良い読書感想文を書くための本選び
読書感想文ーー、夏休みの宿題の定番です。
大変だった!という思い出しかない
という人もいるのでは、と思います。
ただの作文ならともかく、結構ヘビーな内容を読み込んだ上に、自分の感想を入れて書かなくてはいけない、それも原稿用紙数枚という量もかなりのものー
原稿用紙を目の前にしてため息をつく、というのは書く当人の子どもはもちろん、宿題をさせる立場の親もあるあるなのでは、と思います。
読書感想文は、何のためにあるのでしょう。
それは、立場によって捉え方が異なります。
⒈夏休み中に本を読む機会を与えるため
⒉コンクールに出品するため
⒊本を読むことで自分自身を見つめるため
1と2は想定内でしょう。
では、3の
本を読むことで自分自身を見つめるため
とは、どういうことでしょう。
実は、この視点で書かれている感想文はコンクールに出品される可能性が高いです。
つまり、感想文として良い評価がされるということです。
詳しくいうと、
・よろこびや悲しみなどの感情が動かされているか
・登場人物の心情や、状況など的確に捉えられる読み取る力があるか
・自分なりの意見や感想を持つ、考えることができているか
・読んだ内容と自分の意見や客観的事実を分けて捉える力があるか
・読む人の心を打つ文章が自分の言葉で書いているか
・読む前と読んだ後の本人の変化が現れているか
というような観点で評価されます。
当然書く子どもの文章表現力も必要なのですが、どんな本を選ぶのかもとても重要になります。
では、実際に、その子の気づきが生まれる本とは?
どんな選び方をすれば良いのでしょう
①📕課題図書になっている本
②📗簡単に早く読めそうな本
③📘今まで読んだ中で心に残った本
④📙表紙や題名などに惹かれた本
⑤📖数ページ読んで面白そうな感じの本
①📕は親や真面目な子、自分では決められない子が選びそうですよね。
課題図書ですから内容も良いだろうし、何と言ってもコンクールに出せたら有利な気がしますよね。
でも待って下さい。
課題図書ということは、同じ本の感想文がたくさん出品されるということです。
つまり、ライバルが多いです!
また、その学年でこれくらいの分量や内容は読み込んでほしい、という読書教育の専門家の方々が選定しているので、普段あまり読書をしない子にはハードルが高いでしょう。
では②📗簡単に早く読めそうな本はどうでしょうか?
さっと読めるなら、書くのも早く終わりそうな気がしますよね?
文章自体も短いですし。
でも、簡単な文章や写真が多めであっても奥が深い本はたくさんあります。
実際、小学校の低中学年くらいの課題図書に写真が豊富な科学的な読み物が採用されることはよくあります。
別にコンクールとか狙わないからと、簡単に要約で済まそうと考えても、ページが少ないので本のほぼ丸写しになってしまいます。
本の丸写しのような感想文は、レベル的に一番下になります。
厳しい先生だったら書き直しを命じられるかもしれません。
②で選んだ本でちゃんとした感想文を書くには、調べるなどのリサーチが必要になるかもしれません。
こう見ていくと、③📘今まで読んだ中で心に残った本が良さそうですね。
自分が今まで読んできた中で一番感想が持てた本、ということですから。
でも待って下さい。
今まで読んできたということは、もっと下の年齢の時に読んだ本かもしれませんね。
そうすると、今の自分とは違う考え方や見方をしていた可能性があります。
なぜって、人は日々学び成長するからー
子どもの時の1年の成長は大人の比ではありません。
知識的にも精神的にも全く違う人間といってもいいかもしれません。
ですから、やはり最近読んだ本の方が今の自分に合ったレベルの文章が書けるはずです。
コンクールでも、当該学年より低い対象年齢の本の感想文は選ばれにくいです。
では、
④📙表紙や題名などに惹かれた本か、
⑤📖数ページ読んで面白そうな感じの本
ということになるのでしょうか。
でも、これらはほぼ、第一印象か勘で決めることですね。
こんなので決めていいんでしょうか?
はい、良いです。
第一印象や、お試し読み(味見読書)は、割とあてになります。
「最初、題名を見た時には、こんな印象を受けた。それは、、、、」みたいな書き出しの入賞作品も見かけることがあります。
読み出して数行で引き込まれるということは、その本と波長が合うということなので、きっと得るものがあるはずです。
・・・で、実はこれらとは別に、実はコンクール入賞確率がぐっと上がる裏技があります!
それは、先生や保護者が、その子に合う本を選ぶことです!
えー、それでもいいの?
と思うかもしれません。
最近のその子が出会ったことや体験したこと、気持ちや考えなどを分かっている人と言えば、保護者や担任の先生でしょう。
そういう身近な大人が、この子がこの本を読めばきっと何か感じるものがあるはずだ、という本を見つけ出せている場合です。
その大人が、その子の内面と本の内容とを結びつけることができれば、さらに本の内容やテーマについてその子と対話しながら文章を書くアドバイスができれば、素晴らしい読書感想文ができます。
そのためには、保護者も自分の好きな本を読むだけではなく、自分の子がどんな本を好んで読んでいるのか、今どんな本が話題の児童図書として出ているのか、普段から子ども向けの本をリサーチしておくことが必要になります。
そして、子どもに対して本を紹介するレファレンスだけではなく、内容まで踏み込んで相談ができるコンシェルジュ となる大人がいれば、最強の読者感想文ができます!
しかし、大人の思いが強すぎるあまり押し付けにならないように注意が必要です。
あくまでも書くのは子どもです。
いくら素晴らしい言葉や考え方が書かれていても、あまりにも大人っぽい表現は年齢にそぐわないとして選ばれない可能性があります。
もともと、その子がそのような大人びた言葉遣いや考え方をする子ならば、その表現が合う年齢までコンクールには出さずにおいて、学校や家庭でしっかり認めてあげればよいと思います。
表現の場は他にたくさんあるので、その子の良さを他の場で発揮させてやることもできるでしょう。
結果ばかりに目が行き、コンクールで良い賞を取るためだけの感想文になってはいけません。
始めにお話ししたことに戻りますが、あくまでも書く目的は、
本を読むことで自分自身を見つめるためなのです。
その本を読むことでその本から知識を得ると同時に、作者の書いているテーマについて深く考え、自分自身は何をどう考えているかを書くことによって気づき、読む前と読んだ後では物の考え方が変わったり深まったりすることが、普遍的な読書の目的です。
読書は自分を見つめ、新しい自分を発見することでもあるのです。
読んでいただきありがとうございました。
次にお子さんが感想文を書く時のアドバイスとしての参考になれば幸いです。
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