スタートアップの資金調達現場でなにが行われているのか(デットファイナンス※融資編)
以前に書いたエクイティファイナンス編の続編です。
今回はデットファイナンス、いわゆるご融資を受けての資金調達はどのように進められているのかという点について書いていきます。
ちなみに僕はスタートアップのことをエクイティファイナンスを行って急拡大を目指す組織と定義しているのでこちらの内容は必ずしもスタートアップに限りませんが、前回と揃えるためにこういったタイトルとなっています。
※過去記事のカテゴリ別まとめはこちら。
デットファイナンスとは
エクイティファイナンスとは企業や個人の株式を投資家に割当てて資金を調達する方法ですが、デットファイナンスにおいては必ずしも代わりになにかを差し出す必要はありません。
ですが、エクイティファイナンスとは異なり、調達した資金は金利を加えて返済を行わなくてはいけません。
どこから借りるのかによって異なりますが、およそ5〜7年での返済計画を立て、それを実行するケースが多いようです。
ただ、例えば日本政策金融公庫さまでは7年後に一括返済を行う、という特殊な返済方式を採る方式もあるので具体的な検討を行う際には確認してみてください。
ちなみにですが、特に日本政策金融公庫さまで創業融資を受ける場合、無担保・無保証でご融資をいただけます。
もちろん、返済を行うために全力を尽くさねばならないという前提ですが、仮に道半ばで会社が倒産したとしても社長個人としてはリスクを負わずに資金を得ることが可能です。
どこから借りるのか
ご融資は、主に以下4つの主体から行われます。
・日本政策金融公庫
・メガバンク
・地方銀行
・信用金庫
この中で、企業がまず門を叩くべきは日本政策金融公庫さまです。
なぜなら、彼らの目的は「日本経済成長・発展への貢献」であり、審査や条件も緩いからです。
メガバンクについては、創業直後の企業が融資を受けるのは正直難しいです。
なので、地銀さまか信用金庫さまに依頼をすることになりますが、信金さまの方が資金が低い分、金利なども少しお高めです。
そのため、その時の企業の財務や経営状況に応じて初回融資をいただいた後、実績を積み重ねて徐々にステップアップしていくというのが現実的です。
どのように借りるのか
結論から書くと、企業単独で進めるよりも公認会計士さんや融資をサポートしてくれる組織に依頼をすべきだと考えます。
なぜかというと、彼らは当然プロなので色々とアドバイスもくれますし、すでに関係値を築いているケースも多いです。
また、直接銀行の窓口を訪れる人は紹介してくれる人もいない危険な客だと考えられてしまうらしいです。
もちろん成果報酬を数%支払うことになりますが、手間を減らし、成功確率と調達額を上げられるということを考えると支払うべきコストではないでしょうか。
そういった機関の方に依頼を行ったあとは、彼らの指示に則り必要な事業資料や損益計算書等を作成していきます。
ちなみにそちらの計画ですが、彼らが重視するのはその企業がユニコーン企業になることではなく”確実に資金を返済できるか否か”です。
そのため、エクイティファイナンスを行う際とは少し違った資料作りが必要になるのでご留意ください。
各書類を作成・用意した後はご担当者さまとの面談です。
おおよそ、1度面談を行った2〜3週間程度で融資可否の判断が行われ、その後1週間以内程度で振込が行われます。
どのようなケースで行うべきか
上でも書いたように、政策金融公庫さまは無担保無保証でのご融資なので経営者側にリスクがありません。
そのため、ぜひ借りるべきだと思っていますが、特に以下の3つの場合におすすめです。
・創業時
・エクイティファイナンス実行時
・事業黒字化時
融資を受けられる最大額はおよそ手元資金の数倍程度ですので、創業時には大きな額の融資を受けられない場合があります。
しかし、融資というのは何度も実行・返済を繰り返すことで与信を強めていくことができるので、まずは創業時にもチャレンジすることをおすすめします。
エクイティファイナンス時は手元資金が増えたタイミングというのもありますが、投資家の方からのお墨付きをもらっている事業ということでご担当者の方が検討を行う際にプラスに働きます。
また、黒字化した場合は当然返済可能性が高まるため、その際にも調達の成功確率が上がります。
その他書いておきたいこと
僕は以前、日本政策金融公庫さまより1,500万円をご融資いただいたんですが、現在は当時とは異なり1,000万円が初回融資時の上限になっているようです。
また、上記の7年後に一括返済というスキームはあまりおすすめできないなと思っていて、なぜかというと特にスタートアップ・ベンチャーっていう将来が予測しづらい企業体において、7年後の未来が確定されているというのは事業運営に悪影響を及ぼすと考えるからです。
例えば創業後3年で会社売却の機会があった際にそこから4年後の返済義務が残っている場合、その交渉でネガティブになりそうだよなーと思って僕はそれを選択しませんでした。
まとめ
デットファイナンスは返済義務があるとはいえ、リスクなくキャッシュフローを円滑に回すことができる手段であるため、ほとんどの企業で検討すべきであると考えます。
個人事業主or法人設立というのも議論の的になるテーマだと思いますが、デットファイナンスができるから法人を立てるべき、と言えるくらい。
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ITベンチャーに新卒入社後2012年創業 複数回エクイティ・デッドでの資金調達を行い各種事業を行う 2015年に既存事業譲渡と訪日旅行者向けWebメディア立ち上げを並行しつつ、 2016年にフジメディアホールディングスグループに数億円でバイアウト 2019年から福岡で2度目の創業