「感謝と祈り」第811話
戦国武将の武田信玄は、「戦は五分の勝ち方が良い」という言葉を残しています。
完全勝利すると、奢りが出てしまうし、七分の勝ち方だと、心のどこかで油断が残ってしまうからです。
禅宗に深い洞察を持っていた武田信玄ならではの、戦の考え方があったのでしょう。
仏教には「中道」という教えがあります。
極端を捨て、まさに中道を行くことです。
お釈迦さまは、皆が幸せになれる道を求めて、王子としての生活を捨て、快楽に耽(ふけ)る生活を捨て、自身の肉体をとことんいじめる苦行に入りました。
しかし、ほどほどぐらいがちょうどいいという考えに至り、さとりを得たのです。
唯一無二の神を信じるキリスト教やイスラム教は、白黒をハッキリつける宗教なので、神の意に沿わないものはすべて悪となります。
そのため聖戦(ジハード)という名のもとに 戦争が繰り返されているのは、皆さんもご存知ですよね。
いっぽう中道を旨とする仏教は右にも左にも偏らず、お互いのよいところを認め、ゆずり合いの心を大切にして共に生きる道を歩む宗教です。
ビジネスの世界に目を転じてみると、以前は勝ち組と負け組にはっきりと分かれていました。
しかし最近は、お互いによい状態を保てるようWin-Winでやっていくのがいいんじゃないかという風潮が強まっています。
武田信玄のいう五分勝ちの精神がビジネス界に広まってきたようです。
これはよい方に向いていると思います。
お互いの利益を考えながら、相手をやっつけてしまう考え方を捨て、お互いに助け合う方向で伸びていくのは、中道の考え方に近づいてきているように思います。
人間関係においても、お互いの良さを認めながら、共に譲り合いの精神で心地よく生きたいものですね。
今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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