「同志少女よ、敵を撃て」を読んだ
戦争とは非常に残酷である、この本を読みそう感じた。非常に月並みな感想だが、それぐらい本書では戦場の様子がリアルに書かれている。
戦場において狂気こそ「正常」となってしまう、戦争こそが人間を変えてしまうのではないだろうか。
本書を読んだきっかけ
「ロシアの論理」で読み解くウクライナ危機という解説内で参考書籍として紹介され興味を持った。世界史は疎く、今回のウクライナ危機に通じる独ソ戦争を知る上で導入になると考え読むことにした。
https://www.youtube.com/watch?v=9j_-bJnp3Z8
本書について
主人公は村でごく平凡な日常を送っているロシア人女性(少女)。突如、ドイツ軍兵の襲撃に遭い、村を襲ったドイツ兵に復讐するため兵士になる(ならざるを得ない)所から物語が始まる。
本書は基本的にフィクションだが史実に則り物語が進行する。また、実在する人物も登場する。
戦争を題材にしているが歴史の知識がなくとも問題なく読める。特に情景描写が素晴らしく登場人物全員に感情移入できる点は小説として読み応えがあった。感情移入できるがゆえ、各登場人物の結末も印象に残った場面が多いく、まるで映像作品を見ているような没入感があった。
また、使用兵器や作戦等、詳細に描写されていたのでかなり取材された事が伺える。
タイトルについて
「敵」とは誰なのか。人間もしくは戦争という狂気そのものか、それは読み手によって変わるのではないだろうか。本書を読んだ後だと一層考えさせられるタイトルだと思う。
登場人物について
登場人物全員が個性的だったが、個人的にはアヤ(アヤ・アンサーロヴナ・マカタエワ)を推したい。一見完璧で冷徹な彼女だが、部屋の掃除が苦手という弱点を持っているなど、登場初期〜中期でかなり印象が変わった人物だ。それ故に結末も非常に悲しい人物でもあった。
感想
「戦争」は人間を歪めてしまう行為ということを改めて認識した。歪んだ結果、狂ってしまい正常ではなくなる、だらかこそ戦争は残酷ではないだろうか。
ウクライナ危機がきっかけで本書を手に取ることになった事が非常に残念だったが、このような情勢だからこそ考えさせられる一冊ではないだろうか。
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