ピエール瀧さんと薬物に関して思うこと

どうもこんにちは。

相変わらずトロントにいますが、ツイッターでピエール瀧さん逮捕のニュースを知り、軽くショックを受けました。
そこで自分の思うことを綴りたいと思い、ここに文として残そうとしています。

僕はピエール瀧さんを電気グルーヴで知り、またケーブルTVの音楽番組やらでちょくちょくお見かけするようになり、面白い人なので、好きでした。

とても才能のある人だと思うんですよね。
そういうアーティスティックな、クリエイティヴな才能のある人に薬物を使用してしまうケースは多いと思います。
ASKAさんもそうでしたが、田代まさしさん、酒井法子さんなど、芸能界でも結構いらっしゃいますよね。

前提として、僕は薬物擁護・賛成の立場ではありません。
「そんなもんきにするな、みんなどんどんやればいいんだよ」
とかいうつもりは毛頭ありません。
ですが、かと言って薬物を使用した人、中毒になってしまった人を全人格・存在から否定する気にもなれません。

薬物は、僕たち誰でもふとしたことから中毒になってしまう可能性があると思うんです。だから、中毒になった人は他とは違う悪人で汚れた存在で、だから隔離すべし、みたいな考え方にはどうしてもなれません。

例えば、海外のアーティストでも、薬物を摂取していた・中毒になったレジェンドはたくさんいます。

ビートルズ
ローリング・ストーンズ
ジャニス・ジョプリン
エリック・クラプトン
ジミ・ヘンドリックス
などなど。。。

実際に薬物の過剰摂取(オーバー・ドース Over Dose, OD)で若くしてなくなってしまったアーティストは数多くいます。
(その多くが27歳。Tommy Bolin, FreeのPaul Kossoffは25歳。)

(ちなみに、もし仮にこう言ったアーティストのファンが、瀧さんやASKAさんなどにだけバッシングなどのリアクションを示した場合、理屈に合いませんよね)

薬物は多くは非常に危険で、社会自体をメチャクチャにする危険性すら秘めているものだと思います。だから、「どんな薬物も平気だよ、どんどんやれ」とはいう気になれません。

清とイギリスが戦争する原因ともなったアヘンの例を出すまでもないと思います。

ただ、薬物に対する正しい知識を僕たちはどれだけ持っているでしょう。
中毒というものに対する正しい知識というものを僕たちはどれだけ持っているでしょう。
僕も「めちゃめちゃ詳しいです」と胸を張って言えるほどの知識を持ってはいません。だから、学び続けることが大切だと思うんです。

中毒ということでいえば、
「中毒は病気であって、個人の努力・気合いだけでそうそうどうにかなるものではない」
と言われますよね。なので、薬物も更生施設があるわけで。
エリック・クラプトンも自身の中毒経験から、更生施設を作り、自分の所有していたギターをオークションにかけてそこでえた収益を施設に送ったりもしていましたね。(Crossroads Centre: https://crossroadsantigua.org/)

薬物といえば、危険な薬物に分類されるものでも様々なものがありますよね。
日本でも脱法ハーブが流行したのもまだ記憶に新しいかと思います。
(今も戦いは続いているのではないでしょうか。)

コカイン
ヘロイン
LSD
覚せい剤
マリファナ

などは有名かと思いますが、マリファナ、大麻の類に関しては、合法な国や地域もあります。量や販売方法などに規制はありますが、医療に使われたりもしますし、専門家であっても人によって見解が異なるため、完全に害悪とまでは言い切れないところがあるかと思います。
僕の暮らすカナダでもこの間合法化されました。それ以前から普通に服用している人はたくさんいて、トロントでは街を歩けばどこかしらで誰かが吸ってるような感じです。
例えばちょっと不良っぽい高校生が仲間で集まって公園の隅とか路地裏とかでこっそり吸ってる(タバコみたいな感じですね)こともあります。
でも普通の人たちが普通に吸ってたりします。
ミュージシャン(レゲエ、ヒップホップだけじゃない)、アーティスト系、ベジタリアン・オーガニック系、自然主義、ヒッピー系、神秘主義、サブカル、宇宙、こういったキーワードが当てはまる人たちのトロントでのマリファナ服用は多いと思います。
マリファナに関していえば、吸いすぎると命の危険もあるものもあるだろうけど、幻覚作用などは基本的にないはずです。

そういうこともあり、自分の知るかぎり、トロントでは、合法化前から、警察の目の前で普通に吸ったりしない限りは、厳しく取り締まられるようなこともないような状態でした。せいぜい罰金とかそんなものだったかもしれません。合法になった今となってはそれすらないかもしれません。
ただ、国の定めるルートなどを守らないと、やはり罰金などに処される可能性はあるかと思います。

(ちなみにケシのタネは英語でPoppy Seedといい、カナダでは普通にベーグルなどに使われて市販されてます。ケシは品種によってはアヘンの原料にもなるので、規制されている国・地域もあります。
カナダでは基本的にオッケーのようですが、例えば、薬の治験などは、臨床結果に影響するということで、検査期間中は摂取が認められません。)

なのに、国境を超えたアメリカではほとんどの州で違法。(コロラドなど一部の州では合法)
ルールってそう考えるとなんとも曖昧なものですよね。
政府やその他の力関係などの都合でルールというのはいくらでも変わるものですし、絶対的・普遍的なルールというものはそもそも存在しない、と言っていいかと思います。(だからと言って薬物を肯定するわけではありません。念のため。)

他にもオランダやベルギーなど、ヨーロッパでもマリファナは合法とされている国がありますよね。そんな中で、独特なのが、ポルトガルです。
ポルトガルは、なんとどんな薬物も使用可なのだそうです。
かつて薬物中毒患者の数の多さに頭を悩ませていた政府が、専門家のアドヴァイスを元にとった政策が、取り締まり強化の逆を行く、オールOK政策(日本もこれをやれとかそういうことではありません)。
薬物中毒になってしまった人を社会から切り離すのではなく、刑務所に収容する代わりにリハビリ施設に入れて治療・更正を助けることで、社会復帰を援助する、というように考えを変えたということです。

これによって薬物中毒者は激減し、問題は改善しているそうです。

このケースは、薬物と中毒、という問題を考えるときに興味深いものだと思います。

(その一方で麻薬の所持・使用は問答無用で死刑・終身刑という国もあります。くれぐれも気をつけてください)


ギャンブル、コーヒー、タバコ、アルコール、ゲーム、セックスなど、快楽に繋がる脳内麻薬を発生させるもの、酔わせるものは、基本的に中毒性があると考えていいでしょう。
中毒になるきっかけは孤独感などからくる苦しみからの逃避行動であることが多いとも言いますね。
なので、薬物を摂取することは問題でしょうが、そのきっかけ・要因を取り除いてあげることが問題の解決に繋がるのではないかと思います。

日本でもかつて覚せい剤は『ヒロポン』という名前で普通に市販されていましたし(ミヤコ蝶々の憧れの存在だった芸人ミスワカナも服用していた。ヒロポンが原因で心臓麻痺でなくなったというのが定説。違うとする説もあるそうです。)、某有名コーラはもともとコカインが入っていたという説もありますよね。(コーラはもともと咳止め薬として発明された。コカインには咳を止める作用がある。という2点から)
ADHDの治療にかつて使われていたリタリンという薬も現在は指定薬物として禁止されているはずです。

ルール、善悪、というものは実は境界が曖昧で、時代や地域などによっても変わってくるものです。
だから何やったっていいんだ、ということにはなりませんが、常に僕たち一人ひとりが学び、考え、認識を改めていく姿勢というのはとても大切だと思います。何も考えずに、中毒になってしまった人を存在から全て否定して社会から隔絶・抹殺することが根本解決になるとは僕は思えません。

薬物・中毒・差別などの問題が少しずつでも改善して行くことを心から願っています。
ピエール瀧さん、ASKAさんら素晴らしい才能を持った人たちが無事立ち直って、再びその才能を遺憾無く発揮していかれることも心から願っています。

読んでいただきありがとうございました。

参考




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Yuzo ゆうぞう
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