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ひとりの時間に広がる世界

毎日が驚くほど高速で過ぎていく。

今年の1月に北海道に引っ越して、4月から生活スタイルがガラリと変わり、ひとりで過ごす時間が増えた。そして9月、さらにひとりの時間が長くなった。恋人と過ごせるのは、朝のわずかな時間と、夜にお酒を飲む短いひととき。1日の大半はひとりで静かに過ごす。そんな日常を動画にした。

寂しさを感じている部分もあると思うけど、ひとりになるとすぐに何か作り始めている。動画制作に取り組んだり、イラストやデザインを手がけたり。何かしら創作している時間が圧倒的に多い。

にゃーと遊ぶ時間も多いよ

今住んでいるこの家は、DIYとの相性がとてもいい。この家に来る前に住んでいた場所で初めてDIYに挑戦してみたことが、この今の家を形づくるきっかけになったんだと思う。今この家は、恋人と相談しながらDIYで建てた柱や棚であふれている。その存在が、ひとりで家にいても、まるで恋人がそばにいるような安心感を与えてくれている。創作は孤独な行為だと思っていたけれど、ふと手を止めて部屋を見渡すと、恋人の存在感があちこちに感じられて、不思議と孤独を感じない。この安心感があるからこそ、創作にもっと深く没頭できるんだと思う。

キッチンは建てた柱だらけ

そんなDIYの柱や棚を見ていて、そこに絵を描きたくなった。以前から恋人はそのアイデアを口にしてくれていた。最初は絵の具で描くことを考えていたけれど、キッチンの棚に絵の具で描くのはピンと来なかった。そこで木に描けるアクリルマーカーを購入。まずは端材に96色の色見本を描いてみたところ、その発色の良さに驚いた。何より、木に描く感触がすごく心地よくて、少しショックを受けた。

ホームセンターで見つけた端材に96色の色見本を描いた

思い返せば、私は触感に対して敏感すぎる時期があった。鉛筆のかすや木の削りかすが気になりすぎて、アナログで絵を描くのが辛くなった時期もあった。版画に興味を持った時も、木版画ではなく、迷わず銅版画を選んだ。それほど木を避けてきた。でも、DIYを通じて木に触れるうちに、いつの間にかその感覚が薄れてきたのかもしれない。今回は木に描くことが楽しいと感じられる自分に出会えた。

キッチンの柱に絵を描いた

木に描く経験をしたことで、これまで知らなかった新しい感触と出会い、頭の中がぐんと広がった。これまでは平面の紙やiPadのモニターに向かって描いていたけど、立体に描くという行為がとても新鮮だった。何より「家に絵を描く」という未知の表現の楽しさを知ってしまった。この家中を私の絵で埋め尽くしたい、今はその気持ちでいっぱいになっている。

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