短いホスト生活で学んだこと。
大学2年秋から大学3年夏までの話。
当時、地元からずっと付き合い東京に連れてきた彼女と別れ、完全に暇人になった中で、最後の東京の思い出として、地元の仲間にネタになるようなバイトをやろうと考え、ホストになった。
新宿でイケメンの友人といるところに声を掛けられ、誘われるがままにホストの門を叩いた大学2年の秋。ちょうど20歳。
ホストは序列に厳しい。
幹部になるまでは、入社順に先輩後輩の序列が出来あがり、年齢は関係ない。
高校で序列の厳しいヤンキー生活を送ってただけに慣れている部分はありつつ、年下の先輩にお前、と言われ、年上の後輩にお前、というなんか少しカオスな状況に最初戸惑った。
最初は皿洗いと幹部へのお茶くみと掃除から始まった。
テレビに出てくるような下っ端やな笑、と我ながらツッコミたくなる新人生活が1ヶ月続いた頃には、私のあとに100人後輩が出来ていた。
そしてその1ヶ月後には、うち99人が辞め、また新しい新人が100人入るという、月の離職率99パーセントの世界だった。
ちなみに私と一緒に入った友人は1日で逃げ出した。ただこれは、全く珍しいことではなく、所属するホストクラブの厳しさにもよると思うが、大体1週間持てば上出来と思う。それくらい独特の雰囲気がホストの世界にはある。
新人1ヶ月の間、下っ端雑用をやりながらも、売れっ子ホストのヘルプで接客することもあった。ただし爆弾と言われる禁止ワードがあり、そのワードをうっかり言って、お客さんが来なくなったら、そのホストがそのお客さんで売り上げていた3ヶ月分を弁償するという新人には恐怖すぎるルールがあったので、接客に呼ばれることはチャンスでありつつも、恐怖でしかなかった。
ちなみにホストにくる大半は訳あり女性で、風俗嬢、AV女優が多く、その次に全額注ぎ込む系OL。たまーに女子大生もいた。ゲイや反社会系の皆様もたまに来た。当店は比較的若い女性客が多かった。
いまでもホストの先輩達には感謝している。
たかだか1年だが、人生でベスト5に入る思い出と経験で、ホスト経験がなければ私の今のアイデンティティはない。
就活との両立が難しく、泣く泣く退社したものの、本当に可愛がってもらい、最後はナンバー入りもでき、ドンペリで幕を閉じた。
よく言われるNo.1とかには足元にも及ばなかったが、私の場合は、店長代理も最後は担い、運営面を任せてもらったので、たかだか一年だが、お店を回せる貴重な経験まで積ませてもらった。
結局のところこんな世界で一年弱やってきたわけだが、そこで学んだのは、
『執念』に勝るものはない、ということ。
私が続けられた理由は、間違いなく一緒に働く人だった。ホストで生き残る人たちには共通点があった。それは秘めたる『執念』の量が常人より桁違いに多い。そんな彼らと働くことで、毎日が成長痛の日々で、泣きたいくらい成長できた。
現実問題、執念がないと、
毎月の恐ろしいノルマに、週6で1日15時間くらいのハードワーク。そしてこれだけ働いて、売上立てられなければ手取り10万ちょっと。
そして、(可愛がってもらったと言いつつ)マジでこわい幹部陣。(幹部といっても19歳〜25歳位)。
こんなもの耐えられない。
こんな中でのし上がってく人たちは、何かを成し遂げたい、という強い想いが、ホスト一人一人ベクトルは違えどどこかしらに強く向かってる。
※ちなみに私の執念は何かというと、人と違う自分を追求する恐ろしいまでの意欲(ある意味成長意欲??)だった笑
いまこれらの思い出をベンチャーに置き換えてみる。
勢いのあるベンチャーのボードメンバー、シニアマネージャークラスになると、この執念がとても大事。
レイヤーが高くなるに連れて、ベンチャー界ではこの執念をコミットと呼び、コミット出来るか否かで、突き抜け方が変わってくる。
最近忙しいからか、なぜだかふと、15年以上前の思い出が蘇った。
そして、久々に自分が所属していたホストクラブのホームページを見たら、自分が手取り足取り指導していた二個下の後輩が、専務取締役(幹部としてはNo.2の存在)になっていた笑
てかまだやってたんや、、長っ!