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【私的読書生活】松本清張を追い掛けたくて

30年目の清張忌によせて

本日、8月4日は「清張忌」

そう、松本清張氏の御命日です。

今年は没後30年ということで、ドラマシリーズなどもたくさん放送されている様子。
(連れ合い、せっせと録画してます)

楽しみ。

清張との出会い

私の松本清張との出会いは、高校生の時。
国語の模試の時間。
(何年まえの話だよ)

現代文の問題文に載っていた「運慶」があまりに格好よすぎて。
試験中であることを忘れて何度も読んだ。
(結果は忘れました)

その後、確か定番の『砂の器』に手を出した。
盛大に挫折した気もする。
詳しくは覚えていない。
高校生の自分には、あの沈鬱な感じがどうも苦手だったのかもしれない。

ブーム再燃

自分の中で清張ブームが再燃したのは、確か10年ほど前。
おそらくその頃も没後20年フェアなどをやっていたのだろう。

しばらく離れていたにもかかわらず、『運慶』の印象は忘れられなかった。
大人になってから読んだ時も、また再度撃ち抜かれた。

作品の質量に圧倒される

大人になって読んでみたら『点と線』『砂の器』『ゼロの焦点』も面白かった。
『わるいやつら』『黒革の手帖』『けものみち』などのノワール小説も秀逸だ。
『黒い画集』等の短編の切れ味もたまらない。
『清張通史』『昭和史発掘』などのノンフィクション系も傑出。

枚挙に暇がないとはこういうことに使うのだろう。

少しずつ読んだり、集めたり。
懺悔します。
まんまと積読になってしまっているものの方が、圧倒的に多い。

ずらり並ぶと壮観

だって仕方がない。
(開き直りか)
一度読んだものでも何度も読み返してしまう。
あらすじだけでも読んだら面白そうすぎて欲しくなる。

まだまだ彼の作品で未読のものがある。
そう思うだけで、今後の読書生活が楽しみになる。

人となりを垣間見ると

作品だけではなく、清張氏の人となりが窺い知れるエピソードも好きだ。

前半生の人間関係の悩み、金銭面の苦労、学力コンプレックスの葛藤。
今、『半生の記』を少しずつ読んでいる。
清張をしてこんな時代があったのかと驚く。
でもそれが清張作品の魅力や深みに繋がっている。

処女作『西郷札』も40を過ぎてからのデビュー作。
それも賞金目当てで描き始めたとか。
清書が終わった時には締め切りが過ぎていたとか。

仕方なく、原稿を入れた風呂敷包みを盗まれたという理由と詫び状をつけて投函した。
新潮日本文学アルバム『松本清張』より
この時、応募受け付けた春海鎮男さん、最高の殊勲章です!!!


不惑をすぎてからの作家生活で、精力的に仕事をしすぎて書痙になったとか。
締切に追いまくられて苦しむ様とか。

締め切りが迫るにつれて担当のS君も本気に心配し始めた。(中略)私は申し訳なくて、ホテルの三階の窓から中庭に飛び降りたくなった。
左右社『〆切本 2』より
あぶない、あぶない!!!

人間味がたまらない。

というわけで関連本も増える


ブクログでのおすすめ10選

自分の読了は10作品中5作品。
まだ半分しか読んでいない。

清張の後を追い掛けたくて

そんな私が松本清張氏について、何が語れるわけもないのだけれど。
それでもこれから少しずつ、一歩一歩でも追い掛けたい。
よちよち歩きだろうけれど。
よそ見もするだろうけれど。

作家的出発の遅かった松本清張は、「やりたいことが無数にあるのに、残された時間がない」というのが口癖だった。
新潮日本文学アルバム『松本清張』より

そんな謙虚さや真摯さを尊敬する。
あまり文豪ぶらない人だったとも聞く。

追い掛けてもいいですか?
まさか足蹴にはされないだろう。

1作品ずつ、牛歩の歩みとは思うけれど、追い掛けていきたい。

2022/08/04
没後30年目の清張忌によせて


というわけで、自分なりの松本清張語りを今後続けていくかもしれません。
よろしければ、お付き合いいただければ幸いです。

最後までご覧下さり、ありがとうございました。

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樹田 和(いつきた なごむ)
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