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短編文学的エッセイ 【セゾン・トーク】

季節の変わり目には、どうしても心や体に変化が生じる。
それはただ気温や天候の話ではない。もっと内面的なものだ。誰しも自分にとっての「季節」、つまり特別に心地よく感じる時期というものがあると思う。僕の場合、それは秋から冬にかけてだ。

12月が誕生月だからかもしれない。秋が深まり、寒さが増してくると、なんだか心が静かに整うような気がする。いつの間にか冷房がいらなくなっていることに気づいたり、街が冬支度を始める様子を眺めると、自分自身もその流れの中にいることを感じる。これは、幼い頃から変わらない感覚だ。
夏の暑さにうんざりしてしまうのに対して、冬の寒さにはなんとなく耐えられる気がする。

寒さが好きだというわけではない。
ただ、暑い季節よりも、寒さの中で過ごすほうが自分に合っているだけだ。半袖のシャツよりも、長袖のセーターやコートに包まれる方が、どこかしっくりくる。自分らしさを感じるし、心のリズムも安定する。春や夏にはない、静かな喜びが、秋冬の空気にはあるのだ。

冬が近づくたびに、僕は新しい自分に生まれ変わるような気持ちになる。
街の色が少しずつ変わり、春夏の終わりとともに、一つの時代が幕を閉じ、新たなステージが始まるような感覚だ。秋風に吹かれて、街の人々や景色がすべて新しく見える。特に、季節の移ろいを感じさせるものの一つが服だ。長袖やコートに袖を通すと、自分自身も「衣替え」したような気分になる。これは、軽い半袖の服では感じられない独特の感覚だ。

とはいえ、季節の変わり目は体に負担をかけることもある。
特にこの時期、風邪をひきやすくなる。気温の変化に体が追いつけないのか、それとも心が新しい季節を先取りしすぎているのか。僕の体はいつも、変化に対して少しだけ遅れている。でも、それもまた季節を受け入れるための一つの過程なのかもしれない。体が新しい季節に順応するために、少しバランスを崩す。それも、自然なことだ。

そう考えると、季節の移り変わりは単なる気候の変化以上の意味を持つ。
外の世界が変わることで、僕たち自身も少しずつ変わっていく。景色だけでなく、内面的にも。夏の自分が静かに姿を消し、冬の自分が姿を現す。
たとえそれが身体に負担をかけるとしても、それは避けられない「変化の証」だろう。だから、季節を楽しむためには、体と心を整えることが大切だ。水分をしっかりとって、健康的な食事を摂り、十分な睡眠を心がける。

季節が変わることで、普段は意識しないようなことも考えるようになる。
例えば、去年の今頃、僕はどこで何をしていたのだろうか。そんなふとした思いが浮かんでくる時、それが僕にとっての季節の変わり目を告げるサインだ。

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