ものを欲しがる母親
「私はこれだけアンタにやってあげたのに」
母と喧嘩する原因は大抵この言葉が発端。
今までどれだけ苦労したか。
アンタを育てるために、どれだけのことを犠牲にしてきたか。
ママ友たちとのお付き合いでどれだけ辛かったか。
お父さんのお世話が大変で、どれだけ時間を費やしたか。
そんな気持ちもわからないで、アンタは私に冷たくするのね、と一方的に責め立てるのが母のやり方だ。
母と揉める原因
事の発端は大体「お金」が原因。
私が友達や彼と旅行をするときや、ちょっとしたお出かけをする際、必ず母は現地のお土産を買ってきてほしいと頼んでくる。
外出のついでだし、喜ばせてあげたいので快く受け入れていたが、お土産はなんでもいいわけではないのだ。
「●●のお店の、〇〇というお菓子を2個と、☆☆というお菓子を5個。また違うお店のお菓子を2個に、他のお店のお菓子を3個・・」
というように注文が多く、殆どは「わざわざ」店舗を探さないといけない場所にあり、一緒にいる友達や彼にも迷惑をかけることが増えてきた。
しかも、費用がかさむのが地味にキツかった。
いくら喜んでくれるとはいえ、母の頼み事を重荷だと感じるようになった。
そのため、30代になってからは、旅行先を告げないようにそっと出かけるようになり、時間を気にせず、思う存分楽しむようになった。
とはいえ、たまに話のついでに「今度〇〇に旅行するんだけど・・」と口を滑らせてしまうことがあり、そういう時はまた母に指定されたお土産を探さなければならなかった。
「旅行は好きだが、母へのお土産探しが苦痛」という相反する気持ちを持つようになってしまった・・。
そんなとき。
とある日、彼の地元へお墓参りすることになった。
彼は以前、私の実家用に地元の名産品のお土産を沢山購入してきてくれた事があり、母に渡したことがあった。
当時、付き合い始めて1年未満だったので、母は彼に対して心を開いていなかったが、物を貰ったことで気分が良くなったようだ。
しかも、その名産品は母にとって大好物のもの。
彼が私の実家用に持たせてくれたものには私の分も含まれていたが、母に
「全部食べちゃったよ。美味しかったんだもん。あんたは彼から貰ったら」
と言われて終了した。
ムカッと来たが、彼に対する好感度が上がったようなので、良しとしていた。
そんな彼と結婚することが決まったので、今年は彼の地元に行きお墓参りに行くことになったと母に伝えたら
「名産品買ってきて!」
と言われてしまった。
その名産品は生ものなので、買ったら何処にも寄らずに持って帰らなければならないものだった。しかもその店に行くのは遠いし、混んでるので時間もかかる。
今回は、私が初めて彼の地元に行くので、ついでに観光地巡りや温泉を楽しむ予定で、名産品は買わない予定だった。
「今回は、それは買ってこれないから今度ね」
と言うと、
「えーーーーーーー!!!楽しみにしてたのに!!」
と非難する母。
「遠い場所だし、暑い日に行くから悪くなるといけないし。彼の実家にも今回はもっていかないから、またの機会にね。その代わり、彼と挨拶するときはお母さんの好きなお店のものを買うから」
というと、
「えーーーーーー!!じゃあ、生ものじゃない名産品は?なにも買ってこれないの?」
と駄々をこねる母。
だいたい予想通りの反応だ。
名産品はどれも高価だし、内心毎回行く度に購入するのは嫌だと思っていた。ここで買ってしまったら、毎回母のために買うことになってしまう。
「挨拶の時はお母さんの好きな高い店のケーキ買うし、両家の食事会も控えてるから」
繰り返しそう伝えると、
「えーーーーーーーー」と不満気な様子。
「こっちだって今までいろいろ世話してあげたんだから、そのくらいやってくれたっていいじゃない」
とボヤキ始めた母。
私は、母に対する気持ちで欠落してる部分があるのかもしれない、と思うことがある。
普段、本当に心から好きだと思ってる人やお世話になってる人には、自ら「こういうの喜んでくれるかな」とちょっとした気持ち程度の贈り物をしたいと思う方だ。
なのに、母から
「あれ買ってきて」「これが欲しい、買ってきて」
と言われると
内心、腹が立つことがある。
自分で買えよ!!!
(父のお金だろうけど)
※母は専業主婦
と思ってしまう。
昔からずっと言われ続けてきた言葉で、例えば普段の食料品の買い出しから、旅行先でのお土産まで、なんでも頼まれてきた。
出来る範囲でやってきたつもりだが、「もう買いに行きたくないな」と思ってしまったので、「今回はごめん。また違うときに買うから」と断ると
「あんたは冷たい!いつもそう。私がこれまでどれだけあんたを育てるの大変だったか・・。なのに、これぐらいやってくれないなんて!親不孝だ!!」
と責めてくる。
これまでは、そういわれると罪悪感が芽生えて
「やっぱり買ってくるよ」と言って買うようにしていたが、
最近は
「そんなことない!今まで私はできることはしてきた!」
と言いかえすようになった。
そうすると
「なんで強くいうの!強く言われると私は弱いんだから、強くいうのやめて!あんたは言い方がキツイんだよ」
と言われる。
最近は母に依存的なことを言われると、自分の中の怒りが止められなくなってしまい、心の奥がカーーーッとたぎる程熱くなってしまう。
母は「あんたのために色々やってきた」というけど
母は専業主婦で、家事も苦手だから殆どテイクアウトや外食が多く、父のお金で好きに服とか好きなものを買ってきた。
時には、「寂しい」とか言って、訳の分からない宗教の人がいう訪問販売のものを買っていた。服も着ないのに、販売員に喜んで貰いたくて同じようなものを沢山買っていた。
そんなお金の使い方をする母が嫌だと思っていたし、家のことに無関心で全て母の言う通りだと考える父も嫌だと思っていた。
私が20代までは特に母が支配的で過干渉だったから、色んなものを抑圧されてきた。
自分のことが大嫌いなまま青春時代を過ごしたから、成人式の写真も撮ろうと思わなかったし、着物を買って貰おうともしなかった。
母にとって都合の悪いことをすると「育ててやったのに」とよく言われたので、必要以上に親に借りを作りたくないと思っていたから、と言う気持ちもある。
1人暮らしをするまでは、どうしても衣食住を親に頼るしかなく、好みの服や食べ物ではなかったにしろ、親から与えられ不自由なく生活できたことは感謝している。
学びたいことがあったから都内の大学に進学したかったけど、それも母親が行かせたくないという理由で潰れた。
その後、紆余曲折の末やっと結婚することが決まったけど、結婚準備のためのお金も全部こちらで済ますから、親に迷惑をかける予定はない。
母は最近、
「あんたは結婚決まって自立したから、やっと安心できるわ。妹はいつまでも仕事不安定で、いつも自分に自信がないって言って、親を不安にさせて。あんたの育て方は成功したけど、妹の育て方は失敗したわ。甘やかしすぎた」
と言うけど、母はいつも私に甘えていると思う。
依存してくる母が、時々気持ち悪いと感じてしまう。
母は、他県に嫁いだ実の姉とも似た理由で揉める。
例えば、姉の住む地域で販売している銘菓が食べたくなると
「買ってきて、コチラに送ってくれない」
と電話で頼む。
でも、姉は
「それはちょっと遠くまで買いにに行かないと売ってないの。しばらくそこには行く予定がないから買えない」と断ったらしい。
それに対して
「姉はいつも冷たい!」
「言い方がキツイ」
と言って怒っているのだが、
※私に長文ラインで愚痴ってくる
「自分で通販で買えばいいんじゃない・・?」
と思う。
(父のお金だけど)
すると、
「そーじゃないのよ。買ってもらったのを食べるのが美味しいのに!」
と訳の分からない理屈をこねだす。
「前、送って貰った時美味しかったんだよ。こっちも地元のお菓子お礼に送ったら喜んでたから、また送り合いしようとしたのに断るなんて!!」
と怒っていた母。
毎年数回、母が姉に銘菓を送ってほしいと頼むので、姉はその希望を叶え、母はお返しをするということを続けていたが、姉から「送るのが大変だからやめたい」と告げられたことがあったらしい。
「伯母も専業主婦なので、経済的な事情もあるんじゃないの?」
と母に伝えたら
「旦那さん稼いでるからそんなことあるわけない!めんどくさいだけなんだよ!」
と思い込みで怒る母。
母はその姉の態度に激怒し、絶交すると言って一度縁を切ったことがあった。数か月は全く親交が途絶えた。
それほど過去に揉めたのに、また送り合いを再開しようとしているとは。
「それって伯母さんと揉めて、送り合いはナシにしようってなったやつでしょ。あんだけ派手な喧嘩して、また向こうから送り合い再開するってなったの?」
と聞いたら、
「前は嫌だと思ったけど、私がまた送り合いしたくなって」
と言う母。自己中すぎる。
「私の友達は欲しいもの言ったらなんでも送ってくれるのに。実の姉は冷たいもんだよ。あんたとそっくり。いい方キツイ!!」
と言ってきた。
母には、何故か頼まれたら必ず買ってきてくれる親切な友人がいる。世話好きなのだろうが、数年に一度頼まれるのと何度も頼まれるのと比べられては困る。
依存心の強い母
そもそも、母は自分で働いたお金でほしいものを買うという概念がない。
専業主婦も大変だというけど、今はママ友との付き合いもないし、家事もテイクアウトや外食がメイン。洗濯機のボタンは押して干すくらいはするかもしれないが、あとはテレビを見たり漫画を読んでいる姿しか分からない。
私は現在、求職中で数か月、専業主婦的生活をしているが、毎食すべて自炊+彼のお弁当作り、洗濯・掃除・買い出し・在宅ワークなどやっても時間が余りすぎて、会社員時代と比べるとメンタルがだいぶ楽になった。
ママ友付き合いの時は大変だった、親戚付き合いが大変だったと何度もいうけど、母は親戚付き合いが苦手すぎて私が中学生の時からは一切他人と関わらないようにしていた。
※今も関わる人は母に甘い人のみ。
実質、小学生の時まではママ友や親戚付き合いはあったが、その後は好きにしていたはず。
妹が社会生活で苦労しているのを引き合いにだし、甘いと言うのを聞くたびに、
「仕事はきついんだよ。ママ友たちといる数年間より人間関係がずっと続くし。だから、責めるより労って応援したほうが良いと思う」
と何度も言っている。
しかし、「老後が心配だ、私たちの幸せの障害になるんじゃないか。ニートになられたら困る」と言って不安になるようで長文の愚痴ラインを送ってくる。
母は、確かに私と妹の将来を心配しているのかもしれない。
でもその根底には、「私を安心させて。私たちの老後の面倒をみて。将来を安定させるために」という気持ちが見え隠れしている。
私が旅行に行く際も、「旅行楽しんできてね」という気持ちよりも、「私も楽しみたい!美味しいもの買ってきて!」という、自己中心的な気持ちが見える。
むしろ、買ってこないとなると、「なんであんたたちばっかり楽しむのよ。私はどうでもいいの?私をないがしろにして」という思考になるのではないか。
だから、お土産を頼まれるとすごく嫌な気持ちになるのだ。
条件つきの愛情
私は幼少期からいつも母に「〇〇して」と頼まれることが多かったので、いつもどこか心をすり減らした思いをしていた。
親に甘えたいのに、甘えることはできない。
父がいつも仕事でいないため、母は甘える対象を長女の私にしていた為だ。
だから、甘えてくる母の希望になにかしら応え続けなければならなかった。
一方で、そんな私が唯一心の支えにしていたのは「お金」だった。
高校生の頃、母からよくお使いを頼まれた。
自転車をこいで、坂道でもなんでも走り続けて、食材が入った買い物袋を提げて帰ってきた。
そこでのお楽しみは「少量のお釣はお駄賃として貰っていい」ということ。
100円や200円などの小銭程度だったが、チリも積もればで1万円ほど貯まるようになると、ワクワクして嬉しい気持ちになった。
辛いことはあるけれど、努力すればお金は貯まる。
散財する母の姿を見るのは嫌気がさすけど、自分のお金は自分のもの。これを大切に貯めて、将来自分の好きなことをして過ごすんだ!と思い続けた。
この時に、私の中で親との付き合いにギブアンドテイクの概念が出来あがった。
母は私をすり減らすけど、代わりに何かをくれるならやってもいい
という条件つきの行動だ。
具体的に述べると以下のような行動である。
実家から出ても、母から買い出しに付き合ってと頼まれることがある。
スーパーやお菓子屋さんのはしご、銀行、郵便局、病院などの用事全てをこなすと1日潰れるほどだ。
その付き添いを全てする代わりに、母から帰りに実家の不要品を貰えたり、ランチをご馳走して貰えることがある。
そういう見返りがあるから母の用事を手伝う、といったような完全ギブアンドテイクの考え方だ。
でもこれはおすすめしない。
共依存の関係性に値するからだ。
母娘共依存への葛藤
私は長年このような考え方をしていた為、婚活や人間関係で躓いた。
このような損得勘定の付き合いでは深い人間関係は作れないので、辛い思いをすることが多かった。
それでも新しい人間関係をつくるのを諦めず、失敗しても改善するために行動し続けたので、現在は心から信頼できる友人とパートナーを作ることができた。(嬉泣)
最近は、やっと家族と適度な距離をとることができるようになったと思うときもあるし、まだ昔と同じくイライラすると思う事もある。
私は高校生の時に心をすり減らされる代わりに「自分のお金」を大切にしようと心に決めた。
だから、それを母に簡単に奪われそうになると怒りを感じるのだと思っている。
母は、昔から「欲しいから頂戴」と正直に言ってるだけで、いつも周囲から与えられて育ってきた。
だから悪いことだと思わず、娘からも搾取しようとする。
悪気はないので、断られると「なんでくれないの」と相手を責める。いつまでも精神は幼い少女のよう。
本当にギフトを贈りたい相手には喜んでお金をつかうし、自分が体験したいことや思い出、好きなことには進んでお金をつかおうと思っている。
でも、そこまで大切にしているお金を、ただの個人の欲望で気軽に「欲しい」と言われると、とても腹が立ってしまう。
これまで外で働いたことがないくせに。
お金を得るために、どれだけ努力をしてきたか。
普段から自炊を続け、節約し貯めた大切なお金。
自由に父のお金で好きにものを買い、他人にも遠慮なく「買ってきて」と言える母に腹が立つ。
もしかしたら、自分はそういうことを言えないから腹が立つのかもしれない。
私は、いまだに彼にも「〇〇買ってきて」と気軽に言えない。甘えるのが苦手だ。どうやって言えばいいのかわからない。
彼は、そんな私の気持ちがわかるのか、たまに美味しいお店でご馳走してくれたり、行きたい場所に連れて行ってくれる。
そういう優しさや心遣いをしてくれるから、彼にお礼をしたくなるし、美味しいものをご馳走したり彼の欲しいものをプレゼントしたくなる。これが健全なギブアンドテイクなんじゃないだろうか。
母から貰うものは、結局は父が働いたお金から出ている。
母は「父の世話をしてるんだからお金を貰うのは当たり前だ!」というけれど、父の世話という食事作りもだいたい出来あいのお惣菜だし、手作りと言っても「入れて炒めるだけの調味料」を使った肉料理くらいしか見たことがない。
高級なインスタント味噌汁や缶詰のサバ缶を出したりしてるくらいで料理してるというのもねえ・・と、つい考えてしまう。(厳しすぎ?)
結局、母からお土産をせびられ、そんな母にお金を使いたくない私は断り、母がむくれる。
こんなくだらないことで喧嘩をし、気まずい関係になっている。(前も、同じことで喧嘩をし1ヵ月以上無視されたことがある)
喧嘩をした後は私が折れて、母の希望を叶えることで仲直りしてきた。それの繰り返しだ。
解決方法がわからない。
母がむくれると、非難されているようで、胸がざわつき酷い罪悪感に苛まされてしまう。
※結局お土産を購入して母の機嫌が直って終了した。
適度な距離をとるには、この方法しか思いつかなかった。