韓国映画「新感染ファイナルエクスプレス」感想

先日、列車で道東に出かけました。日々酷使している目が、窓から見える山や木々の緑に癒されました。川の水面はきらきらと光り輝いていました。

この「新感染ファイナルエクスプレス」(2016年)に登場する高速列車の旅は、快適な旅には程遠く、ゾンビを乗せた列車は、無事に目的地に着くことは出来そうもありません。
プサン行きの高速列車に、謎のウィルスに感染した女性が乗り込み、乗務員を襲います。襲われた人間は狂暴なゾンビとなり、感染はあっという間に列車内に広がっていきます。そして、ゾンビから逃れようとする乗客達が、必死のサバイバルを繰り広げるパニックホラー映画です。

別居中の妻に会いたがっている娘のスアンを送り届けるため、列車に乗り込むソグ（コン・ユ）。
仕事のことで頭の中がいっぱいのソグは、スアンの誕生日に欲しい物が分からず、プレゼントしたのはすでに持っているゲーム機でした。
そこで、ソグは母親のところに行きたいと言うスアンの願いを叶えるため、列車で出かけることになったのです。

他には、妊娠中の妻(チョン・ユミ)を気遣う優しい夫のサンファ（マ・ドンソク）、自分に好意を寄せている女子高生が列車に乗りこんで来て、隣に座るのを嫌そうにしている野球部の男子高生（チェ・ウシク）、列車にゆで卵を持参する優しい高齢の姉をうっとうしく思う妹、などが乗車していました。

何気ない日常の続きで列車に乗ったはずが、突然ゾンビに襲われ、彼らは目の前の大切な人が感染するのを目撃します。

襲いかかる大量のゾンビの間を縫って、車両から車両へ逃げていたサンファとソグと男子高生は、途中でゾンビを抑えることができなくなり、サンファは自分が盾となり妻の安全をソグに託します。
絶体絶命の極限状態で、奥さんを救うことを一番に考える行動をとったサンファは、英雄的でカッコよかったです。

男子高生と高齢の姉妹の妹は、いるのが当たり前になっていた友人や姉妹が感染してしまい、どれほど大切な存在だったかを思い、心を痛めます。
そして、娘を守るためにゾンビと格闘するソグは、仕事よりも大切なことを思い出します。
私は彼らの姿を見て、距離が近い存在の人に思いやりにかけた態度をとってしまうこと、忙しすぎると大事なことを見失ってしまうことを思いました。私も思い当たることがあり、自分を省みることになりました。

そして、自分本位で観客も登場人物もイライラさせてしまう、バス会社の男性は列車内を混乱させる悪役ですが、そんな彼の帰りを待ちわびている家族もいるのでした。
遠く離れた家族に会えることは、待っている人にとって、かけがえのない貴重な時間です。
この「新感染ファイナルエクスプレス」は、迫力のゾンビものとしても楽しめて、大切な人を想う物語でもありました。

最後まで読んで下さりありがとうございました✨