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混沌
今日は少し遅めの出勤だった。
出勤したらまず、連絡ノートに目を通す。それから休憩時間の確認。
普通はそのあと店内を巡回して棚の乱れを直したりストッカーから補充したりするのだけれど、今日はとてもじゃないがそんな余裕はなかった。ラッピング待ちが溜まっていたので、メンバーの中でいちばんラッピングが早いスタッフとレジを交代し、そこからノンストップ。3台あるレジフル稼働で、ひたすら列を短くするためにとにかく必死。
PayPayのポイント還元の上限が5,000円だから、5,000円以内に収まるように会計を2回3回に分けたいって言われるのでひとりのお客さんに時間がかかる。自分で分けて持ってきてくださるお客様は神。
そんな状況に絶望していたのだが、更なる絶望がわたしたちスタッフを襲う。
クリスマス前で、プレゼント用の絵本の問い合わせが多い。必然的に児童書コーナーに探しにいくのだけれど、誰か平台の上でブレイクダンスでも踊ったんかと思うくらいの荒れっぷり。音の鳴る本などはビニールが引き裂かれ、見本は既にボロボロ。
問い合わせが多くて場所も把握してる本すら見当たらない惨状に、「一旦お店閉めませんか」と思わず店長に提案してしまうほど。
乱れきった棚を直す余裕すらなく、おかげでどんどん酷さが増していく売場をカウンターから眺めながら、わたしの中の山本元柳斎重國が流刃若火しそうだった。
19時を過ぎてやっと少し落ち着いたので、カウンターを離れて売場の原状回復。
「キミどこから来たの?」っていうレベルで店の正反対から運んでこられた本とか、表紙のカバーだけが棚にあって本体が行方不明になってる本を探して周り、何故か床に積み上げられた歴史マンガのシリーズを棚に戻し、平積みされてるいちばん上の本だけが全て裏返されているのを直し、1時間でなんとか見た目だけは整えた。もうげっそり。
わたしの知っている本屋は、静かな店内にお洒落なBGMが流れ、穏やかに時間が過ぎていく大層心地良い空間だ。あまりにも居心地が良くて、朝から晩まで居座ったこともある。
そんな本屋にはなれないと分かっているので、休みの日はつい静かな本屋へ足が向いてしまう。