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お酒の神様も微笑んでいるから、とりあえず微笑もう【おやつ日記:6月3日〜6月30日】

6月8日(土)

電車の中でミニ花束を持った女性を見かけて、ふわっといい気持ちになる。女性は50代後半ぐらいで、さっぱりとしたショートカット。どことなく微笑んでいるようにも見える。

多分この花束は、駅構内で売ってるあのお店で拵えてもらったものだろう。

彼女は今からどこへいくのだろう。何か良いことがあったのかな。お友だちの家へ行って、サプライズで渡すのだろうか。それとも娘さんの家へ行って、お孫さんに「はい、どうぞ」と言って渡すのだろうか。それとも、旦那さんに…?いや、これはちょっと違う気がするな。お花が大好きな、施設に入居しているお母さまに?それとも、最近お疲れ気味の自分へ…?

こうやって想像をふくらませるのが、わたしは子どものころから大好きだ。

大きな花束だと、周りから見てもわかる大きな幸せが訪れたんだろうなあと思うけれど、ミニ花束だと、その人にしかわからない身近な幸せが訪れたんだなあと思う。

それはどんな幸せなのだろうと、たくさんの思いつくかぎりのうれしい想像をあれやこれやと頭の中で広げるのが楽しい。

実に姿勢の良い立葵だった


6月9日(日)

京都文化博物館でやっていた、松尾大社展に行く。


松尾大社は千三百年有余年の歴史を誇る京都最古の神社で、お酒の神様としても知られていて、全国の酒造メーカーも参拝に訪れている。

音声ガイドは俳優の佐々木蔵之介さんだった。「ああ、なんか適任だなあ」とうんうんうなずきながら、回る。

実に興味深い展示会だった。

「神様」というとかたちすがたの見えないもの、という認識が強かったけれど、どうして「神像」として祀られるようになったのだろう。そして、この「神像」を彫ったのは誰なんだろう。ちょっと仏像の彫り方に近いような気がするけれど、当時の仏師なのか…?

男神の「大山咋神(おおやまくいのかみ)」「御子神」, 女神の「市杵島姫命(いちきしまひめ)」を見ながら、ずっとそんなことを考えていて、もっともっと調べればとても面白いんだろうなあ、と思った。


唯一写真OKだったコーナー① お酒のラベル、詳しくないけれど、見ているだけでわくわく
唯一写真OKだったコーナー②


そのあと、実際松尾大社へ行く。予定にはなかったのだが、展示会を見た後だったので、とても行きたくなってしまったのだ。

気持ちいいー
そうそうたる酒樽…!全国の酒造メーカーから奉納されている


訪れるのは実に8年ぶり。変わらぬ姿で迎えてくれた亀さんの甲羅を思い切りさする。かわいい。

撫で亀さんは松尾さんのシンボル。いつもここにいらっしゃる。


チリンチリンチリンチリン…チリンチリン…という涼しげな音に引き寄せられると、手水舎にはたくさんの風鈴が飾られていた。


ああ、風鈴の音ってめちゃくちゃ癒される



松尾大社では初夏から夏にかけて神様を慰めるのと、罪の穢れを払うために風鈴が飾られる。

風鈴には短冊が飾られていて、想い想いの願いが書かれている。梅雨入り前の少し早めの夏。目を閉じると心地よくて、それだけで自分の黒い気持ちが浄化されていく。

「山全体が御神体」という考え方がわたしはとても好きだ。今こうやって生活できるのも全て自然の恵みのおかげだし、お酒だって綺麗な水とお米がないと美味しいものが作れない。

目に見えるものだけが全てじゃない。姿形は見えないけれど、わたしは神様はいると信じている。きっと自分を支えてくれるたくさんの神様が。


6月11日(火)

いただいた松坂牛のポテトチップスを食べる。

知り合いがお伊勢さんに行って、お土産に買ってきてくれたのだ。

松坂牛なんて高級なものは食べたことがないので、松坂牛の味かはどうかは全くわからなかったけれど、厚切りザクザクの食感はたまらなく美味しかった。

この先松坂牛を食べる機会はないかもしれないけれど、ポテチとしては◎!!

ビッグサイズ


6月12日(水)

先延ばしにしていたクーラーの掃除をする。

ひとりぐらし6年目にして、この部屋の除湿機能がちゃんと機能することを知った。(ずっと壊れていると思っていた)

こういうのを発見したときって、うれしい。なんかうれしい。わたしが見逃しているだけで、本当は毎日こんなうれしさがどこかに隠れているんだろうなあ、と思う。見つける余裕がないだけで。

大人になってからの一番重要な学びって、もしかしたら「余裕の持ち方」なのかもしれない。



6月18日(火)

大雨。遅刻しそうになり、カッパをきて自転車を押しながら走っていたら、滑ってバランスを崩し、ガッシャーン!と肩からものすごい派手にみずたまりにダイブした。

一瞬何が起きたかわからなくて、時間差で「ああ、わたしこけたんだ」というのを理解した。途端にとても恥ずかしくなった。そして痛い。もういろんなところが、痛い。

近くにいたおばさんが「あらー!大丈夫?!気をつけて」と放り出された重い荷物を拾ってくれた。

会社に行くと足や膝にたくさんの青タンができていて、別に誰にも見られないけれど、サッと隠す。

自分しか知らない傷。みんなどこかでこんな傷を抱えながら生きているんだろうな、と思う。と同時に、これは大事にしないといけない傷でもあるのだと思う。



6月23日(水)

お休みの日。昼食にスーパーで買ったおそばとハモフライを家で食べたら、なんだか異様に眠くなって、そのまま寝てしまった。

そしたら変な夢を見た。

わたしは結婚式場にいて、青っぽいドレスをきてバージンロードをゆっくり歩いている。どうやら「花嫁」になったらしい。

目の前には結婚相手と思われる、メガネをかけた優しそうな男性がいて(全然知らない人)、白いタキシードを着てこちらに笑顔を向けているのだけど、わたしは「こんなはずじゃない、イヤだ、イヤだ、イヤだーっ!!」と言いながら、神父と新郎に背を向けて結婚式場からダッシュで逃げる…というところで目が覚めた。

起きたら汗をうっすらかいていた。

夢でよかった…と思ったけど、「あの人に悪いことしちゃったな」となんとも後味の悪い気分になった。



6月29日(土)

ニョロニョロちゃんから、めちゃくちゃおしゃれで美味しいマカロンをもらう。職場の冷蔵庫をあけると、可愛らしいメモと一緒に入っていた。

「マカロンってこんなに美味しかったっけ?」と思うほど美味しくて、その美味しさや、お礼をありったけ彼女に直接伝えたかったのだけど、来月からニョロニョロちゃんはもういない。

転勤で他の支店で働くことになったからだ。

残業中のしょうもないおしゃべりが楽しくて、(わたしが一方的にしゃべっていた部分もあるけれど)、本当に癒された。いい時間だった分、もう一緒に働けなくなるのが本当に悲しい。

彼女には缶クッキーとアールグレイの紅茶をせん別に渡したのだけど、喜んでくれるといいな、と思う。

一緒に働けてよかった、ありがとう、本当にありがとう。次のところでも頑張って欲しい。


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※誰かのおやつのお供になれば幸いです※


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