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偶然の3回目は運命と呼べるのか #3

中1のときに片想いしていたAくんのことを
年に数回、ふと思い出す。

それはなぜかというと
偶然に会う機会があったからである。

出会い編↓

偶然の1回目編↓


+++

わたしは結婚した。
地元から離れた場所で結婚生活を送っていた。

結婚生活が数年経った頃
妊娠が判明し、安定期に入るとさっそく地元に帰った。


それまでもわたしは年に2回ほど帰省していた。
結婚生活を送る場所に知り合いが少なかったので
帰省して地元の友人と遊ぶのをすごく楽しみにしていた。

帰省中はほぼ毎日遊びに行く。
ランチしたり買い物したりカラオケしたり飲みに行ったり。

そのときは妊婦なので飲みには行けなかったが
おいしいごはんを食べたくて、
地元のビストロにごはんを食べに行った。

その日ごはんに行ったメンバーは、高校生のときアルバイトで出会った友人3名。
全員、既婚者。子どもあり。

ビストロの4名席に座り、出産の痛みを散々語られおどされた。
(友人よ、産む前に恐怖を与えないでほしい。)


途中わたしはトイレに立った。
トイレから戻るときに、先ほどまでわたしが座っていた席の方を見た。
友人としゃべっている間は気が付かなかったのだが、わたしたちの隣の席は8名くらいのグループだった。

たしかに隣はかなり盛り上がっていた。
人数が多かったのか。
この店は狭くはないけれど、そんなに広くもない。
8人のグループはめずらしい気がする。


席に戻る。わたしのすぐ右隣にはその8人グループ。

席に座る前に既視感があった。
あれ、何だろうこの感じ。


そわそわした。
友人との会話も、耳に入っているような入っていないような。


頭の中で考える。

もしかして。
いや、まさか。


そわそわしていたら、隣の席の女性に声をかけられた。
「すみません。もしかして○○中学出身でしたか?」


「はい。。そうです」と答えると
ぎゃーーー!!!と隣のグループが湧いた。

質問はつづく。
「何年卒業ですか?」
「うーん。覚えていないですー」
「そっか!そうですよね。じゃあ何年産まれですか?」
「○○○○年です」

ぎゃーーー!!!と再び湧く。


やはり。
予感的中。

わたしの友人たちは状況が分からず目が点。


すると、隣のグループの席の1番奥から顔を出した人がいた。

「もしかして○○さん(わたし)?」

「Aくん!」

びっくりしたふりをしたけれど、実は何となく気づいていた。トイレから戻る瞬間にあった既視感。

まさかと思ったけれど。

また、偶然Aくんに会ってしまった。


そして当事者のわたしたちよりもまわりが大盛りあがり。

「えー!めっちゃ偶然ー!!」
「すごい!同級生?」
「なになにー?過去にわけありー??」

「もしかして元カノー?」
と言われたあたりから
「違いますよ〜!Aくんモテてたので。」と答えた。

「たしかにモテそう!」とAくんのお友達。

お話を聞くと、お友達というか同僚とその関係者のよう。
わたしにグイグイ質問してきたのは同僚の女性だった。


3つ分ほど離れた席からAくんと話をする。
10年以上ぶりの会話。

「元気?」
「うん!元気。飲み会中?」
「そう。いま学校の先生してて、その同僚たちと。」
「先生かー!すごい。似合うね。」
「○○さん(わたし)は今なにしてるの?」
「わたしはいま●●に住んでて、妊娠中で実家帰ってきたところ。」
「え!おめでとう!」

わたしたちの会話をワイワイ聞いていた同僚の方たちからも
「きゃーーおめでとうーー」と言われた。


どうやら私がトイレで席をたったときに
気づいたAくんが「もしかしたら同じ中学の子かも」と話をして
わたしの隣に座っていた同僚の女性が代わりに聞いてくれたようだ。

中学のバレンタインのことは覚えていないのか、あえて黙っていてくれたのか。
塾のことも気づいていたのか、いないのか。
Aくんとそれ以上深い話をすることはなく
同僚の方たちにも何も聞かれなかった。


少しして、わたしは帰る時間になったので
「帰ります。」と軽く挨拶をして店を出た。

店を出てから
Yuuuの同級生だなんてびっくりしたねー!
と友人たち。
高校時代の友人なので、中学時代のことは話していなかったのだが
そのまま詳しいことは話さずに解散した。

わたしも本当にびっくりしていた。
地元とはいえ、Aくんの実家はたしか隣駅のはず。
いまどこに住んでいるかは知らないけれど
まさか同じタイミングで同じ店にいるとは。

そうか、学校の先生か。。
だから塾であんなに勉強していたのかな。
きっと頑張ったんだろうな。
先生だなんて似合いすぎるし、きっと良い先生なのだろう。


びっくりしすぎて実家に帰ってからもずっとドキドキしていた。
恋愛の意味でのドキドキではない。
この2回目の偶然がなんだかドラマチックに思えて、興奮していたのだと思う。

ちなみに、前回気になった彼の服装のことは覚えていない。


+++

このAくんとの一連の話を一人にだけ話したことがある。
いま住んでいる場所で初めてできた友人で、彼女とはもう10年くらいの付き合いである。

あっけらかんとした性格の彼女がわたしは大好きなのだが
この話をしたら
「もう運命じゃん!老後独り身になったときにまた出会ったらその人と一緒になるしかないよー!」
とのこと。

いや、そんな不吉な。
老後独り身を確定しないでくれ。

しかも仲良くないし
そんなことになるような距離感じゃないのよ。。。



Aくんと2回、偶然に出会っている。
連絡先も知らない彼との3回目はあるのだろうか。

3回目の偶然の出会いは運命と呼べるのだろうか。


すっかりおばあちゃんになっているかもしれない3回目の出会いを楽しみにしている自分がいる。

しかし、きっとこういうのは意識していたら会えないのだろう。
私はまたAくんのことを忘れることにして
3回目の偶然に備えておくことにする。


おわり


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