「新解さん」に、私がnoteを書く意味を教わった。
新解さんって誰だ?そもそもなんて読むんだ?しんとき・・・?と思ったそこのあなたは、当時大学生だった私と同じ反応である。
「新解さん」は、”しんかいさん”と読む。フルネームは『新明解 国語辞典』。辞書か・・・聞いたことがあるような・・・使ってたかも・・・?(辞書さんには八割方ロッカーの中で過ごしてもらったため、よく覚えていない。)
大学生だった私がこの辞書を思い出すことになったのは、ゼミで『新解さんの謎』(赤瀬川源平,文春文庫,1999年)という本の書評をすることになったからだ。
書評は多い時で2週に1回提出、本を読むのも文を書くのもキツかった記憶がある…。ほかの人にはない自分の「味」を出して文章を書く難しさよ…。
でも、この新解さんに関しては、唯一教授から「面白かった」のひとことを引き出せた書評なのだ。
『新解さんの謎』を選んだ理由は、教授のオススメ的なリストにあったからっていうのと、物理的に軽かったから。←オイ
正直、ノリで選んで正解だった。国語辞典を擬人化した本書は、言葉の奥深さを教えてくれたのである。
以下、当時書いた書評に手を加えたものである。noteを書く意味まで話が飛んでしまったが、普段考えていることが書けたのでよし◎としよう。
恋愛
特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒に居たい、出来るなら合体したいという気持ちを持ちながら、常にはかなえられないで、ひどく心を苦しめる。
怖い。
これが辞書?
細かーーい文字で埋め尽くされた辞書がこんなにもリアルなこと言ってると
「明解」すぎて怖い。
ほかにも、「赤貝」について「うまい」だとか言っていて、新解さんはずいぶん個人的な意見を述べている。辞書として、言葉の説明がこれでよいのか?と思っていたが、だんだんと新解さんの人柄(辞書柄?)を知っていくうちに、新解さんはこういう人だと納得してしまった。
言葉の使い方によって相手から誤解を受けたときに痛感するのだが、言葉は使う人によってもつ意味が異なる。さらに、時代によって使い方も変化する。
今はどういう言葉が流行ってるんだろう。
ちなみに、私の最新流行語は"ぴえん"で止まっている。一回も使ったことないけど。
(そんなことはさておき)
私が言いたいのは、言葉は生き物のようなものだということである。新解さんの家で育てた犬と、私の家で育てた犬の性格がまったく同じになるわけがない。私の舌はおこちゃまなので赤貝のうまさはわからないが、新解さん的には赤貝=うまいのだ。
私は公務員なので、こういった個人の見解、つまり根拠のないことを書き、発表することはできない。
上司の言葉を借りると「事務処理に個性はいらない」。
だからこそnoteが書きたくなるのだ。
平日の昼間の私の発言や文章は、会社の庭で育てたものから作られていて、その時間、私の庭で育った言葉は立入禁止だったりする。
それは仕方のないことで、私自身、「これが社会に出るということなのかな~」くらいに思っている。
でもやっぱり、待っているから。夕方または夜になると、待たせてごめんね、と心の内へと迎えに行く。
遊んでみたり、他の人の庭を覗いてみたり、そこから成長したり変化したり…そういうことが起こる場所へ解放してあげるのだ。
ただ、そうした「noteを書くのは自分のため」である時間は短いと嬉しい。
閉塞的な環境で生きる中で、私と同じ思いを抱えた人がいたら、握手をしに飛んでいきたいし、「私のnoteは"あなた"に向けて書いているのだ」と胸を張って言える文章が書きたい。
noteを書いている時だけでも、新解さんのように、生々しくて人間味あふれる姿でいたいし、最後まで読んでくださったあなたにも、そうであってほしい。
次回は、序盤で取り上げたまま放置してしまった言葉、「恋愛」について、新解さんと話し合おうと思っている。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
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