#336 自分のコアなエンゲージメントを言語化して、環境を選択する
いかがお過ごしでしょうか。林でございます。
もう数年前になりますが、ちきりんさんの「未来の働き方を考えよう」を読んで、未だに記憶にずっと残っているのが「年金受給年齢引き上げ、定年延長が叫ばれている時代において、20代前半で選んだ仕事で60代、70代まで生きていくのか?」という問いです。
仕事を始める前なんて、自分がどんな仕事が好きなのか、得意なのかなんて分からないし、そもそも仕事がどういうものなのか、私はあまり具体的にイメージが湧いていませんでした。
企業分析も「業界」や「会社名」という、どでかい主語でイメージしても、実態とはあまりに乖離することが多い。特に自分との相性というマッチングの部分では、運頼みな要素も多いと思います。
私は、以下の記事で述べた通り「どの道を選ぼうか」ということを頭の中で悩み続け、多くの時間をかけすぎるよりも、「選んだ道が最高だった」と言える過ごし方をする方が大切だと考えています。
ただ、ここで言いたいことは「一度選んだ道にしがみ続ける必要はなくて、この道を選んでよかったと感じられるまで、一通りの実績と成長実感を得ようとすることが大事」という話です。その後は、実際にやってみることで、より進むべき道を選択する見極め力の精度が上がっているはずなので、その状態でセカンドキャリアを選んでいくことで、人生の幸福度も上げていけるのでは?と考えています。
冒頭ご紹介したちきりんさんの本でも、「人生を2度生きよう」という話が提案されていて、人生100年時代と言われていることを考えると「40歳くらいを一つの節目にして、それまでとは全く別の領域にキャリアチェンジするのもアリではないか?」と解説されています。
20〜40歳くらいで1キャリア、40〜60歳くらいで2キャリア、60歳以降で3キャリアくらいの気持ちで人生のポートフォリオを組んでおいた方が、結果的に自分の能力の幅も広がり、総合戦闘力が増しているはず、という考え方だと理解しています。
山口周さんもよく述べられている考え方は「同じ仕事で勤続30年」という人は、1つのことを30年間深めてきたというより、「1年くらいで理解できる1つのことを30回繰り返してきただけ」というものです。
実際に何回繰り返すことになるかは、1つの仕事を身につける時間軸によるので分かりませんが、言いたいことは「同じ仕事を何年も繰り返していても成長の幅は小さい」ということでしょう。
では、どのような判断軸で、セカンドキャリアを選択していくのが良いのか。セカンドキャリアは、必ずしも「転職」に限らず「社内の部署異動」や「仕事の内容を変える」ことでも良いと思いますが、あと数年でセカンドキャリアの40歳を迎える自分としても、考えておきたいと思います。
自分のコアなエンゲージメントを言語化する
第一キャリアステージ(20〜39歳)を実際に過ごして、ほぼ全ての人は、新卒前よりも自分のコアなエンゲージメントの解像度が上がっているでしょう。
コアなエンゲージメントとは、「自分が仕事を通じて充実感を感じるポイント」です。
できれば、これを5つくらい言語化しておくと良いです。私の場合は、こんな感じでしょうか。
自分なりのコアなエンゲージメントポイントを言語化したら、次の2つの観点で検証します。
今の自分の環境や取り組んでいることが、どれくらい自分のコアなエンゲージメントを満たしているか
自分のエンゲージメントに近い取り組みを活かして、他人がお金を払うくらい感謝されることが出来ているか
もちろん、今の仕事がエンゲージメントに全く適合してなくても「生活するのに必要な収入が得られればよい」という割り切る考え方もありますが、私の場合はちょっと耐えられないんですよね。
せっかく一度きりの人生だから、「我慢してる時間」は1日の中からできるだけ排除したいのです。もちろん、どんな仕事にも多少のノイズはありますが、自分自身を置いてる環境、やってることの違いで、ノイズの大小は異なります。
何がコアなエンゲージメントなのか、何がノイズになるかは、人によって違います。だから、第二キャリアステージに差し掛かる40代に向けて、自分のコアなエンゲージメントを言語化して、客観的に自分の現状を理解しておいて損はないと考えています。
ストレングスファインダーを使うのも一手
コアなエンゲージメントを理解するうえでの言語化がなかなか進まない場合、ストレングスファインダーやBMTIのような性格診断ツールを活用するのも一手です。
ストレングスファインダーのレポートを久々に見直して見ましたが、私の場合、上位5項目は次のようになってました。
この5つのポイントをより満たせるWhatは何か?という思考で、自分をどこに持っていくか、何をするかを決めるのです。
逆に、ストレングスファインダーの下位5項目を避けるWhatは何か?というアプローチもあるかもしれません。私の場合は次のような感じ。
研究室であらゆる仮説を立てて、一つずつじっくり何かを検証するとか、そういう仕事は私には向いてなさそうです。
「やりたいことは特にない」人も少なくない現実
近年では、定年直近の人でも「やりたいことは特にない」という人も多いとのこと。特に、ここ最近で管理職での役職定年を迎えた人は「やりたいことよりも、やるべきことだけやれ」と言われて10年、15年と過ごしてきたため、ここに来ていきなり「やりたいことは何か?」と問われても、「特になし」となってしまうようです。
一方で、60歳、70歳になっても、やりたいことに溢れ、行動力に満ち溢れている人もいます。先日お話したキャリアコーチングの方曰く、その違いは自分のコアなエンゲージメントを理解して、何かを生み出し続けている人とのこと。
「何かを生み出す」というのは、別に大層なものでなくてもいいはず。他人との会話を通じて、相手に何かの気付きを与えられるとか、モヤモヤを晴らすことができるとか、若い人にチャンスの場を提供するとか、そういうのも立派なクリエイティビティだと考えます。
20代で選択した道を生涯かけて追求していくのももちろん良いですが、定期的に自分のコアになるエンゲージメントを棚卸しして、自分のポジションを評価して見直すことは、「より良い人生を生きる戦略」を組み立てる上で有効です。