花を持ち帰ってもらうお店
今、私はキャロットケーキが焼けるのを待っている。目を閉じたくなるほどの、いい匂い。何ならみかん寒天が固まるのも待っている。友達へのプレゼント用。
カチャカチャカチャカチャ
泡立て器を必死で回し、ボウルに金属音が鳴り響く。もったりした、ココナッツクリイム。
「電動の泡立て器があれば人生変わるよ」
友人からは高度なマシンを何度も勧められるが、今の所その予定はない。腕が痛くなっても手間がかかっても、この時間は余白であり、人生において必要なのだ。お菓子作りって色々考え事が捗るから、なんか買ってない。
今日は、将来どんな店を開こうか考えていた。
秘密基地みたいな、暖色のランプが輝くお店がいいな。ステンドグラスやトルコタイルも壁につけて、非日常的だけどアットホームな。
昔読んだ真夜中のパン屋さんのように、夜だけ突如現れるなんてのもいい。
料理はあっと驚くようなものを出したい。世界中を旅した後、各国の料理を自分なりにアレンジして、、、もしかしたらヴィーガンかも!?
ワインはデザートはラムレーズンのアクセントが最高な、自家製ガトーショコラがいいかな。
花を沢山飾って、気に入った一輪を持ち帰ってもらうおう。きっとウキウキする。ドイツで通っていた、近所のカフェを思い出すなぁ。
そんな妄想を膨らませる、夏の夜。