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「10年以内に特別支援の経験を…」について考える

特別支援教育を担う教師の育成を議論している文科省の検討会議は25日、全ての新規採用教員がおおむね10年目までに、特別支援学校や通級指導教室などの担任を複数年経験するよう求めた。

日本教育新聞 https://www.kyoiku-press.com/post-240909/


このニュースを見て、皆さんはどう感じましたか?
特に教員経験者の方、教員志望の方。

私は正直、「う~ん…、そうじゃないと思うんだけどなあ」
とモヤってしまいました。

この案が出された理由は、
・特別支援教育のニーズの高まりに対応する
・障害への理解を深めてもらう
とあります。

もちろん、教員としてやっていくには、多様なお子さんへの対応を学ぶ意味でも、特別支援についての理解を深めることは大切です。
(私も特別支援コーディネーターを担当して、とても大きな学びがありました)

懸念している点

①特別支援学級・教室の先生の入れ替わりが激しくなるのではないか。

 特別支援学級には、急な変化が苦手なお子さんが多いと感じます。
 同じ部屋、同じ先生など安心できる環境があるからこそ、新しい学習に取り組むことができるのではないでしょうか。
 お子さんのためを思うと、変化を増やすことについては慎重に考えたいです。

②若手先生のキャリアプランが固定的になってしまうのではないか。

 「10年目までに」ということは、およそ1校目か2校目の間に、ということですよね。
 その間に経験するように、というしばりだったら、特別支援学級には同世代似た経験値の先生が集まってきませんか?
 勝手な想像ですが、ベテランの特別支援学級の先生が主任、あとは1校目か2校目の若い先生たち、みたいなイメージです。若くて体力がある方が良い!というのもわかるのですが、やっぱり経験値のバランスがとれていてこそ学びが深まると思いますし、主任の先生への負担が大きくなりすぎると感じてしまいました。
 また、初任から10年目までって、悩むことが多いですが、できることもどんどん増えてきますよね。次はこんな仕事を担当してみたい、この学年をもちたい、などいろいろな面で欲が出てくるときです。もっと先生たちの意思を尊重できる環境であってほしいと思います。

③教員不足がますます進むのではないか

 教員不足がニュースでも話題になっていたばかりです。ますます助長してしまうのではないかと心配しています。

こんなことできたらいいな


①「特別支援学級・教室の先生になりたい!」という人を増やす取り組みをしよう

 自分の経験からなんとなく感じることですが、学校関係って、
 「やる人がいない→じゃあ順番にまわせば平等だよね」
 「やる人がいない→やれば勉強になるから、とりあえず若い人やってみよう」
 みたいな風潮がありませんか?

 そもそも、「すてき、それやりたい!」と思わせる工夫がもうちょっとできるんじゃないかなと感じます。
 (こういうところに、企業のコンサルとかアウトソーシングすればいいのになって思う。)

②先生が自分で時期を選べるようにしよう

 通常級の先生、専科の先生にとって、特別支援学級・教室での経験は本当に大きな学びになります。ただ、キャリアプランを途中でストップさせられるような無理やりな異動はやめてほしい。
 先生たちが、自分で考えたタイミングで実践できるような体制を作ってほしいです。
 
 (ちなみに、私は“通常級”という言葉は苦手です。どこから見た“通常”?と感じてしまう。他にいい言ご存じの方、教えてください)

③シンプルに、お給料増やしましょう

 お仕事ですから、やっぱりお給料が高いことは魅力ですよ。
 企業だと、より優秀な人材を確保するために、給料設定は必須ですよね。
 専門性の高い分野なら、なおさらです。
 特別支援学級・教室は特に、発達や支援方法について専門的な知識やスキルが必要になりますから、やっぱりお給料増やしましょう。


この10年で、「特別支援教育」というキーワード自体がかなり浸透してきたことを実感しています。
昔は「うちの子は普通の子なので普通のクラスで大丈夫です!」という親が多かった気がしますが、
最近は「~なところが心配なんですよね。学校で専門の人が見てくれるならお願いしようかな」という感じで、親にとって敷居がかなり下がってきていると感じます。

教員不足・教員の働き方改革を考えてくださるのはとてもいい動きだと思います。
そこに、現場の先生たちの思いも踏まえて考えてほしいと願います。

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