、補助線で分けられた三角形の個数。同じ四角形でも、左上の四角形は三角形2つで、左下の四角形は三角形4つに分けられている。
ここで、「他にも共通していることはないか」と問い、もう一歩踏み込みます。
生徒の実態にもよりますが、次のことに気づく生徒がいるはずです。
(生徒)
三角形に分ける線が、1つの点から出ている。
どういうことかというと、以下の図のように、三角形に分割する線が各頂点に向かって1つの始点(赤い丸)から出ているということです。
このように、統合的に考えることができれば、発展させるために次の発問をします。
(教師)
この始点は、図2において上3つとした3の図では、それぞれどこにありますか?
(生徒)
図形の頂点と、図形の中にあります。
(教師)
では、他の位置に始点を移動させたらどうでしょうか?
この発問では、
始点を動点だと考えて、始点を”辺上”と”図形の外”に移動させ、そのときにできる三角形を使って多角形の内角の和を求めることができないか
というように、考えを発展させることを狙います。
図2、図3のように、始点は4つのパターンがありますが、どのパターンでも多角形の内角の和を求めることができます。
このように、ただ単に多角形の内角の和の公式を導いて終わるのではなく、発展させることができます。
3 おわりに
数学の授業では、答えを出して、それの正誤を確認するだけというのではだめです。それだけをしていると、生徒は正誤に価値を置きます。
ですが、学習指導要領に示されている、身に付けさせるべき資質・能力は、正誤だけに価値を置くようには書かれておりません。
答えに行きつくまでの過程が大切です。
その道のりは1つではない、何通りもあるから、他者との話し合いも熱を帯びます。
いかに教師が、答えに行きつくまでの過程を大切にするか、何通りかを想定するか。それが生徒の「数学的な考え方」をする姿勢を身に付ける土壌になるでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。