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#今こそ本の力を - Vol.3 ヤマザキマリ 国境のない生き方 -私をつくった本と旅-

新型コロナウイルスの影響で日本全体に大きな影響が出ていますね。もちろん仕事も粛々とやるべきことをやっていますが、もうちょっと個人でやれることないかなと。せっかくなので一斉休校で子どもが家にいたり、在宅勤務で通勤分の時間ができて本を読む機会が増える人も多いと思うので、個人的なおすすめ本を紹介することにします。

Vo.3 はこちら。

今こどもたちが一斉休校の余波を受けてオンライン上の教育プラットフォームやコンテンツなどがどんどん無料化されたくさんの選択肢が増えています。ある意味、学校という固定化された場所ではなく、「本質的に何を学ぶべきなのか」という点が考え直されている時期でもあると思います。

この本は「テルマエ・ロマエ」などで有名なヤマザキマリさんの、破天荒なお母さんの教育によって14歳でイタリアに一人旅をし、その流れで17歳からイタリアで一人絵を学んで現在に至るまでを振り返りながら、「子どもに伝えるべきこととは」「教養とはなにか」ということについて語っている本です。

たとえ、それが人から特殊なものとして見られたからといって、別に恥じることはない。やるべきことがあって、自分が志を持って生きているのなら、それで十分やっていけるというのが母の考え方でした。「他人の目なんて気にしなくてもいい」というのは、子どもたちにもずっと言っていました。「他人の目に映る自分は、自分ではないのだから」と。だから揺るがなかった。何より母自身が一生懸命生きているのが伝わってきたので、子どもたちも「この人は信頼できる」と思っていられた。 

正直、お母さんの生き方もご本人の生き方も強烈すぎて簡単に真似できるものではありませんが、ヤマザキさんが小さい時に過ごした北海道の自然と、イタリアなどで得た教養が本質的には同じものである、という観点がとてもユニークで面白いです。

私の中には、人が後天的に押しつけられた制度とか文化とか価値観を取り払うことで、人間の普遍的で、本質的なものを見極めたいという気持ちがものすごくあります。「自然の中で、人は本来の自分を取り戻す」というのは、子ども時代に培われた私自身の実感でもあるのです。でも実際に人が生きていく時には、自分が生きているコミュニティーの制度とか文化とか価値観とのせめぎ合いから、完全に逃れることは難しい。人は社会的な生き物でもある。そういう中で人が押しつぶされることなく、その人本来の生き方をまっとうするには、どうしたらいいのか。私は、その手立てのひとつが「教養を身につけること」ではないかと思っています。何かを矯正されそうになった時に、「でもこういう考え方もある」「まだ、こういう見方もできる」と、「ボーダー」を越えていく力。プリニウスも、ハドリアヌスも、それを持っていたのではないか。だからこそ「対話し続けること」を選んだ。教養もまた、人を本来の姿へと導いてくれる、ひとつの自然なのだと思います

本質的に学ぶとは何か、教育とは何か、親の役割とは何か、ということについて考えざるを得ない今だからこそ、読むとすごく刺激になると思います。

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