キャリア安全性が人材を定着させるキーワード
最近、地方の中小企業であっても、都内の大手企業であっても、若手の離職に悩んでいるとの声をお聞きします。
離職が増えている理由として、先日ある大手の人事担当者の方と、以下の「キャリア安全性」の話は確かにと思わされるということで盛り上がりました。
「職場のキャリア安全性を考える」
https://www.works-i.com/project/youth/solution/detail003.html
上記の記事の中で、キャリア安全性は以下のように説明されています。
大手企業に入社された方は比較的、自分が将来「安心」「安全」に働けるかということに関心があるからこそ、大手企業を選んだという側面もあるのではないでしょうか。
しかし、その期待に対して、今の大手企業の実態は必ずしも応えうるものになっていません。
多岐にわたる仕事があるため、本人が希望する配属や異動がされるとは限らず、いろんな部署を異動していくこともままあります。キャリアの選択権を自分が保持しているというよりは、会社都合に左右されるという現状があるのです。
それによって得られる知見や視野の広がりもあるわけですが、一歩社外に出た時に、「明確に自分の市場価値や専門性を訴求できるキャリアを歩めているのだろうか...」という不安が頭をもたげてくることになります。
ひと昔前のように、その会社に居続けることが暗黙の前提となっていれば、それも気にならなかったのでしょう。しかし、今は大手であろうとなにがあるかわかりません。
であれば、自分のキャリアは自分でハンドルを握ろうということで、早々に転職をしようという発想も理解できます。
一方、中小企業では、活躍されているやる気のある社員が辞めて大手にいってしまうというケースをちらほらとお伺いします。
これも、キャリア安全性という視点で考えてみると、ある程度仕事に慣れてきて、周囲と比べてもできているように感じる。このまま同じことをやっていたら自分の成長が止まってしまうのではないか。もっと力を伸ばせる環境に行くなら早い方がいいだろう(大手ならより大きな仕事ができそうだ)
そのように捉えている側面もありそうです。
もちろん会社にも都合がありますので、本人が思う成長機会を常に保障するのは簡単ではないと思います。
そのため、大手であっても、中小企業であっても、今は人を留め続けるというのが至難の業になってきているように思います。
こう考えると、人は流動していくものと割り切ることが大切だと思います。本人の希望する成長と、会社の任せたい業務が一致している期間は限定的です。
最初からその前提で、双方の希望をすり合わせする努力をし、その上でお互いの期待が一致している間は、会社にとっても大きな貢献をしてもらえるよう、年齢や役職、その会社の慣習にとらわれず仕事を任せていくのも検討してもよいのではないでしょうか。
もう一つは、キャリアについて考え、それをもとにした関わり合いを会社全体で増やしていくことが有効だと思います。
相手の意思を聴けているか、相手の成長のために日常のフィードバックやコーチングができていると、本人は「ここにいると成長できている」という実感につながっていきます。
来月もよろしくお願いいたします。
2024/2/23 VOL158 sakaguchi yuto