有益で有意義な睡眠
忙しいはずの1日が、予定が2つキャンセルされたことで急に暇になった。夕方5時半からのミーティングまで時間ができた私は、午前中にパリのいくつかの百貨店をまわりマーケットリサーチをした後、スーパーに寄って帰り、買ってきた食材で昼食にすることにした。パリに帰ってきた時の私の楽しみのひとつ、鴨の胸肉を好きな焼き加減で。ちょっとした贅沢だ。
コーヒーを飲んで、少し眠くなったので仮眠を取ろうと思い横になった。今日は朝早く起きてインラインスケートの練習をしたこともあり、少し疲れていた。
2時にベッドに潜って、気がついた時には5時を回っていた。慌てて跳ね起き、ミーティング相手に少し遅れる旨の連絡をして、着替えてピアスをつけて外に出た。起きてから30秒ほどのことだったと思う。
こんな感じで、私はわりと長い時間の睡眠を必要とするタイプだと思う。普段の睡眠時間こそ長くはないが、どこかで昼寝やら“早寝遅起き”をしなければならない。その上驚くほど寝つきがいい。以前どこかで書いたと思うが、毎日気絶するように眠ってしまう。ここ数年で眠れない夜なんてほとんどなかったような気がする。母が亡くなったその日でさえも、私はすんなりと寝たはずだ。
一方で、そんなに睡眠を必要とするほど私は毎日頑張っているのか、と問われると、そんなことはない。私よりも日々忙しく過ごしている人はたくさんいるし、むしろ私はかなり楽をしている方だと思う。
「集中すると食べるのも寝るのも忘れて没頭しちゃうんです」という人の話を聞くにつけて、私はそんなに没頭することができないと感じる。少なくとも、食べることと寝ることを忘れたりはしない。絶対にちゃんと食べたいし、絶対にしっかり寝たい。
なぜこんなにも、私は眠ってしまうのだろうか。
睡眠学者の柳沢正史氏が「無防備となる睡眠の行為が、進化の過程で淘汰されなかった理由」という質問に対し、まだ解明されていないとした上で、「そのリスクを補って余りあるだけの機能が睡眠にはあるはず」と回答していた。
(該当箇所は13:21から)
また、柳沢氏によると、人間は必要以上に眠れないため、長い時間眠る人は、過眠症や睡眠時無呼吸症候群など、身体に何か問題がある可能性が高いとのこと。
私は普段から長時間寝ているわけではなく、どこかで蓄積された「睡眠負債」を解消するために昼寝等を必要としているので、身体の問題はないと思うが、それにしても普段の睡眠と気付かぬうちに溜めていた「睡眠負債」とを合計すると、周りの人よりも明らかによく寝ていると感じる。
それらの睡眠によって、私は何かを得ているのだろうか。
著名な睡眠学者ですら、それについてはまだ解明されていないと言及しているのだから、私自身においてその得られているだろうものについて、直感的にすら思い当たる節はない。「もうこんな時間!あれやろうと思っていたのに…」と起き抜けに時計を見て驚き落胆することばかり。そこに何か有益なものを見出せたことはほぼない。
ただ、それがわからないとしても、睡眠というのが意義深い行為である可能性が高いのであるならば、私はこれから、大手を振ってたっぷり寝ることができる。そこに罪悪感を抱いてはならない。なぜならば睡眠は有意義な行為であり、眠れるということはそれを必要としているのだから。
さぁ、今は朝6時半。今日の出発は9時だから、あと2時間半もある。準備は高々30分くらいで終わるだろうか。
あと2時間、私は有益で有意義な、睡眠とやらに、私の大切な時間を費やすことにしよう。どうやらまだ私の身体はそれを求めているようだ。
ぐー、ぐー。
(微妙に遅刻しました)
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