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マスクは顔になった

ドラッグストアやネット通販で並ぶ「マスク」が年を越すタイミングだっただろうか。ガラッと変わった。昨年秋ごろに出てきた(と記憶している)肌なじみの良いマスク「血色マスク」が並ぶ。物の売れ方を再確認した。

マスクの種類と売れ方はすべてに共通する。

マスクの種類と売れ方を見ていると、2020年までと2021年、そして2022年で明らかな違いがあるように思う。そこに、ビジネスのヒントもあるように感じるので、言語化しようと試みた。冒頭のツイートした時には、考えの輪郭が曖昧でだったことが今の段階ではっきりしてきたことだけ書いてみようと思う。

マスクは機能性

2020年まで、言わずもがな、マスクは機能性をとにかく追求してきた。一般には「白」医療用で「ブルー」を見ることが多く、病気になった時、また花粉症の人がつけるもの、である。
花粉がいかに入り込みにくいか、メガネが曇りにくいか。わずかに蒸れない、というものもあった。風邪で喉が痛い人のために湿度を保つ夜用マスク、など。
そして、新型コロナウイルス感染症の蔓延。輸入品に頼っていたマスクは一気に品薄になり、国内他業種が政府の補助を受け、生産を開始。もちろん最も大事なのは、感染症対策であるから、ウイルスを通さない「機能性」が重要視される。

いつものまさこ(私の相棒)
マスクで赤みのある場所を覆ったまさこ

2020年9月以降マスクの供給が追い付き、一時期50枚入り1万円にまで上がっていた使い捨てマスクが1000円前後に、その後すぐに700円程度になったと記憶している。しかし、白いマスクと言うのは、青白い光を反射する。さらに、頬や唇と言った赤みのある部分を覆ってしまうことで、非常に顔色が悪く見えやすい。そのため、お客様や友人には「目元に光を集めるパール系のシャドーを下まぶたにつけるように」「白ではなく、シャンパンゴールドやピンクみのあるシルバーを選ぶ」とアドバイスしていた。

マスクはおしゃれ

不織布のマスクが最もよい。中でも3枚重ね以上のもの。その機能が分かっていても、接するもの同士が症状がない状態でマスクをつけることに大きな意味はない。2020年マスクが手に入らない時期に手作りの布マスクが飛ぶように売れていた。おしゃれな柄の6重ガーゼマスクなどは以前からあったものだ。知り合いのハンドメイド作家は、1年間で売れる量が1ヶ月で売れてしまう、と言って日々マスクの生産を頑張っていた。
そして、それまでマスクを作っていなかったアパレルブランドやスポーツメーカーなどもマスクを作成。全額寄付される宇野昌磨の衣装デザイン200~250ドルのマスクが出たのは2020年5月だ。
その流れは2021年マスクが供給されても続く。
毎日「つけなくてはならない」ものを「おしゃれをするもの」に転換。使う人がいるとわかれば、新たなデザインが増える。洋服と色を合わせている女性も少なくなかった。2021年の前半は布マスクをつけている人が多かったように思う。
その後新たな流れが出てきたのは、「デルタ株」の存在だ。以前より感染力が高くなっている。かかると重症化しやすい。だからマスクは不織布にしましょう。そんなメッセ―ジがいたるところで流される。
布マスクの下に不織布をシートを入れる人が増えてきた。おしゃれは大事だが、機能性も大事、そんなところだ。

マスクは顔

2021年夏ごろ、白いマスクが敬遠される流れから、「血色マスク」と呼ばれるものが出てくる。(正確に夏に出てきたのかどうかはわからないが、ドラッグストアで並ぶようになり、私が認識したのがこの時期だった)
当時の主な色は「ピンク」と「ベージュ」どちらも肌なじみが良い。ネットで見てもあまり多くのメーカーは存在していなかった。
その後、柳葉型の原色マスクが出てくる。メイクが落ちにくく、口に張り付かないので、会話がしやすい、ということで若い層および、接客業に使用者が増えた。奇抜な原色マスクはつけていると目を引くが、実際のところ街中でつけている人をあまり見かけなかった。地域差はおおいにあったであろうと推測している。
そして2021年の終わりごろには、「血色マスク」の色が爆発的に増える。
ピンクであればいい、ベージュであればなじむだろう、そんな次元を超えて、ピンクは淡いベビーピンクや黄みを感じるコーラルピンク、色の存在感のあるローズピンクなど、様々なメーカーから、あるいは一つのメーカーから複数の色展開がされたのだ。まるで、化粧品メーカーが肌色に合う色を選んで欲しい、と出す「チーク」(頬紅)のように。
2022年になり、その商品展開は大きくなり、ネットだけじゃなく、ドラッグストアでも「機能性」をうたうマスク以上に売り場を割かれているところを見かけるようになった。
マスクは、顔になった、と感じた。
もう、顔にマスクがあるのが足り前なのだ。おしゃれをする洋服やアクセサリーよりも、もっと切り離せない、顔そのもの。
だから、おしゃれで目立つことよりも、肌になじむもの、髪色や普段のメイクに溶け込むもの、メイク映えやカメラ映りをよくするものである必要がある。

母数が増えたから、「我慢」を解決する商品が出てきた

売れるマスクの移り変わりの速さを感じながら、どこか当たり前だというように感じていた。なぜ、当たり前と感じたのか。
「白いマスクはどうしたって、顔色悪く見えるから」
それは、コロナ前から同じだったではないか。
「抗菌糸を使ったマスクをしていても、不織布じゃないとダメという風潮が強いから」
それも、2020年のマスクの供給が出てきたころから同じではないか。
ではなぜ?
結局のところ、母数が増えたからだと思う。
新型コロナウイルスの影響で国民病と言われながらも、花粉症でマスクをつける人は限られていて、期間も短かった。小さな子供を除く全国民がマスクをつけるようになれば、母数はいったい何倍になったのかわからない。
さらに、布のおしゃれマスクでもよい、と言う雰囲気から、感染率の高い変異株が増えたことで、できるだけ不織布マスクがいいよね、と言う人が増えたため、買い控えていた人も不織布を購入するようになったのではないか、と。

「困りごと」を抱えている人がいて、その人数が一定数あり、利益が見込めるとわかるから、商品が出る。機能性マスクの「メガネが曇らない」や「ひんやりして蒸れにくい」などと共に「肌なじみが良い」マスクが一般的なドラッグストアのマスク売り場を陣取るようになったのだ。

毎日剃って、毎日肌荒れ。いつまで我慢しますか?

マスクのことを考えていて、私が誰のどんな「我慢」を解決できるだろうという視点で考えてみた。

すると、出てきたのは、男性の髭剃りによる肌荒れ。
私の兄も、パートナーも髭剃りをするたびに肌荒れが激しい。毎日剃るもので、不要なものなのにひげは生やしておくものなのだろうか?ひげを伸ばしたい人は伸ばせばいい。でも、毎日剃るもので要らないなら脱毛してしまえば肌荒れがなくなって不快さから解放される。
キッズの自己処理による肌荒れは発信してきたが、男性だって我慢してるという意識がなかった自分に驚いた。
何度思い返しても、知っている男性の多くが「髭剃り」は面倒で「青くなる夕方が嫌」で「肌荒れは仕方がない」ものとして受け入れていたのに。
新しいこぢんまりサロンはメンズとキッズが対象。
今まで女性にばかり発信してきた私はまだまだ発展途上だなと、伸びしろしかない!と感じたこの数日である。

この数日で私が感じたことは、マスクの種類とウケ方はすべてに共通するのではないかということだ。困りごとや不便なこと、我慢していることを解決する何かが、商品になり、サービスになる。そんな当たり前のことを、と思うかもしれない。
でも、時として「いいこと思いついた」「いいものができた」とやりたいサービスや売りたいものありきになってしまうことがある。
恐ろしく先見の明がある人が大きなトレンドを作ることがある。トレンドを作りたい人もいるだろう。でも、私はそんな風に考えていない。
誰かの役に立ちたい。役に立ったことで、その人の人生が少しでも彩りあるものになれば、嬉しい。何ならそれで機嫌がよくなって、私ができることよりずっとすごいことをして、他の誰かの役に立つかもしれない。その繰り返しが起こったらきっと私は死ぬまで楽しい。
だから、誰かの困りごとや不便なこと、見過ごしているけど、我慢していることを解決できる人間でありたい。

毎日こんなことばかり考えている私のラインはこちらです。

https://lin.ee//KSGQcmg










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北山 悠【主役力で小さな経営はうまくいく】
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