
『僕と私の殺人日記』 その42(最終回)
※ホラー系です。
※欝・死などの表現が含まれます。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
○○○の日記
幼い頃に聞いたあの童謡。
兵隊さんがいなくなる寂しい歌。
枕元でおとうさんが歌ってた。ずっと耳に残ってる。記憶に残ってる。
おとうさんの日記にはある二人のことが書かれていたわ。男の人と女の人。ひとつの身体で心が入れ替わっていた時のこと。
一週間に起こった殺人事件のこと。 男の人が大きなナイフで村の人たちを殺していった。
楽しかったみたい。
多くの人を殺した。あの童謡みたいにみんないなくなるはずだったの。 でも、それを嫌がった女の人が、途中で男の人を殺してしまったわ。
身体が同じだから女の人も死んでしまった。そこで日記が終わっていた。
あのナイフには不思議な力があるみたい。
殺させる力。心を切る力。神社に祀られていたのをおとうさんは、魔が差して盗んでしまった。
呪われたナイフだったの。
あとで殺人鬼の魂が宿っているのだと聞いた。だから除霊するために神社で祀られていた。
あのナイフは人を選ぶ。
選んだ人に殺させるように囁く。
殺すと入れ替わる。
大切な人や動物をあのナイフで切り殺すと人格が二つに分かれる。
おとうさんの場合はペットの犬を殺して女の人が生まれた。やさしい人格と残虐な人格。 おとうさんは残虐な方だった。すぐに人を殺すようになった。
おとうさんの意思を継ぎたかった。でも、ナイフは選んでくれなかった。
だから、リナちゃんがあのナイフを持って行ったのは驚いたわ。リナちゃんの様子がおかしいのに気づいて、ナイフを隠していた天井裏を確認したの。
ナイフはなくなっていた。 何かを殺して人格が変わったのと確信した。
その時、リナちゃんがナイフに選ばれたのだとわかった。うれしかった。 もう一つの人格はユウくんだった。やさしくて女の人の人格を思い出した。
リナちゃんが殺す側の人格。協力したいと思った。だってお友だちだもん。 それにあの事件は童謡のまだ途中。だから最後までやり遂げたかった。
ナイフが選んだだけあって、リナちゃんは多くの人を殺してくれた。 あと少しで童謡が完成する。
でも、二人に謝らないといけないことがあるの。とても悲しいこと。 あの歌の最後は・・・。
ごめんなさい。結局、おとうさんの時と同じよね。
本当は入れ替わりのルールを知っていたの。おとうさんの、女の人の日記に書いてあったから。
リナちゃんにはウソのルールを教えた。あなただけに気づいてほしかった。最後はユウくんでないといけないの。
ユウくんにはこれからひどいことさせてしまうわ。きっと苦しむでしょうね。 あなたはとてもやさしいから。
無理に付き合わせてしまってごめんなさい。
そして、最期まで友だちでいてくれたリナちゃん。巻き込んでごめんなさい。
村に残っているのはあと二人。どうやら順番がきたみたい。
それじゃあ、一足先にいくね。
またね。
リナちゃん。
ユウくん。
ユイカを殺してくれてありがとう。
おとうさん、もうすぐ会えるよ。
村のみんなと一緒に・・・。
END
次の小説↓