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1500年間の暮らしを詰め込んだ「貝層パフェ」

青森県七戸町にある「二ツ森貝塚」というところに呼んでいただいて、パフェ作りのワークショップをしました。

みんなで作った二ツ森貝塚の貝層パフェ

二ツ森貝塚は、2021年にユネスコの世界文化遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」を構成する遺跡のひとつです。

この貝塚のすごいところは、貝の堆積を順番に観察すると、縄文時代前期〜中期の「海進・海退」という時期をまたがって利用されたことがはっきりわかるところ。

「二ツ森貝塚館」というガイダンス施設には、剥ぎ取られた貝層の断面が展示されています。

縄文時代には、気候が温暖化して、今よりもずっと内陸まで海が入り込んでいた時期があって、その後にまた寒冷化して海面がひいていきます。

二ツ森貝塚が営まれた時代は、正確には、縄文時代前期中ごろ〜中期末(5500年前〜4000年前の間頃)と言われているので、だいたい1500年くらいの間のできごとです。

前期の海岸線(二ツ森貝塚館の解説パネルより)

これだけ環境が変化すれば、まわりで採れる食べ物も変化するわけで、とてもざっくり言うと、牡蠣(マガキ)やホタテばっかり食べていた縄文海進期の前期、シジミ(ヤマトシジミ)ばっかり食べていた海退してきた中期、という食生活の変化が貝層にはっきり出ているのです。

海水性の貝の層。重ねて捨てられたホタテの貝殻が見える

さて、貝層のはじまりは、海の仲間の貝から始まります。

汽水性の小さなヤマトシジミやアサリがたくさん

上層にいくと、海水に淡水がまじった汽水域の貝の仲間たちが密集しています。ちなみに、二ツ森貝塚の近くには小川原湖という大きな湖があって、今でも夏になると潮干狩りでにぎわうそうです。シジミラーメンも名物です。

で、これをみんなで観察してパフェ化してみよう!というのが今回のチャレンジです。

展示室のはぎ取り断面を観察するためのオリジナルシート

プログラムの流れは…

①縄文時代と二ツ森貝塚の概要説明
②貝の種類の説明
③展示室に移動して貝層はぎ取り断面の観察
④観察結果を発表し合う
⑤貝層の順番の答え合わせをしながらパフェつくり

で、だいたい1時間半です。

展示室で観察
(七戸町公式YouTubeチャンネル「しちのへちゃんねる」より)
観察の様子
(「しちのへちゃんねる」より)

小学校中学年生以下がほとんどで、ちょっと難しいのではと心配しましたが、それぞれに貝層と向き合ってくれていて、ひと安心…

何人かに観察結果を話してもらって、お互いの観察をかけ合わせながら、みんなで認識を共有しました。

海水域の貝から汽水域の貝になる様子が観察されました。
体験室に戻ってきてパフェ作り
(「しちのへちゃんねる」より)

材料はひとりひとりセットにして渡しました。
事前準備がけっこう大変でしたが、当日はこの方がスムーズにいきました。

ひとり分の材料
しみチョコを粉々にして土に。
(「しちのへちゃんねる」より)

ホタテはアーモンドスライス、牡蠣はコーンフレークで表現。1500年の旅をパフェ作りで擬似体験しながら、二ツ森貝塚の環境の変遷や、縄文海進という大きな気候変動についてみんなで学んでいきました。

そろそろ縄文中期の層…
(「しちのへちゃんねる」より)

衛生管理上、この場では食べられないので、家にお持ち帰り。持ち帰りを考えて牛乳やアイスは使えなかったので、食べ方は各自アレンジしてもらう形にしました。

トップには、竪穴式住居に見立てたアポロと、
魚介類を象徴させたおっとっとをトッピング。

貝塚の「貝層」について、ここまで細かい観察からお菓子化するプログラムは初めてだったのですが、楽しく最後まで参加してくださってよかったです。

お菓子化するという目的のための観察ですが、観察の視点を共有すると、一緒にモノを見ることができます。そうやって、視点の共通言語ができたらいいなと思って毎回試行錯誤しております。

二ツ森貝塚館


詳しくは、七戸町の公式YouTubeチャンネル「七戸ちゃんねる」にまとめられているので、ぜひ見てね!!

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