クリスマスサンタミッションに想いを馳せる
朝起きると、枕元にプレゼントがある。ファンタジーが大好きで魔法少女になることを夢見ていた私にとって、クリスマスの朝は物語の世界と現実がつながる日だった。
自分が子どもを持ったら、サンタさん役をすることは何よりの楽しみ。子どもたちが寝静まったあとに、息をひそめてこっそりツリーの下にプレゼントを並べる。
この記事も、息をひそめながら書いている。
なぜなら、中1、小5、小2のピュアすぎる3人兄妹は、いまだにサンタさんを信じているらしいからだ。友達や外部情報から、もう信じなくてもおかしくないな?と思うのだけど、まだ信じているようなのだ。
これを読んだ方は、うちの子たちに内緒にしてほしい。これで皆さんもサンタさんの一員です。
私たち家族は、今年の春まで沖縄の竹富島で暮らしていた。人口350人、小学生が20名、保育園児が15名ほどの小さな島。クリスマスでも晴れれば半袖だ。離島にも、サンタクロースはやってくる。
離島といえば宅配を注文するときに「※ただし離島は除く」と書かれている土地である。宅配便は不在票の概念がなく、留守にしていると玄関の中に荷物が置かれている。子どもに見つからないようにプレゼントを受け取るのが至難の業。
プレゼントがクリスマスまでに間に合わず、25日に「間に合わなかったけど届けるから待ってて」的な手紙が届いていた……なんて話を子どもを通してちらほらと聞いて、同志たちの切磋琢磨に微笑ましくもなっていた。
子どもたちはこんな話をお互いにしていても、疑問にはあまり思わないようだった。家によってサンタクロースの来るタイミングやプレゼントの系統、頼み方など様子が違うらしいとわかっていながら、「それはそれ」と受け止めている。
どういう認知をしているのだろう? それにしても、中1長男はさすがにもうわかってて弟と妹のために気づいてないフリ、しているんじゃないの? そろそろ彼には本当のことを伝えて、「一緒にサンタ役をしない?」と誘ってみようかなとも、正直迷っていた。
先日、中1の長男の友だちとご飯を食べたときのこと。
「俺さあ、昔友達にサンタさんって親なんだよって言って夢こわしちゃったんだよねえ〜」
突然友達がブチ込んできた。うちの子たちは「へえ〜」みたいな軽い反応。「あ、やばいかも…?」という友だちの表情が垣間見えたけれど、それ以上全く深掘りをせず、別の話に流れていった。(おいおいおい……!)私は内心ドキドキ。今までも、色々な友達からこういうことを聞いているのかもしれないなとも思いながら聞いていた。
数日経ったある日、リビングでくつろいでいるとふいに
「今年はさあ、サンタさんどの部屋に来るかわからないよね」「やっぱりリビングじゃない?」
と、3人が大真面目に話しているではないか。引っ越したからどの部屋に届くかわからないと思っているのだ。初夏のレモンなのかって思うくらい無邪気でピュアな会話に、萌え散らかしていた親バカは私。
この話を、同じくサンタさんの存在を信じていそうな小5の双子がいる友人に伝えると、
「さすが片岡三人衆!可愛すぎるんだけど!うちももちろん信じてるよ!」
すぐに返事が来た。
「友達が目の前でサンタさんは親なんだよーって言っても、スルーするんだよ。自分の目の前のことを信じてる感じなのかな」
「友達の話をスルーする族、うちも同じ!信じる人のところにだけいる、来るって信じてる」と友人談。
なるほどなあ。長男は嘘がつけない性格で、それが原因で兄弟喧嘩もしているほど。何かを察したりお世辞を言ったりとは無縁なタイプでもある。そんな彼が、気づいていないフリをして合わせているとは思えない。パソコンが好きでプログラミングをよくしている息子たちだけど、まだまだ空想の世界が彼らの中にあることに嬉しくなる。きっと、彼らなりの理論のもとに、サンタさんは「存在している」のだろう。いつまで続くのか、見守り続けたい。
自分が親になると、子どもの頃両親がしてくれていたことにも想像力が向く。父は宗教2世でもあり、子どもの頃からクリスマスに縁はなかった。子どもに対して比較的ローテンション、褒めることもあまりしないタイプの両親。私がサンタさんに手紙を書いても返事を書くとかはせずに、その手紙が父の本棚から出てきちゃうような詰めの甘さもご愛嬌。当時は「友達は返事がくるのになんでうちは来ないんだろう?」と思っていたけれど、不器用ながらも毎年サンタをしてくれていたんだなあ。
いつか、大人になった子どもたちからクリスマスの思い出を聞くのが楽しみだよ。そろそろ今年のプレゼントも準備を始めよう。
ちなみに、クリスマス準備第一弾として、子どもたちと『ブックサンタ』に参加した。以前から活動は知っていたものの、アヤさんのnoteに背中を押されて。偶然、最寄駅の書店でも開催していたので子どもたちに1冊ずつ選んでもらった。リアル小中学生が選んだ好きな本、喜んでもらえたらいいな。