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#295 テレアポは、企業ブランドを下げることにしかならないと考える理由
いかがお過ごしでしょうか。林でございます。
皆さんは、テレアポ=テレフォンアポインターによる電話勧誘販売を受けたことがあるでしょうか。個人スマホや会社の代表電話にいきなり電話がかかってきて、「投資信託に興味がないでしょうか」とか「不動産投資に興味がないでしょうか」とか聞いてくるあれです。
私が最近驚愕しているのは、誰しも聞いたことのあるような銀行やホテルグループからの電話を受けるようになってきていることです。
私が約15年前に新入社員として入社したての頃、よく職場に聞いたことがない会社から電話がかかってきて、こちらが全くリアクションせずとも一方的に営業話をされたことはあります。ひどい時だと、5分くらいこちらが話さなくても、ただ電話越しの相手はひたすら5分間話し続けていました。
今考えると、「やった感を出す仕事」というか、相手はおそらく1日のノルマ架電数みたいなのがあって、1日中ひたすら代表電話にかけていたのだと推察しますが、そんなんで本当に営業力が身につくのか疑問ですし、そんなことに人生の貴重な時間を使っているなんて勿体無いよなと私は感じます。
ただ、聞いたことのないような怪しい会社がテレアポで営業電話をかけてくるのは5万歩譲ったとして、誰もが聞いたことのあるような企業もテレアポに動いているという事実が私には衝撃でした。しかも、ここ数年で結構多くなっている印象もあります。
そんなことを考えていた時に読んだ本、「仕事ごっこ」の内容がクロスして、テレアポで受注できる話もあるかもしれないけれど、デメリットも含めてトータルで考えた時に、真剣に辞めることを考えたほうが良いのでは?と感じたので、今日はそんな話をしたいと思います。
「テレアポのメリット」と言われていること
テレアポのメリットについては、多くのサイトで紹介されているので、いくつか代表的なものをピックアップします。
多くの見込み顧客にアプローチできる
個別のクライアントに対して物理的にピンポンしていくよりも、場所を移動することなく、アプローチができるため、1日でアクセスできる数が多くなる、という観点です。
Web集客に比べて短時間で成果を出しやすい
Web広告やメルマガなどは、個別の電話よりもより多くの人に一度にアクセスできるやり方である一方で、より直接的なクライアントのリアクションをリアルタイムで得られるテレアポの方が営業効果を出しやすいと言う観点です。
新入社員の営業スキルアップになる
企業にとって重要なクライアントの前に出させる前に、営業トークや断られても折れない心を磨く、みたいな観点です。実際に私の知り合いからも話を聞くことがありますが、テレアポではないですが「○○人に名刺を配る」とか言うのもこの一貫だと思います。
これらのメリットは全て企業側のものでは?
色々なサイトを見ながら、「テレアポのメリット」と書かれている代表的なものをいくつか取り上げてみましたが、自分で書きながらも「本当にそうか?」と違和感を覚えるものばかりです。
まぁ「メリット」という片方からの目線ではそうなのかもしれませんが、自分と相手の関係性の中で見れば、全て「自分視点」でしかないと思うんですよね。
でも、ビジネスはあくまで「相手思考」が起点にある必要があって、とにかく「相手を勝たせる」「相手が喜ぶ」ことが出発点にならないといけないと思うのです。
Give & Takeで言えば、Give & Give & Giveくらいの気持ちで、とにかく相手のためになることを考え抜いた後で、結果として相手が自分を必要としてくれて、売上になったり受注を上げたりすること、これが基本では?と考えます。
確かに、1000人に電話して、うち1人が興味持ってくれて投資信託の商品を買ってくれたとすれば、「成果が出た!」とみなすこともできるでしょう。新入社員がひたすら断られ続ける電話をかけまくって、「折れないタフネス」を身につければ、その後のビジネスシーンでもたくましく育っていくのかもしれません。
実際に投資信託を購入したクライアントがいるのであれば、少なくともそのクライアントは必要としているものを購入したのだから、Win-Winでは?という主張もあるかもしれません。
しかし、人的供給制約がかかった現代において、そこだけを重視して本当にテレアポを続けて良いのか?は本当によく吟味する必要があるのでは?と感じるのです。
テレアポは企業イメージを下げている観点
私が特に最も大きな懸念事項としてあげたいのがこの観点です。一般的な消費者にあたる人だけでなく、そこで働く従業員や、潜在的な従業員、それぞれの観点から考えてみたいと思います。
一般的な消費者に対するイメージダウン
私も直電で営業電話を受けることがありますが、まず「知らない番号からかかってきた」ということで「あ、知らない番号からかかってきた!やったー!」となる人はまぁいないでしょう。多くの場合、「誰だ?なんで自分の番号を知っているんだ?」と警戒するのが普通でしょう。
で、今はネットがありますから、その番号を検索できますよね。で、番号検索して、企業名を特定できる。なんなら、電話に出て迷惑な営業電話だった場合、それを親切にネット上で記録してくれている人もいますから、電話にでなくとも「迷惑な営業電話」と企業名がリンクすることになります。
また、私の仕事用のスマホには、自分は番号を知らなくても、私のことを知っている人から電話がかかってくる可能性があるので、取るようにしているのですが、打ち合わせ中とか、電車に乗る直前とか、本当にタイミング悪い時にかかってきます。
というか、朝は子どもを保育園に行かせる準備をして、保育園に預けてそのまま電車乗って、職場に着いたらできるだけ短時間で集中したいから「集中時間」を作るようにしているし、打ち合わせなどもあります。夕方くらいになったら、子どもの夜ご飯やお風呂があるので、電車に乗って帰ってきて寝かしつけまでバタバタ・・という感じなので、テレアポの営業電話を悠長に受けられる時間帯ってほぼ皆無です。
そんな時にかかってきた電話に対して、好印象を抱けるはずはないんですよね。
従業員に対するイメージダウン
知り合いが言っていたのですが、とある銀行では、入社して年次が若い時にひたすらテレアポで投資信託を販売する任務を任されるそうです。
とにかく断られて心が折れそうになるし、投資信託を販売して手数料収入を稼いだとて、銀行全体の売上高(経常収益)から見れば微々たるもので、とにかくやる気をなくす、と話していました。
もちろん、合っている人には合うとは思いますが、新人の育成目的で強引に全員を投資信託テレアポ業務を割り振ることで、特にテレアポがしたくてその企業に入社したわけではない優秀層にとっては、さっさと転職しようという気にしかならないのでは?と感じます。
潜在的な従業員に対するイメージダウン
人材市場の流動化が進み、人的供給側が売り手社会の現代ですから、新卒だけでなく、誰もが中途採用の潜在的な従業員であると捉えることができます。
しかし、消費者として、こちらの都合を全く無視したテレアポを受けたことがある会社は、私にとっては転職先から外れます。なぜなら、自分が入ったら同じようにテレアポさせられる可能性があるし、そもそもここまで述べてきたようなイメージダウン要素がありながらもテレアポを続けている、という企業の考え方そのものに共感できないからです。
もちろん、これは個人の価値観によるもので、「私はテレアポしたい!」という方や「テレアポの良さ」を優先している企業があること自体も否定はしません。
しかし、そもそも「電話自体が苦手」と感じている若い人が増えていく中で、今後の傾向として「テレアポがやっぱりいいよね」という時代は来ないと私は考えるのです。そういう企業体質ですよ、という見えないメッセージを世の中に発信し続けているという事実は、よく認識しておいた方が良いと考えます。
以上、テレアポ営業に関する意見でした。
皆さんはどのように考えるでしょうか。
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