【大成功】文フリ東京36の舞台裏!
こうして自分の声をnoteに載せるのははじめてになります。改めまして、飛由ユウヒと申します!
普段は名古屋を拠点に、文学サークル「ゆにばーしてぃポテト」にて年に一冊、合同誌「DITTO MAKER」の作成に尽力しております!
そんなぼくが、サークルとしてではなく、個人で、2023年5月21日(日)の文学フリマ東京に出店してきました!
話をしたいことがたくさんありすぎてうまくまとめられる自信がありませんが、頑張ってみようと思います!
1.参加を決めたきっかけ
そもそも文学フリマへの参加ははじめてではありませんでした。というのも、冒頭でもお伝えしましたが、ぼくは普段、名古屋を拠点に置く文芸サークル「ゆにばーしてぃポテト」の一員として活動しております。サークルメンバーとして文学フリマに出たことがあったからです。
ゆにばーしてぃポテトとしては、計2回、2021年と22年の文学フリマ京都に出展しました。手探りながらも、どうしたら買ってもらえるのかを話し合ったりして、自己評価ですが、成功したんじゃないかなと思ってます。なによりも、同じ空間に多くの“小説が好きな人”や“小説を書く人”がいることにパワーをもらいました。水を得た魚のような気持ちで、ここが自分の生きたかった居場所なんだと思えたことは、記憶に新しいです。
今回、サークルの枠を飛び出して、個人での参加に踏み切ったのは、当時抱いていた感情に、物足りなさを感じていたからだと、振り返ってみてそう思います。
こんなことを言うと、サークルのことを悪く言っているみたいに聞こえるかもしれませんが、もちろんそんなことは一切なくて、グループでうまくできたからこそ、自分の力だけで挑戦してみたいという思いがありました。じつのところ、ぼくは欲張りなんです笑。
思えばここ2年間くらい、個人でいろいろなことに挑戦していました。
覚王山のカフェに作品を展示してもらったり、ペーパーウェルというネットプリントのイベントに参加したり、先輩作家さん主催のアンソロジーに参加させてもらったり。ほかにも、文芸ZINEに載せてもらったり、BFCという文芸バトルにも参戦したりもしました。
たくさんの経験を積むことで、自分のやりたいことが明確になっていくのと同時に、小説を本格的に書きはじめて7年くらいになりますが、まだまだほかから見たら、ぽっとでの新人なんだなというのをひしひしと感じていました。SNSは大海原です。ぼくなんかよりすごい人がいるのは至極当然のこと。それでもその先輩たちに肩を並べたいと、言葉にはしてこなかったですが、ひそかに思いを募らせていました。
幸いにも、ぼくには、専門学校で培ってきた”製本するまでの知識”と”基礎的なデザインに対する技術”があります。あとは思い立ったが吉日です。「最悪、無理なら出展料を入れずに辞退すればいっか」とか浅はかなことを考えながら思いながら、勢いに任せて応募をしてみました。
それでもやっぱり、ひとりは怖いです。
全責任が自分ひとりにのしかかるわけですから。
だからぼくは、ブース名を『飛由ユウヒと架空の仲間たち』にしました。ここで言う、架空の仲間たちというのは、ぼく自身が書いた小説の登場人物たちのことを指します。自分が信じてきた文学とともにいくのであれば、東京なんて怖くない! そう、自分自身を奮い立たせてきました。
2.短編集「灰皿に春を」制作秘話
まず最初にやったことは、スケジュール組みです。
普通はどれくらいの期間準備に充てるものなのでしょうか? それすらよくわからないまま、なんとなく完成形をイメージしてみました。当時のメモがったので、それを紹介します。ぼくが当初思い描いていた、掲載予定リストです。
すでに購入していただいたかたはご存知の通り、かなり縮小されてますね笑。まず表題作が違います。そしてなんと、3番の「過ぎ去った青春」という草案だけ用意していた原稿が、「灰皿に春を」というタイトルに昇華して、表題作を飾ることになりました。
結果的に、1番と4番はスタメン落ちです。理由は単純明快。修正が間に合わなさそうだったからです。7番の新作も同じ理由でボツに。
もし1番と4番の作品が気になるかたは、無料で読めますのでぜひご覧くださいませ。
https://note.com/yuuhi_sink/n/n87b9cbc92cbb
そして、最終的に勝ち残ったのはこの4作。
少なっ!って感じですが、内容には満足してます。なんだかんだで、同じ毛色の作品がそろいましたし、これが今のぼくのベストかなとも思います。自分に期待しすぎていたのかもしれませんね。
また、「灰皿に春を」というタイトルができあがった瞬間、この子を、アイドルグループでいうところのセンターにしてあげたいと強く思いました。ほかの作品を引っ張ってくれるような、そんな予感がしたのです。この作品だけは、大幅な修正を加えております。そして結果的に、このじゃじゃ馬作品に、長期に渡って苦しめられることになります。
当初考えていたスケジュールはこうです。
文学フリマ東京36に応募したのは11月だったと思いますが、本職の兼ね合いやサークルでの出展の準備やらで個人制作になかなか手が出せず、本格的に取りかかったのは2月からと記憶してます。
正直、この時は「余裕だろ」と思ってました。根拠のない自信に満ち溢れていた時期が、ぼくにもありました。
実際に動いたのは、以下の通りです。
スケジュールってのは往々にして、予定通りにはいかないものです。みなさんもそんな経験ありますよね?笑
ぼくの場合は相方のnananaさんに表紙イラストを依頼をしていたので、早めに「灰皿に春を」の原稿を仕上げる必要がありました。作品を読んでイメージを膨らませるためですね。結局、完成まで間に合いそうになかったので、6割くらい書いた原稿と、その後の展開や完成イメージを口頭で伝えて、書いていただく形を取りました。普通にお願いするときは絶対に真似しないでください笑。
全体のデザインについては、AdobeのIllustratorを触れられる環境があるので、自分の手でゼロから作成しました。
本屋さんで一般的に流通している書籍の本文レイアウトを真似ると、本が過度に薄くなってしまい、貧相な感じになってしまいそうだったので、文章の読み応えと合うように行間や余白にこだわりました。
そんなこんなで完成した「灰皿に春を」。
正直、こんなにかわいい仕上がりになるとは思っても見ませんでした。文フリ当日では、「表紙とタイトルに惹かれて見に来ました!」というかたがいらっしゃったので、本当に頑張って良かったなと思います。
長いようで短かった準備期間を経て、ぼくがこの日のために用意できたのは全部で4種類。個人初参加にしては、十分じゃないでしょうか?
①短編集「灰皿に春を」
②100円文庫(文芸ZINE)全3種類
③ゲンキゲンキ缶バッチ全5種
④合同誌「DITTO MAKER」vol.5と6
⑤無料配布の名刺兼読書カード
3.いよいよ文フリ当日!
名古屋から東京まで、格安の”ぷらっとこだま”で約2時間半の小旅行。“架空の仲間たち“とともに、キャリーケースを引きずりながら向かいます。旅のお供として、中村明さんの「文章作法辞典」を読みながら、どんな出会いがあるのか、期待に胸を膨らませていました。
現地に着いたのは開場30分前の11時半過ぎ。100均のイーゼルを壊してしまうというプチトラブルこそありつつも、ブースの設営は前日に練習していたので、あまり時間もかけずに作り上げることができました。
突然ですが、ここで”飛由ユウヒちょっとしたブースのこだわりポイント”を紹介!
まずは、アイキャッチとなるA3ポスター。この日のためにポスタースタンドをAmazonで購入しました。印刷はコンビニの印刷機を利用。SNS宣伝用で使っていたポスターをそのまま流用することで、Twitterを見てくれた人が見つけやすいようにと意識しました。
次に高さです。ほかの出展者さんも意識されていることかと思いますが、人の目線に近い位置に商品が来るように底上げをしました。立体感が出て良いですね!
そして、気になっているかたも多いと思いますが、パイナップルとサメのぬいぐるみも、(かわいいぬいぐるみが単純に好きというのもありますが......)接客時の話題になることを狙って”あえて“持ってきたものです。
もしお客さんに突っ込まれたら「客寄せパンダならぬ、客寄せパインなんですよ〜」と返して笑いを生む算段でした。3歳くらいの女の子がパイナップルのぬいぐるみを見て指さしていたので、多少なりとも効果はあったかと思います。
これはぼくが接客時に大切にしたかったことなのですが、お客さんに”おもしろい・楽しいって思ってもらいたい”という思いがありました。
缶バッチの紹介をするときも「絶妙にダサい缶バッチ売ってます!」と言って笑いを誘ったり、好きな作家を聞いて「◯◯って作品読みました!おもしろいですよね!」と共感したり、立ち寄ってくださったみなさまに「楽しんできてください!」と見送ったり。文芸イベントであまりそこに力を入れる参加者は少ないかと思いますが、やっぱりぼく自身が、『小説を読む仲間がいる』喜びを体験したことがあるからこそ、手を抜いてはいけない部分かなと思っていました。
ちなみに、東京文学フリマに来場したお客さんの好きな作家1位はダントツで「伊坂幸太郎」でした。(飛由ユウヒ調べ)
ぼくが文学フリマ東京で1番感動したのは、ご近所さんたちに優しさです。
設営が終わるなり、左隣の百眼さんと”いにしえの風習“という名の商品交換を行い、そのまた左隣の第四ターミナルさんと缶バッチの話で盛り上がり、右隣の燐果さんから「BALMでご一緒しましたよね?」と声をかけてくださり、そのまた右隣のGAMABOOKSさんからオリジナルチロルチョコをもらったり、とにかくその場が温かかったです。
個人参加は初でしたが、ひとりで出ている感じはまったくなく、出展者も参加者と同じくらい、いやそれ以上に楽しんでいる雰囲気がありました。この初めて出会った人同士の連帯感が、たまらなく刺激的で、本当に大切な時間でした。
優しかったのは出展者だけではありません。
来場者の中には、ぼくのこと認知してくださったかたもいて、「実は◯◯という名前で活動していて」と声をかけてくださりました。
アンソロジーでご一緒した灰澤さんは、ぼくの東京逃避行のことまで知ってくださり、「病まないように頑張りましょう!」とエールを送り合いました。ともにBFCで予選優秀作に選ばれた関澤さんとも話をすることができました!
またこんな出会いもありました。「灰皿に春を」の表紙を見て、「友達のイラストに似てる」と言ったお客様がいました。地元の名古屋でそういう話が出るならまだしも、ここは350キロ離れた東京。ぼくがイラストレーターの名前を言うと、「◯◯だ!(nananaさんの本名)」と、まさかの合致。しかも当日21日には、nananaさんは東京ビックサイトでデザインフェスタに参加していたので、そのことを伝えるととても驚いておりました。
いろんな出会いもあり、あっという間の5時間。
本当に、かけがえのない時間を過ごさせていただきました。
4.感想
文学フリマから1週間が経ちましたが、まだその熱が冷めておりません。
ご近所さんの本を早く読みたくてうずうずしていますし、来年(まだ出られるかわかりませんが)はこういうことやりたいな、という構想をちょっとずつ考えていたりもします。「灰皿に春を」がぼくの予想をはるかに上回るくらい、いろんなかたにお迎えいただいたおかげで、少しばかり欲が出てしまいました。それだけ、刺激的な成功体験だったと思います。
文学フリマ出ようか悩むなぁ、というかたがこの記事を読んでいたら、ぼくはぜひとも「出てみましょうよ!」と声を大にして言いたいです。文フリ当日のお客様の中にも、「本を作りたいんですよ」と相談してくれたかたがいました。ぼくはふたつ返事で「やりましょうよ!」と言った気がします。
本を作るにあたって、難しいことはいろいろあると思いますが、今回ぼくが紹介したプロセスがすべてではありません。もっと簡単に作れる方法もあります。一度思い切って、軽い気持ちで応募してみてはどうでしょうか?
その小さな勇気が、大きな出会いを生みます。同じ文学の世界で息をする仲間の存在を、ぜひその目で知ってもらいたいです。
最高に楽しい世界が、待っているはずです!
飛由ユウヒ
【宣伝です! 文学フリマ東京36にも持っていった文芸ZINEの作品が100円で読むことができます!!】