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図書館司書への道


「いつか、本に関わる仕事がしたい」
これは、小学生のころからの私の夢である。

来年から、介護施設で働くのだが、そんな今から、こんなことを言っているのは、もしかしたら良くないことなのかもしれない。
とは言いつつ、恐らくこの気持ちがきっと無くなることはない。

書店の仕事も、もちろん素敵な仕事だと思っているし、働いてみたいという気持ちもある。
しかし、書店は、お金のやり取りが介在する以上、お金に余裕のある人に本を届ける仕事であると思うところもある。
しかし、図書館は、税金で運営されているため、使えるお金に限りがある、子どもや貧困家庭にも本を届けることが出来る。気軽に本と出会う機会を与える、本当に素晴らしい仕事だ。日本国憲法第25条にある「健康で文化的な最低限度の生活」の中核を担う存在なのではないかと私は考えている。

私も、特に小さいころは、本当に図書館にお世話になった。たくさんの本に出会える貴重な機会をもらった。
読みたい本がたくさんある、図書館は、まさに私にとって宝の山のようなものだった。
小・中学生のころ、上手く友達を作れなかったときも、学校の図書館にいるときは、自分らしくいられたし、私が学校に行く、数少ない理由のひとつだった。
中学生のころ、図書委員であった、何人かの友達のうちのひとりに勧められ、ビブリオバトルに参加したのは、今でも心に残っている。
そのとき、私の熱意が評価され、グループの中で1番になったのだ。そこで、本の魅力を伝えるということに、やり甲斐を感じた。

元より、福祉職公務員も就職の視野に入れていたこともあり、大好きな本と公共施設が掛け合わさった、図書館司書という存在は憧れだった。

時は遡ること、高校2年生。
私は将来どのような仕事に就くのか、考えていた時期、図書館司書を調べたことがある。
図書館司書として働くことは、手順を踏めば叶うが、正社員としての募集や枠が少ないことや、手取りが16万円ほどという例がある情報を目にした。ずっと実家暮らしを続けていったり、結婚したあと、パートとして勤務するというのであればいいのだが、ひとり暮らしをしたい私にとって、正社員になることが難しいというのは致命的であった。そのため、別の道を選ぶことにした。

図書館司書の道を、半ば諦めた状態で福祉の道に決め、また別の学部に入り直さないと図書館司書になることを諦めなくてはならないのかと数週間前まで思っていた。
そんなとき、たまたま見ていた「海のはじまり」というドラマの中で、妊娠しながら図書館司書資格を取ったという話が出てきたのだ。
私は、その少ない情報を聞き逃さなかった。


気になりすぐに調べた。
そこでわかったことがある。
それは、指定の学部に行かなくても、大卒資格があり、指定の講座を受けることで、図書館司書資格が取れるというのだ。

学生が夏休みになる時期に、全国5箇所程度の大学で、司書講習を受けることが出来るのだという。しかも、オンデマンド講習もある。
まずは、その抽選に当たる必要があるのだが、私にとって、それはまさに希望であった。

新卒で、本に関わる仕事に就くのは叶わないが、ある程度、お金を貯めれば、司書になる勉強をして、転職するという選択肢もあるし、同棲や結婚をしたあとであれば、ふたりで家計を支え合うため、より司書の道に進むという決断がしやすくなると思う。(実際、同棲や結婚をし、子宝に恵まれたとすれば、夜勤を続けるのは気持ち的にも辛いのではないだろうか。)

私の場合は、介護の道も経験してみたいし、本だけに、キャリアを絞るという選択肢を取ろうとは、元々決めていない。貴重な一度きりの人生、一生をかけて、やりたいことを多く経験し、豊かな人間になりたいからだ。本を出版するまではいかなくても、こうしてnoteに文章を残していきたいとも、思う。

これまでは、何かひとつに、人生をかけることがすごいことだとばかり思っていた。
それはもちろん、今でもかっこいいと思うし、素晴らしいことだ。
しかし、ここ1年で、何回か本のイベントに行く機会があり、セカンドキャリアとして、本を刊行したり、本に関わっている人が想像していたより、全然多いことを知った。
少し、視野が広がったことで、私の文章への向き合い方の価値観も変化してきたものと思われる。

もしかしたら、欲張りすぎだと思われてしまうかもしれない。
それでも、全て人生は繋がっていると私は考える。
介護を経験することで、人の優しさにふれることができるだろうし、今とはまた違った文章を書けるようになるはずだ。また、仕事として、文章や本だけに絞ってしまうと、万が一嫌いになったときに、別の道がないということにも繋がる。大好きな文章や言葉や本は、いつまでも好きなままで生きていたいのだ。

ひとつまた、人生の目標ができたから、何とかこれから介護の道も頑張っていこうと思える。
目標である図書館司書を目指すことができるというだけで、本当に恵まれていると感じる。

言葉や、文章に生かされていた私が、次は誰かを助けたい。そのために、今日も私は、文章を書くし、言葉を摂取する。

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