順番待ちのシャープペンシル
私の筆箱の中には、常に3本のシャープペンシルが入っている。
グリップの触り心地がいい0.5㎜と、華奢なとろサーモンピンク、パステルグリーンと白のツートンの0.3㎜。中でもツートンカラーのシャープペンシルは、色も好みでグリップの太さもちょうどよく、一番のお気に入りだ。
筆箱を開けて、私はいつも「昨日はこれを使ったから、今日は君の出番だよ」と思いながら、シャープペンシルを取り出す。
どうしても、1本だけを繰り返し使うということができない。たとえ、お気に入りのものがあったとしても、そればかりは使えない。
なんだか筆箱の中で手に取られることもなく、じっと転がっている後の2本に申し訳なくなってしまう。もちろん、面と向かって「何でこればかり使うのよ!」と怒られることはないけれど、えこひいきしてツートンカラーだけを使うということに、強い罪悪感を覚える。整理券を手渡して順番待ちをしている順に筆箱の外へと呼び出していく。
この素材の紙に書く時はこれ、テストの時はこれ、というように、用途によって使い分けをしているのであれば、こだわっている風にも見えるのだが、同じものばかりを使いたくないというのが厄介なところだ。テスト期間など毎日そのシャープペンシルを使うことになる。
自分で自分のことが、面倒になってくる。
このややこしい私の癖?ある意味こだわりが発揮される場面は、これだけではない。
私は6枚のフェイスタオルを持っていて、2枚ずつ使い回している。
使う時にはカゴの左から取り出し、洗濯して畳んだものは右へと戻す。洗濯したものをそのままタオルハンガーに引っ掛けることは、また例の罪悪感のためにできない。
いつもタオルを折り畳みながら、本当はこのまま引っ掛ければもっと家事が楽になるのに、と分かりきったことを考えつつも、やっぱりカゴの一番右へと戻す。
本当に、めんどくさい、私。
戦わずとも答えは決まりきっているし、そもそも別に戦う必要のないどうでもいいことなのだが、私の頭の中では効率重視派と謎のこだわり優先派が熱い戦いを繰り広げる。そして、なぜだか必ずといっていいほど謎のこだわり優先派が勝利する。
願掛けのような意味があるわけでもないし、そう教えられたこともないのに、どういうわけか私が使うものはいつも順番待ちをしている。
待ってしまっているものは仕方がないから、その順に使うしかない。
このこだわりのために自分の生活の一部を少々、犠牲にしてしまっている気もするが、私は本当にめんどくさいから変えることはできなさそうだ。