千種ゆり子@気象予報士、防災士
2014/1~2018/9 毎日新聞青森面や全国版で執筆していた記事を転載しています(毎日新聞許可済み)
4月、新生活の季節です。先日、一橋大学空手道部の新入生勧誘イベントがあり、OGとして勧誘のお手伝いをしました。このイベントは卒業生が参加することは少ないのですが、現役部員から是非来てほしいとプッシュされて参加しました。いくらコーチとはいえ、15近く歳の離れた先輩を勧誘に借り出すその勇気とフラットさに、良い意味で心を動かされました。 20年間色々な後輩を見てきましたが、今の学生に対して感じるのは、OB・OGとも親密な関係を築こうとする学生が多いということです。いざ自 分の
先日、元女子マラソン選手でスポーツジャーナリストの増田明美さんとお話する機会がありました。話題は去年10月に行われた「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の天気についてです。 パリ五輪の代表を選考するためのレースで、増田さんいわく、本番当日に天候が近いということで日程が決まったそうです。パリの平年8月は、最高気温25度、最低気温15度前後ですから、確かに東京の10月平年に近いわけです。平均的な気温、かつ、晴れの天候を想定すれば、比較的走りやすい状態となるでしょう。
私は気象予報士としてこのコラムでたびたび「地球温暖化とスポーツの関係」について書いてきました。地球温暖化によってスポーツがどのような影響を受けるかという観点が多かったのですが、今回はスポーツが「温暖化を緩和するためにできること」について書こうと思います。 スポーツにおける温暖化への「適応策」 地球温暖化の原因は温室効果ガスですが、温室効果ガス自体は一定程度は必要です。人間が急激に温室効果ガスを増やし、それによって気候に急激な変化が起こっていることが問題です。この半世紀で仙
2023年1月、大坂なおみ選手が第一子妊娠を発表しました。第一子出産時の母の年齢を日本と米国で比べると、日本では平均30歳なのに対し、米国では平均26歳。米国内としては平均的な年齢での出産予定となるようです。 元なでしこジャパンの澤穂希さんは、米国でプレーしていた時、十代の頃から婦人科で定期的な検診を受けているチームメイトが多かったのを見て、日本との違いに驚いたそうです。技術はトレーニングや試合を重ねることで向上するが、月経困難症の不安や苦しみは努力や根性では解決できず
(一橋大学空手道部・90周年記念誌より編集して再録) 私は2006年・18歳の時に一橋大学で空手を始めました。空手を始めたきっかけは2つあります。1つは、高校時代に路上で痴漢に遭った経験があるのですが、叫んだだけで何も対処ができず悔しい思いをしたからです。その時、自分自身を自分で守れる力や気概を身に付けたいと思ったんですね。 そして2つ目の理由は、こんな所で書くのも恥ずかしいのですが、アニメの影響です。名探偵コナンのヒロイン・毛利蘭が空手をやっていて、ピンチの時に空手
今から29年前、私は神戸市東灘区の自宅で被災しました。29年前のきょう・ 1月17日、6400名以上が亡くなった、阪神淡路大震災が発生しました。 被災したとは言っても、幸いにも大きな被害がなく、さらにはまだ小学1年生だったからか「トイレをバケツで流さなければならないので大変だった」くらいしか記憶に残っていませんでした。私の両親は悲惨な状況を見せまいと、外に連れ出さないようにしていたそうです。その後神戸を離れたこともあり、私はその日のことをすっかり忘れていました。 それ
今回のコラムは、2022年冬に開催された北京五輪についてです。
1年前の私は、2つのことを公表した。 1つは、結婚したこと。 もう1つは、26歳の時に、難治性の不妊症「早発閉経」であると診断されていたこと。 早発閉経を公表した理由私が早発閉経と診断されて不妊治療をしていたとき、不妊治療中の芸能人だったり、不妊治療をやめてもイキイキと輝いている方のインタビュー記事に、強く励まされた。 だけど、早発閉経の方のインタビューは見つけられなかった。 早発閉経は、100人に1人いると言われている。 100人に1人だって、少なくたって。
2018/8/4 毎日新聞お天気みちくさ 掲載分(毎日新聞許可済み) 西日本豪雨に記録的猛暑と、自然の恐ろしさを感じる夏になっています。西日本豪雨で亡くなった方は200人以上、今夏熱中症で亡くなった方も100人以上と、広い意味での「気象災害」によって多くの方が命を落としています。 これらの惨状を見て「気候が変わった」「温暖化だ」と言う人も多いように感じます。 長期的な変化傾向として、温暖化の影響は無視できない状況です。観測データもそれを裏付けていて、非常に激しい雨
2018/9/7 毎日新聞お天気みちくさ 掲載分(毎日新聞許可済み) 長崎県の端島、通称「軍艦島」に行ってきました。軍艦島は湾内ではなく外海(そとうみ)にあるため高波の影響を受けやすく、国の重要な産業である炭鉱を守るため、RC造のアパートを並べていました。アパートが防潮堤の役割を果たしていたのです。もちろん住宅側ではなく廊下側の壁面で受けていたようですが、人の住み処を盾にするとは、今では考えられない発想です。 ガイドの方の話で興味深かったのが、奥様方が「台風見物」をし
2018/9/21 毎日新聞お天気みちくさ 掲載分(毎日新聞許可済み) 個人的な話で恐縮ですが、私は気持ちの浮き沈みが激しい人間です。気持ちが乗ったときはこのコラムもいいアイデアが思い浮かびさらさらと筆が進みました。しかし気持ちが沈むと精神的に退廃し、仕事の生産性が下がっているのがわかりました。一緒に仕事をする人にも迷惑をかけているかもと思うこともありました。常に精神的にフラットでいたいと思いながらも、それがなかなか難しい。仙人にでもなればできるのでしょうか。 常に一
うっとうしい梅雨が到来です。1カ月半後に梅雨が明けるといよいよ猛暑がやってきます。今年はマスク熱中症なども心配されますので、熱中症予防として「暑熱順化」を済ませておくことが大切です。 暑熱順化とは、本格的な夏になる前に、暑さに身体を慣らしておくこと。「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる程度の運動を毎日30分程度、1週間程度継続して行うと良いそうです。そうすると血液量が増加して温度調節機能が向上するため、熱中症にかかりにくくなるそうです。 「やや暑い環境」とは気
わたしの右手首の痛み、TFCC損傷。装具で固定し続けたところ、日常生活には問題がないレベルまで回復したのですが、空手をできるほどにはならず。 せっかく元日本代表の選手に教えてもらえる道場に入ったのに…と悔しい日々が続いています。 完全に治るまで運動は我慢しようと思う一方で、このままだと体力が衰えてしまうと焦りも募り、右手を使わずに気軽にできる運動を探しました。 たどり着いたのがリングフィット様私は右手が痛いため、体幹や下半身を中心としたメニューに調整し、1日20分ほどを
東京キー局の気象予報士は、女性は(出産などを機に?)30代で番組から退くことが多くなっています。 この現状があると私は薄々気づき始めたので、出産できないことに絶望しました。出産でマイルドに引退することができないので、自分でセカンドキャリアを探さなければならないからです。 テレビ局の社員である局アナとは違って、気象キャスターは契約で出演していることが多く、出産後に再び画面や仕事に戻れる人は少ないのが現状です。 2021年3月に気象予報士の長谷部愛さんが「東京キー局に出演す
史上初の「冬開催」となったサッカー・ワールドカップ(W杯)。 開催国のカタールは、緯度こそ沖縄と同じくらいですが、気候は大きく異なります。いわゆる砂漠気候で、夏季は最高気温が40度を超えることも多い。柔軟に冬開催に変更したことは素晴らしいです。 しかしながら、3つ、気になる点がありました。1つ目は、過剰にも思える空調です。今大会は空調設備を備えていたことがアピールされましたが、観客からは「寒い」という声が出たのです。もちろん服装や出身地によって体感の差はあるものの、
皆さんが「コロナ禍が明け始めた」と実感できた出来事は何でしょうか。まだ実感できていないという方もいるかもしれませんね。大変な中頑張っていらっしゃる方には本当に頭が下がります。 私は最近ようやく、自分がコロナ禍を克服し始めているのを実感する出来事がありました。 それは、空手の新しい道場に入会したことです。 その新しい道場とは、前回のコラムで紹介した、原宿にある女性専用のおしゃれな空手道場です。 私が入会を決めた理由の一つが、道場の雰囲気です。毎回十名ほど、二〇代から四〇