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残暑にガスパチョを!


ガスパチョは好きですか?

私が初めてガスパチョを飲んだ時のことを今でも覚えていて、確か都内の高級な輸入食材店の瓶入りのもので、小洒落たネーミングに興味を持って(その頃はガスパチョが何だか知らなかった)買った気がする。飲んだ感想は「なんじゃこりゃ!?」人々はいつどんなタイミングでこれを飲むのだろう、と。
酸っぱいし色々と圧が強い感じで何だか違和感のあるスープだった。

ガスパチョとはスペインの料理で主に酢、トマト、きゅうり、パプリカ、にんにく、バジル、オリーブオイルを生のままミキサーにかける(スペインの家によってバゲットの残りを加える家も多いそう。)
私にとって印象のあまり良くなかったそんなガスパチョだが、今となっては夏になって食欲が落ちてきたくらいに必ず食べたくなるそんな存在のスープになった。なんというか身体にスッと染み込んでくれるし、気になっていた酸味もバテた身体には心地がいい。夏になるとスペイン系の子たちが賄いによく披露してくれていた。聞くところによるとスペインでガスパチョはいわゆる「おふくろの味」というものがある立ち位置の料理で、家によって隠し味や入れる食材も違うとのこと。今年は今までになくガスパチョを食べる夏となった。なぜかというと今年のパリは(というか世界的に異常気象だったか)とても熱く43度くらいまで上がった日が何日もあり、それでも何週間とは続かなかったので何とかしのげたが、ヨーロッパではエアコンが殆どの家にないため扇風機でしのいでいる家庭が多く(ちなみに私はうちわでしのいでた。結構きつい夏だった。)食欲もあまりなく遂に初めてスーパーで売っている紙パックのガスパチョに手を出してみた。
ビオスーパーで買うガスパチョはなにも余分なものは添加されていないし味も予想以上のものだった。作る勇気と元気もないくらい暑さでヨレヨレしていたわたしには救世主だった。
1日目はブッラータとバゲットを添えて2日目はパスタと焼きなすとカッテージチーズを合わせて。まだたくさんあったので小腹が空いたら飲んだり、残りはカレーを作った時に加えた。
ガスパチョをぼんやりとすすりながら、昔なんで私はガスパチョを美味しく飲めなかったのかな、と。あの時のシチュエーションを思い出したりして、やはり飲んだ時のお国が違うからかしらとか、私の趣味が変わったのかしらとか考えていたけれど、
そう、これだ!分かった。それはただ、「季節じゃなかった」のだ。日本で飲んだ時、おそらく夏ではなかった気がする。(多分冬)違和感があって当たり前だ。ガスパチョの主な食材は全て夏野菜で、こちらでは夏に食べる物。(ちなみにフランスでは季節の野菜しかスーパーに並んでいないのでトマトは冬に基本的には売ってない。)
そう、単純に日本で飲んだ時のわたしの身体にガスパチョは適していなかったのだ。だから美味しく感じなかったし違和感があったのだ。それを思うと自然や人間の身体って何て良く出来ているんだろう、と感動する。季節の野菜を味わう。自然の流れに身を任せることが一番自然な形で心地いい。
パリなのになぜか蒸し暑かった43度のある夏の日、わたしのこのガスパチョ問題は解決した。

さてさて、パリはもう20度くらいで長い冬が始まる匂いが既に漂っているけれど、
日本は残暑。夏のおわりにガスパチョを作ってみるのはいかが?

レシピはザックリ載せるけれど自分の好みもトマトの熟し具合もそれぞれが違うから
ミキサーにかけながら自分好みにしていって見て欲しい、
ただいくつかポイントなんかを載せておきます。

4人前
トマト4−5個
パプリカ1個
きゅうり半分
たまねぎ 中4分の1
にんにく 少々
生バジル  5−6枚
レモン汁 少々

オリーブオイル

胡椒

これがだいたいのレシピ
注意としては
にんにくとたまねぎは入れすぎると後戻り出来なくなり致命的になるので増やす場合は少しずつ調整しましょう。
トマトがあまり熟れていない場合、もしトマト缶があるならほんの少し入れたり、お砂糖(なるべく白じゃないもの)を加えることで少しでコクも補えます。
お酢は私は米酢、白ワインビネガー、あたりのすっきりしたものが合うと思います。
あと私のおすすめはフルーツを少し入れること。
合うと思うのはチェリーやプラム、アプリコット、スイカやメロン、全く家庭では現実的な果物ではないので、奇跡的に転がっていたり一欠片メロンやスイカが残っていたら少し加えてみてください。入れなくてももちろん美味しい。
それとこれは私好みなのですが、バゲットは入れない。そしてよく前日からマリネするレシピも多いけれど私はフレッシュ感を楽しみたいのでマリネしてしまうとどうしても野菜の味に漬物感が出てしまい、私の好きな野菜のいいとこが減ってしまうのでマリネはしないで作る。
濾してもおしゃれな味になるけれど私は家ではあのゴツゴツ感も好きなので濾さない。とかなんとかいって洗い物を増やしたくないというのも大きい。
こんな感じです。
素材の新鮮さとか熟し具合とかをみて、酸味や甘味のバランスなんかを少し変えたり補ったりしていると味遊びをしているみたいでとても楽しい。みなさんもそんな感じで自分好みのガスパチョを作ってみてくださいね。


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