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【毎日書評】あなたの時間と元気を取り戻す「減酒セラピー」3つのルールとは

以前はアルコール依存症になると、「断酒」一択だと考えられていたが、実はアルコール摂取量を減らす「減酒」という選択肢が存在します。
治療法は、カウンセリングや減酒薬によるものなど、より取り組みやすい治療法が研究されており、本書ではその具体的な方法が紹介されています

ルール①:ノンアル&微アルで毎日の飲み方に変化をつける

本書では減酒をする際に、アルコールの「置き換え」で飲酒量をコントロールする方法が紹介されています。

著者は2023年に筑波大とアサヒビールとの共同研究で、お酒のノンアルコール飲料への置き換えに関する調査を実施。この調査の対象者は、飲酒が週4回以上で、純アルコール量換算で男性は1日40g以上、女性は20g以上を摂取する人たちでした。対象者123人のうち、54人にはノンアルコール飲料を無料で12週間提供し、提供していない69人と変化を比較したところ、ノンアルコール飲料を提供すると飲酒量を一定程度減らせることが明らかになったということです。ノンアルコール飲料の提供開始から12週間が経過した人の飲酒量は、純アルコール量換算で1日平均11.5g減少。ノンアルコール飲料の提供終了後も、63%の人は継続してアルコール飲料をノンアルコール飲料に置き換えて飲酒量を抑えることができるという結果となりました

この調査では、対象者は、特にお酒を減らしたいと思っている人たちではないかったとのことでノンアルコール飲料の効果を調査しているとだけ伝えて、サンプルを配ったそう。つまり、ノンアルコール飲料があれば、酒量を減らしたいと思っていなくても、自然に減らすことができるということになります。

調査対象者は様々な方法でノンアルコール飲料を活用していたこともわかりました。炭酸タイプの飲料であれば喉越しの良さで満足感が得られる。お酒の前にノンアルコールを飲めば、「もう一杯」の誘惑を抑えられるし、飲酒の途中にノンアルコールを飲めば、飲み過ぎを抑えられるうえにお酒に戻った時においしさが倍増する。お酒をノンアルで割り、アルコール量を抑えながらオリジナルの味を楽しんでいる人もいたとのこと。調査実施者たちの想像を超えるユニークなアイデアもあり、ノンアルコール飲料の可能性を感じられる結果となったとのことです。

ルール②:飲酒習慣を記録して引き金を覚えておく

二つ目に減酒をしたい人全員におすすめしたいのが、飲酒の記録ということです。食べたものの記録をするだけで体重が減るというレコーディング・ダイエットが話題になったように、飲酒の記録を取ると飲酒量を減らすことができるようになるとのこと。記録を取ると、どんなときにお酒を飲みたい欲求に駆られて、飲み過ぎてしまうかも把握できるメリットが大きいと著者は述べています。

ちなみに一般的にお酒に対する欲求が高まるのは、「H-Hungry(空腹)」「A-Angry(怒り)」「L-Lonely(孤独・暇・退屈)」「T-Tired(疲労)」の4つの引き金によるといわれています。各英単語の頭文字をとって「HALT」と呼ばれるこれらの状態は、どれも心身がストレスを感じている状態です。

お酒を飲む引き金(トリガー)は人それぞれ違います。自分にとってどんなことが飲酒の引き金になりやすいのか、客観的に知るためのチェックポイントとしてこの4つの状態を覚えておくと、飲み過ぎ防止に役立つでしょう。

ルール③:飲み方の目標を決める

減酒のモチベーションのキープに欠かせないものが目標設定。目標は可能な限りハードルを低くし、絶対に達成できそうなことから始め、小さな目標が達成できたら、次の目標を作るというように、ステップを踏んでいくことが大切だそうです。

たとえば、お酒の量を「500mlから350mlに」、飲酒回数を「外飲みの回数を週1回減らす」などと、具体的に数値を設定するイメージ。ちなみにその目標を達成するまでの日数や時間を「いつまでに」と、期限を設ける必要はないそうです。

断酒の場合は、お酒がゼロになるのが目標であるため、期限を決めたほうがやりやすいですが、減酒の場合は少し違う。酒量が少なくなった状態をキープできれば、減酒は成功という考え方が大切なのだそう。

減酒に時間的な締め切りを設けるのはむしろもったいないこと。終わりを決めるよりも減酒を開始する日を決めるほうが、成功しやすいようです。


本書は「減酒」のさまざまなメリットが紹介されています。そのひとつは、「手持ちの時間が増える」こと。著者の知人に、お酒好きでお昼から日本酒を飲んでしまい、午後をダラダラ過ごしてしまうことに悩んでいる年配者がいたそうですが、お昼にノンアルコール飲料を飲んでみたところ、それが意外に美味しく、減酒につながり、さらに午後に車を運転して外出する機会も増えたといいます。お酒をよく飲む人ならば、時間を確保したいと思ったときに、減酒によってそれが達成できるかもしれません。

書籍ではこの他にも減酒のメリットに言及しながら、減酒のやり方を具体的に紹介しています。「お酒はやめられない」と思っている方は、是非本書を読んで、よりよい飲み方について考えるきっかけにしてみてはどうでしょうか?

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