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おしゃれな雑は難しい

私は「雑センス」に欠けている。
何年もこのセンスを高めたいと思い続けているものの、一向に身につく気配がない。

雑センスとは、オシャレに見えるよう計算しつくされた雑さのことだ。
海外ドラマに登場する文学好きな人の本の片付け方は、その人の雑センスが光る典型的な例だと思う。テーブルの上や床、なぜか本棚であっても立てかけることはなく、たいてい高く積み上げられている。登場人物はその本のタワーからサッと一冊を選び抜き、コーヒーを片手にベッドに寝っ転がったり大きなソファにもたれかかったりして、読書をしている。そして読み終わると、タワーの最上階へと再び戻すのである。
高さもまちまち、重ねている本のサイズもまちまちであるにも関わらず、なぜかとてもオシャレに見える。
このタワーのままニトリで発売してほしいくらいだ。
この部屋に憧れ、本棚にしまいきれなくなった小説やマンガ、雑誌を自らの雑センスに任せて片付けてみたことがある。できるだけポップな表紙の雑誌や装丁がお気に入りの小説、洋書などを選び重ねていく。あえてジグザグに危なっかしく配置して、雑感も出してみる。
積み終わった本を少し離れたところから眺めてみたり、スマホのカメラを通して見てみたりする。
全く上手くいかなかった。ただただ散らかり方が立体的になっただけだ。お気に入りの表紙の本たちを積むために本棚から出したおかげで、余計に部屋が散らかったようにも見える。

特に、私が高い雑センスを持っていると思うのは、パソコンやキャリーケースにステッカーを貼っている人だ。知らないバンドのステッカーやどこかの国で購入したのであろうステッカーが、ランダムに貼られている。それらは時に、重なっていたり端を切られていたりする。お見事!雑に貼っているように見えて、構図や色などが考え抜かれている。
シンプルで広い画面にバランスよく装飾することは難しい。それゆえ、雑さセンス0の私が貼ると、汚れ隠しをしたパソコンと旅行先の数自慢のキャリーケースになってしまうことが目に見えている。
パソコンやキャリーケースに一度貼ってしまうと、やり直しがきかない。白く薄いベタベタが残るばかりで、指でこすって余計に汚くなるだろう。それどころか、少々鼻につくものになってしまいかねない。一回限りの挑戦は、雑さセンスに対する自信が相当付かなければできることではない。

まずは、本をちょうどよく雑に積む練習から始めていきたい。

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