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対立を乗り越える力: 具体と抽象を理解し、ビジネスパーソンが成長する20の視点

はじめに

ご覧いただきありがとうございます!
株式会社M&Aクラウドで人事をしている仙波です。

今回は『具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ』について書かせていただきます。本記事は私の読書感想文的な、学びをシェアする記事であり、網羅的な本の要約記事ではありませんので、その点あらかじめご了承下さい。

※流行りのChatGPTにタイトルを変更してもらいました(2023/04/09)

今後も定期的に本の感想や日々の学びをシェアしていく予定ですので、もしよろしければ「スキ」と「フォロー」をしていただければ嬉しいです!

序章

「わかりやすさの時代」にどう生きるか?

世の中、何ごとも「わかりやすい」方向に流れていきます。
「わかりやすい」とは、多数派に支持されることを意味します。つまり、社会においては、わかりやすいことをやっている人、組織が必ず優勢になります。これは普遍的かつ後戻りできない、一方的な不可逆の流れのようです。

「わかりやすさ」の象徴が「具体性」です。本でもテレビ番組でも講演でもネットの記事でも、「具体的でわかりやすい」表現が求められ、「抽象的な表現」は多数の人間を相手にした場合には徹底的に嫌われます。ところが、本書で表現したいのはその抽象概念そのものです

ではなぜあえて、本書は具体性という意味での「わかりやすさ」に対して疑問を投げかけるのか。「わかりやすさ」が求められるのは、社会や組織が「成熟期」に入ってからが顕著です。このような段階では、連続的な変化は起こせても、破壊的にそれまでの弊害をリセットするようなことを行うのが極めて難しくなります。ところがそういう「成熟期」だからこそ、来るべき「衰退期」に備えて「世代交代」を考えるのが必要なのです。

そんな時代に必要な能力が「抽象概念を扱う」という、不連続な変化を起こすために必要な知的能力です。
人間の知性のほとんどは抽象化によって成立しているといっても過言ではありませんが、すべて具体性が重視される「わかりやすさの時代」にはそれが衰退化していってしまう危険性があります。
そのような「抽象」を扱う方法を、「具体」との対比で「わかりやすく」解説するのが本書の目的です。ただしその「わかりやすさ」は、具体の世界でいうわかりやすさとは違います。

抽象化なくして生きられない

私たちのまわりの世界は、突き詰めればすべてが「具体と抽象」の二つの対立概念から成り立っています。そして、「具体=わかりやすい」「抽象=わかりにくい」というのが一般的に認知されているこれらの概念の印象です。このように具体=善、抽象=悪という印象はとんでもなく大きな誤解です。

「抽象化を制する者は思考を制す」といっても過言ではないぐらいに、この抽象という概念には威力があり、具体と抽象の行き来を意識することで、間違いなく世界が変わって見えてきます。

それほど重要な概念であるにも関わらず、大抵の人はこのことを体系的に学ばずに一生を終えてしまうのです。本書ではその重要性を理解するために、その概念と、実生活にどのように適用するかについて解説します。

下記の表は「具体と抽象」の特徴を比較してます。各々の比較については本書の各章で具体的に説明されていますが、ここで簡単にまとめておきます。

本書の目次

本書では下記のように各章で様々な観点から「具体と抽象」の概念、実生活での適用方法がまとめられております。

第1章 数と言葉: 人間の頭はどこがすごいのか
第2章 デフォルメ: すぐれた物まねや似顔絵とは
第3章 精神世界と物理世界: 言葉には二つずつ意味がある
第4章 法則とパターン認識: 一を聞いて十を知る
第5章 関係性と構造: 図解の目的は何か
第6章 往復運動: たとえ話の成否は何で決まるか
第7章 相対的: 「おにぎり」は具体か抽象か
第8章 本質: 議論がかみ合わないのはなぜか
第9章 自由度: 「原作」を読むか「映画」で見るか
第10章 価値観: 「上流」と「下流」は世界が違う
第11章 量と質: 「分厚い資料」か「一枚の絵」か
第12章 二者択一と二項対立: そういうことを言ってるんじゃない?
第13章 ベクトル: 哲学、理念、コンセプトの役割とは
第14章 アナロジー: 「パクリ」と「アイデア」の違い
第15章 階層: かいつまんで話せるのはなぜか
第16章 バイアス: 「本末転倒」が起こるメカニズム
第17章 理想と現実: 実行に必要なのは何か
第18章 マジックミラー: 「下」からは「上」は見えない
第19章 一方通行: 一度手にしたら放せない
第20章 共通と相違: 抽象化を妨げるものは何か

『具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ』

また、一貫して下記の図が用いられ、思考イメージが示されております。

各章ごとにとても学びが深いので、是非ご一読いただきたいと思います。

終章:抽象化だけでは生きにくい

抽象化は人類の知性の発展にとてつもない貢献をしている一方で、様々なコミュニケーションギャップや偏見も生み出してきました。
良くも悪くも身の回りの事実を「解釈」することを覚えてしまった人間は、自然をありのままに眺めることが非常に難しくなってしまっています。中小レベルの概念はそれが固定化されやすいという性質を持っており、これが偏見や思い込みを生み出し、私たちの判断を狂わせます。

さらに、抽象度という一つの座標軸におけるスタンス(ピラミッドのどの高さを基準に具体と抽象を切り分けるか)が人によって異なるために、人間同士のコミュニケーションにも障害をもたらすことが多いのです。
例えば、抽象の世界に足を踏み入れてしまった人は、その世界が見えていない人にいらだちを覚えます。「表面事象」でしかものを捉えられない部下に不満を持つ上司がその典型です。

これらの弊害も考慮していくと、結局重要なのは、「抽象化」と「具体化」をセットで考えることです。これらは一つだけでは機能せず、必ずセットになって機能します。

福沢諭吉は「高尚な理は卑近の所にあり」という言葉を残しています。まずは徹底的に現実を観察し、実践の活動を通して世の中の具体をつかみ、それを頭の中で抽象化して思考の世界に持ち込む。そこで過去の知識や経験を繫ぎ合わせてさらに新しい知を生み出したのちに、それを再び実行可能なレベルまで具体化する。これが人間の知とその実践の根本的なメカニズムということになると考えられます。

そのような「具体と抽象」の全体像をつかむ上で、本書で解説される「抽象度」という観点で身の回りの事象を観察することが重要になります。

まとめ

今回は『具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ』について書かせていただきましたがいかがでしたでしょうか?
いつもの記事より「抽象的」だな、内容が薄いなと感じられた方もいらっしゃるかと思います。ただ、それは本書で伝えている「具体と抽象」の概念についてきちんと理解していただきたく、私が「具体的でわかりやすい」記事を書くのではなく、本書を是非手に取っていただきたいと考えたからです。

また、私にとってもまだまだトレーニングが必要な概念だと思いましたので、何度も読み返しながら自分のものにしていこうと思います!

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