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【経営メモ】顧客が一番大事。顧客の声(VOC)が経営に取り入れらているか?

1. 顧客の声を集めているか?


多くの会社では、「お客様が一番です」ということになっている。
では、どれくらいその大事なお客様の声を集めて聞いているだろうか?

自営業を営んでいる社長が、自ら店頭に立ち直接お客とやりとりをするようなビジネススタイルは、「顧客の声を聞く」という観点からすると、とても優れている。

小難しい経営論など全く必要ない、最高責任者の社長が店頭で日々お客と直接会話しているのだから、「顧客の声(VOC=voice of customer)」をイチイチ整理したり、分析しなくても、社長自ら、顧客が満足しているのか、顧客のリピート状況はどうなかなどを、肌感覚として持つことができる。

しかし、一般の企業の場合、社長どころか、本社勤めの企画や財務の人間なども含め、顧客の声を身近で聞く機会というのは、なかなかない。

一部の優秀な経営者は、意識して時間を確保し、自ら店頭など、お客と直接会話ができる場所に出向いたりする。しかしそういう経営者は極めて稀だ。

IT技術の進化とともに、比較的簡単に顧客の声を集めることができるようになってきた。
定量的な質問を設定して、そのスコアの平均値をダッシュボードでモニターするというのが、昨今の流行りだと思う。

NPS(net promoter score)という手法が広く用いられ、最近ではCES(customer effort score)という測定方法も人気がある。

私も社長時代に、NPSとCESの両方を使ったことがある。コールセンターや、On-lineの購入顧客からアンケートを取り、それを数値化して、毎月、毎週モニターするのである。

この数字が著しく落ちる時は、必ず理由がる。
そして、その理由もだいたい簡単に分かる。
担当者が、先週はアマゾンのプライムdayだったので、顧客からの電話問い合わせが瞬間的に増えて、コールセンターのサービスレベルが落ちました、とか解説してくれる。

2. 数値だけでなく、顧客のフリーコメントが重要


しかしながら、この数字をモニターするだけでは、本当に「顧客の声」を聞いたことにならないと思う。
「顧客の声」の醍醐味は、顧客からのフリーコメントに宿っている。

顧客アンケートを取るときは、特にフリーコメントを書いてもらえるように工夫をする。(景品がもらえるとかアレンジする)私が実際にやった時は、毎週だいたい100件程度のフリーコメントを集めていた。

そして、それを会社のマネジメント 、財務部長、マーケティング部長、サービス部長、広告課長、直営店課長、EC課長など、皆で一緒に、火曜日のお昼にお弁当を食べながら、1つ1つコメントを見るのである。

声にだして読むと時間がかかるので、実際には、全員で黙読である。
商品のこと、サービスのことを褒めてくれるコメントも沢山ある。
そうした良いコメントは、担当部署、担当者に伝える。
それが皆の励みにもなる。

そうしたコメントを読むたびに、我々は売り上げを作るために働いているのではない、お客さんを満足させるために働いているのだということを、再度確認することとなる。
マネジメントチームも思わず笑顔になる。

更に貴重なのが、顧客が直接書いている不満や文句である。
中には、常識のバランスが欠けているものや、過度な要求をしているものなども交じっているが、そのままオペレーションの改善につながるものも沢山ある。

見ず知らずのコンサル会社にお金を払って、自社のオペレーションの改善案を出してもらうより、「顧客の声」を直接聞く方が、圧倒的に意味のあるヒントが見つかるのは、誰の目にも明らかだと思う。

そして、何よりも、経営幹部が毎週、顧客の声を聞くということが、とても貴重である。自分達のオペレーションがお客にどう受け取られているのか、自分達のお客が、実際、自社に対してどう感じているのかを、ある意味肌で感じることになるのだから。

もし、あなたの会社に顧客からのフィードバック、それも特に、フリーコメントを集める仕組み、そしてそれを経営幹部が見る習慣がないのであれば、ぜひ取り入れるべきだと思う。

3. 本社の社員を現場研修に出す


更には、業態やカンパニーカルチャーにもよるが。
直接顧客と接する場所に、研修を兼ねて、社員を1日派遣するというのは、なかなか面白いアイディアである。

私の場合は、社員を自社の直営店や、サービス/コールセンターに1日研修に行ってもらった。
自らも含め、部長から新入社員まで、毎週1人か2人ずつ現場で働く。

こういうアクティビティをすると、社内に新たな化学反応が起こる。
例えば、サービスの現場でディーラーからの不良返品の手続きを担当している社員と、本社の経理で同じ返品を担当している社員。

普段は各々の手続きを進めているだけで、ろくに顔を合したことがない2人。現場で一緒に返品作業をしてみると、現行の伝票フォーマットが、5年前に作成した古いままなのに気づく。
今は、商品シリアルナンバーに紐づいて、出荷日や出荷先などのデーターが既にクラウドにあり、わざわざ現場で手書きする必要がないことが分かる。

更に、少し工夫すれば、紙から全てon-lineで処理できそうなので、今度、IS(ITシステム担当の部署)を入れて議論してみようということになったりする。

全社員が、前線で働く人と直接コミュニケーションを持つことで、会社のオペレーションが、お客目線でぐっと有機的に機能するようになるのである。
外部のコンサルに頼っている場合ではない。

社長がその気になれば、自力で、会社のoperationをぐっと顧客中心(customer centric)なものにupdateできると思う。






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