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地球46億年、何でわかるの?:地質年代とはpart1【地質のきほん:その4】
トップ画像は世界共通の地質年代表:日本地質学会ホームページより
地球の歴史は約46億年と言われていますよね。
そして私が他の記事で地質・地層の話をするときは、よく「〇〇万年前の地層です」と説明したりします。
これ、何で分かるのか?不思議だと思いませんか?
まずは地質年代の考え方からお話ししていきたいと思います。
地質年代とは?
私たちが普段、日本の歴史の話になる時は、例えば鎌倉時代とか江戸時代など〇〇時代と言いますよね。あれは先人たちが文字で記録してくれた書物をもとにして何年かが分かっています。
しかし人類が文字の記録を残すようになったのは、紀元前5000年とかそのあたりですよね?
地球の長い歴史を考えれば文字がない時代の方が圧倒的に長い。
そこで地質学では文字ではなく地層に残されている色々な情報を解読して地球の歴史の順番を知っていく事になります。
そう、あくまで順番だったんです。地層には「何年」という記録はありませんから、とにかく順番を比べるしかなかった。
地質を比べて順番を決めるため、地質年代(地質時代)という言葉になりました。
最初は化石が頼りだった
現在の地質学の基礎ともいえる考え方は1600年代後半のヨーロッパで生まれました。
専門用語で言うと地層塁重(るいじゅう)の法則と言います。言葉は難しいですが、中身は簡単です。地層は下の方が古く上の方が新しいということです。これは現状の川や沼などを見て感覚的にも分かりますよね。
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ただ困ったことに、同じ場所では上下関係で比べられるのですが、別の場所になってしまうと難しくなってしまいます。
特に砂岩(砂が固まってできた)や泥岩(泥が固まってできた)は見た目はどれも似たり寄ったり。
同じ場所でも両者が交互に繰り返し重なったりするので、離れた場所でどれがどれと同じなのか分からなくなってしまうんです。
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そこで役に立ったのが化石でした。
研究が進むうちに、同じ種類の化石がある地層は同じ時代だと、地質学者たちが気づいたのです。
そしてもう1つは火山灰です。
火山の噴火で広い範囲に降り積もるので、離れた場所でも同じ火山灰の地層は同じ時代だと分かります。
もちろんこれは昔の火山灰が固まってできた凝灰岩でも同じです。
火山灰や凝灰岩は中身を詳しく調べるとそれぞれ特徴があって区別できるので、地層を比べるのに役立ちました。
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相対年代という考え方
以上のように「アレよりコレが古い、アレよりソレが新しい」と比べながら時代を決めた地質年代を、地質学者たちは相対年代(そうたいねんだい)と呼んでいます。
地質年代はあくまで、この相対年代が基本になっています。
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これですね(トップ画像と同じ)。
ですので基本的には、次代の区切りは化石の違いで決めています。
例えば恐竜の時代と言われる中生代の終わりの区切りはアンモナイトが出るか出ないかで決められたようです。アンモナイトは海で大繁栄していたので世界中のどこでも化石を見つけやすいと言う意味で便利だったためなようです。
今はもっと様々な要素で厳密に決められています。
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アンモナイト化石:北海道の三笠市立博物館にて筆者撮影(撮影OK確認)
でも「何年か」は分からない
そうなんです。化石や火山灰を手掛かりにして順番までは突き止めましたが、それが何年か?までは分かりません。
昔のヨーロッパでは、産業革命の直前くらいの時代でも、まだまだキリスト教の聖書の影響力が大きかったようです。
そもそも地質学が研究され始めたのも、ノアの箱舟の洪水伝説がきっかけだったようですし。
地層は神による洪水の時に溜まってできたもので、化石はその時に死んだ生物だと考えられていたようです。
ですので聖書をもとに何年かが考えられていたので、地球の歴史はウン千年とか、長くてもウン万年と考えられていたみたいです。
それが約46億年だとわかったのは、つい最近。1900年代以降になります。
今回はここまで!次回に続きます。
お読みいただき、ありがとうございました。