外貨準備はどこから来るのか
「外貨準備」とは、中央政府や中央銀行が持っている外貨のことです。
現代貨幣理論(MMT)では、中央政府と中央銀行を合わせて統合政府といいます。
政府部門と民間部門を足した国内部門の合計を「対外資産」といいます。
民間部門が稼いだ対外資産を、中央銀行が自国通貨と交換した際に外貨準備は増えます。
すなわち、外貨準備とは、対外資産の内、統合政府の保有分のことです。政府の内、社会保障基金や地方公共団体の保有分は含みません。
従って、外貨準備か否かは、統合政府の対外資産なのか、統合政府以外が保有する国内の対外資産かだけの違いです。
例として、日本がアメリカに対し、一万ドル分の輸出をしたとします。
結果として、日本は1万ドル貿易黒字になり、アメリカは1万ドル貿易赤字になります。
その結果になるまでの資金循環を以下の図1枚で表しています。
マクロ会計の恒等式の通り、
$$
政府部門(政府+中央銀行)+民間部門(民間銀行+民間)+海外部門(海外民間部門+海外政府部門)=0
$$
となります。
日本円と米ドルという通貨同士では、本質的に相互変換されることがないということに注意してください。
水と油のように、全く別の通貨なので絶対に交じることはありません。
民間は、自国の租税を支払うために、外貨ではなく自国通貨を欲します。(租税貨幣論)
従って、民間は統合政府に外貨を持ち込み、自国通貨と交換してもらいます。
ここで「対外資産」が「外貨準備」になります。
統合政府は、ただ外貨を持っているだけでは儲からないので、米ドルであれば米国債と交換することになります。
日本銀行は保有する米ドルで、FRBから米国債を買います。こうして日本銀行は「金利が付いている米ドル」すなわち「米国債」を得ることになります。
これが日本政府(実質は日本銀行)が大量に保有する米国債の正体です。
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