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Esxence雑感 2024
ミラノで行われているニッチフレグランスの展示会「Esxence」に行ってきたのでその感想を書こうと思う。
350を超えるブランドが参加していたようだが、その数はここ数年増加の一途を辿っている。私の記憶が正しければ、コロナ前の2019年時点では200ちょっとだったはずだ。この5年で約1.5倍になっているというのは、まだまだマーケットが成長している証拠だろうか。
私が最後に行ったのは2年前のこと。昨年は母の介護の関係で行けなかったので、前々回の記憶との比較になるが、この2年でニッチフレグランスのトレンドは方向転換し始めたように感じた。
予め書いておくと、今回は半日でぐるっと展示会をまわっただけで、各ブランドについてしっかりと試香したわけではない。よって、あくまで「雑感」程度なので、今から書くことは鵜呑みにしないでほしい。私は今回、展示会の雰囲気を味わった程度しか見てない。ただ、それでもそこから見えてくるニッチフレグランスマーケットのトレンドはあったので、それについて記述することにした。
一番の大きな変化は、中東色がかなり薄れたことだ。ここ10年ほどのトレンドだった中東マーケットをターゲットとしたブランドや香り作りはここにきてようやく一服した印象を受けた。また、前々回に散見した中東からグローバルを目指すブランド(下の記事を参照)はほぼ姿を消したように思う。
もちろん、それでも引き続き中東カラーの強いブランドは存在するが、今までの“猫も杓子も”という状態ではなくなった。中東マーケットが飽和したのか、あるいは中東マーケットのトレンドそのものが変化したのかはよくわからないが、そろそろ次のトレンドが現れる時期ということなのだろう。
中東からグローバルを目指すブランドに関してはとんと見なくなった。こちらは単純にあまりうまくいかなかったことがその要因だと思料する。
もうひとつの大きな変化は、「古豪復活」である。この手の展示会にはあまり参加する印象のなかった、比較的昔からあるブランドがちらほら出展していた。それらのブランドはどこも小さめのスタンドとシンプルな装飾だった。ブランド名は知れているから、特段目立たせる必要はないという考えだったかも知れない。
これらのブランドがわざわざ展示会に参加するインセンティブはどこにあるのだろうか。もしかしたらマーケットの拡大とともにニッチフレグランスを取り扱うお店も増えたことによって、息の長いブランドも改めて新興の香水屋を開拓する必要が出てきたのかもしれない。あるいは、昔と違ってブランドが爆発的に増えた今、“昔取った杵柄”では売上が立てられなくなっているとも考えられる。
さらにもうひとつ変化を挙げるならば、新しいブランドのコンセプトの“ミニマル化”だろうか。これまでの新興ブランドは全体的にコンセプチュアルだったような印象があるが、今回新しく登場したブランドはわかりやすい派手なコンセプトを掲げているというよりかは、全体的にシンプルなボトルやパッケージを選んでいるように感じた。
コンセプチュアルすぎるブランドはどうかと思っていたが、今回展示会をぶらぶらと歩いていて、シンプルすぎてキャラクターがないのはそれはそれで考えものだということに気づかされた。結局どのブランドも記憶から滑り落ちていくのだ。シンプルなブランドにする場合、どこかしらに“引っかかり”を作ることが重要だと強く感じた。また同時に、このミニマルなブランド作りは、それゆえに大きなトレンドとはまだなり得ないようにも思われた。
以上、中東カラーの減退、古豪復活、ミニマル化あたりが私の目から見た今回のEsxenceの特徴だった。
2年前のパッとしない会場の雰囲気に比べるとかなり活気を取り戻したように見えたので少し安心したものの、それでは近いうちに出展したいか、と聞かれると正直なんともいえない。得られるものも多いだろうが、失うものも少なくないような気がする。
それについては引き続き、またゆっくり考えようと思う。
最後に、行くまではわざわざ視察に赴く価値なんてないかもしれないと思っていたが、今改めて、やっぱりこういう展示会は出展の有無に関わらず見ておくに越したことはないと感じた。行ってよかったと思う。
ということで、特段用事がなければ、来年もミラノにくるつもりだ。
さて、今から何を食べるか考えておかなきゃ…ふふふ…
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