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#406 兼業に対する向き合い方。本業に活きるかどうかではなく、活かすかどうか

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

以前、今後ますますパラレルワーク的な働き方が一般的になっていくだろうと言う趣旨の記事を書きました。

いわゆる一つのセルフブラック的な生き方ですが、「働き方改革」で本業における労働時間は削減方針にあり、サービス残業などがより取り締まられていくと考えると、全体としての人の可処分時間は普通に考えると増えます。
しかし、当然「もっと働きたい!」(ここでは時間ではなく、質的に)と考える人も否応なしに制限されることになるので、やる人はスキルアップのための勉強をします。

ここでいう勉強は、必ずしも資格取得的な机上の勉強だけでなく、むしろ実践的な学びの方が、学びが大きいと考えますから、NPOやボランティア活動に注力する人もいるでしょうし、私がやはり一番学びが大きいと思うのは、きちんと対価をいただいて価値を提供する自営に取り組んだり、本業とはまた別の仕事にチャレンジすることです。

で、人的労働制約がかかる中で「副業解禁」の流れが徐々に広がりつつありますが、副業や兼業に一定の条件を課す企業も少なくありません。

この条件が、例えば、本業先と労働契約を結んだことで負っている「競業避止義務」「秘密保持義務」に違反しない、というのは当然だと思います。競合に当たる会社の仕事をしたり、勤め先で得た情報を使って副業・兼業をするケースです。
あとは本人の本業と副業・兼業のトータルでの就業時間が過度に多くならないように、というのも、本人の健康配慮という意味ではまぁ理解はできます。
とにかく大事なのは、「本業に支障をきたさない範囲で」ということだと思うので、それは本業先の会社の立場としてはそう言いますよね。

ただ、たまに見る条件の中で「本業に活きる副業・兼業であればOK」みたいなものです。

この基準ってかなり解釈が入るし、ケースバイケース。それにそもそものマインドセットが違う気がします。
今日は、このあたりで考えていることについて、話してみたいと思います。

私が考える「いい兼業」

もちろん、兼業をする人の事情などもあるので、一概にこうだ!というつもりは全くありませんが、やはり本業と兼業をそれぞれ全く別物と解釈するのでなく、それぞれ「自分資本」にレバレッジを効かせられると、とても良いサイクルが回るはずと考えています。

でないと、本業と兼業のそれぞれに自分の時間が分散だけしてしまうので、収入も増えるけど時間も比例して増えている、みたいな状況になり、だんだん苦しくなってくるだけになってしまいます。大事なのはあくまで、「時間あたり満足度」や「時間あたり収入」にフォーカスすることです。

以下の記事で細かく解説してみましたが、あくまで自分資本が中心にあり、「時間」ではなく、自分ならではの「スキルや経験」を別々の場所に投下することで、別々の場所から得られる経験のかけ合わせで自分資本を大きくして、大きくした自分資本でまた別の場所に価値提供をする、みたいな考え方が大切です。

そうなると、「兼業先の業務が本業に活きそうかどうか」で、兼業先判断のOK/NGを判断するのはもはやナンセンスで、結局何の兼業を選んだところで自分で活かすかどうかです。

ここ最近の記事でも何度か言及していますが、デジタル社会の本質は「まずは抽象化」、「タテ割りではなくヨコ割り」です。

兼業はまさに「ヨコ割り」として、自分の業界とは別の業界に飛び込んで、自分の業界や会社では常識となっていることが、実は非常識であることを理解したり、また、自分の業界や会社では当たり前にやれていることが、別の業界では価値になることに気付ける直接的なアプローチだと考えます。

兼業でレバレッジを効かせるためには、本業で学んだ思考やスキルを抽象化することで「商材」とし、その商材が希少な別の世界に持っていき、より大きな価値に変えることですね。ただ持っていくだけではなく、別分野の要素とクロスさせることでさらに価値を昇華させることも可能です。

そしてそこで学んだことを再び抽象化して、抽象化したパターンを本業側で活かす、このサイクルが作れると、まさに「社内自営業者」としての唯一無二の独自性を尖らせていけます。

これが「組織内自営業者」のキャリア戦略だと考えます。

だから、兼業として「何をやるか」の具体の部分にフォーカスして、それが本業でも活きそうかどうかを検証するのはあまり意味がありません。

例えば、具体にフォーカスしている例としては、Webサイトの構築という兼業が、IT企業の職種とシナジーがありそうだと思っても、本業でWebサイト構築の業務に携わらないとあまりレバレッジ効かないですよね。

しかし極端な例ですが、兼業先がスーパーのレジ打ちだったとしても、そこでお客さんの支払いで時間がかかっているシーンを見て、デジタル化による支払効率アップのビジネスアイデアが浮かんだとなると、これはIT企業で普段オフィスの中で仕事をしていても全く気付けなかったことに気付き、本業に活かせるとも解釈できます。逆に、IT企業での仕事の仕方をスーパーでの業務に取り入れ、効率化を図れたとしたらこれは兼業先での付加価値になります。

IT企業の業務とスーパーでのレジ打ちというぼんやりとした具体にフォーカスしても、相互に活きるかどうかなんて分からないのです。
大事なのは、活かそうとするかどうか。何とか活かそうという気概さえあれば、何かしら掴むものがあるはずです。逆に活かそうとする気概がなければ、活かせるものも活かせません。

副業・兼業は出世街道から降りた人向けのオプション?

そんなことを考えていた中で、先日気になるコラムを見つけました。
以下のリンクから原文を途中まで読めるようになっていますが、「副業は出世街道から降りた人向けのオプション」という指摘です。

なるほど現状においては、確かにそのような風潮である組織も少なくないのでは?と推測します。

組織で立場が上に行けば行くほど、職責は当然広くなりますから、そもそも兼業に割ける時間は少なくなるからです。
そして本業の中でポジションを上げていくためには、リソースを集中投下できたほうが合理的であり、いくら質が重要とは言え、量をたくさんかけたほうが本業で大きな成果を生み出す確率は上がりそうです。

この点に関する深掘りは、フリー記事では少し抵抗があるので別記事に譲りますが、兼業との親和性が高い職種とそうでない職種があり、組織の規模やポジションによって異なるのも事実でしょう。

しかし一方で、例えば2030年とか2040年を考えたときに、よりフリーランス型の働き方が一般的になっているであろうとは予測できます。今から20年後とかになったときに「生え抜きのプロパ社員で本業の組織しか知らない人が役員の大半を占める会社」が大多数か?そのような会社が高い業績を維持しているか?と問われると、私はハテナです。

結局、あまりみんながやっていない時に勇気を出して実際に踏み出した人にしか、先行者利益はもたらされません。

2000年代とか、2010年代前半から継続的にブログなどで発信を続けられていた方が、(もちろん実績とのかけ合わせではあるものの)現在著名な発信者になっているのと同じで、一般的でないが故に多少非難されるくらいの時から覚悟を持ってやるからこそ、得られるものがあるのです。

いずれにせよ、本業での「勤務時間」外に、どれだけヨコの世界を知ろうとするか。本業のコアを軸に別の分野をクロスして、本業にも活かしていこうとするか。

そのあたりを大切にして、日々実践あるのみでやっていきます!

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林 裕也@IT企業管理職 ×「グローバル・情報・探究」
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