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ぐっときた珠玉の歌い出し3選【2分】

この世界に、氾濫するかのごとく存在する、数多くの歌のなかで、たいへん僭越ながら、私が惹かれる歌たちには、ひとつの条件がある。

それは、ぐっとくる歌い出し、があることだ。

今日は、私ユミヨシが今までに聴いた歌のうちで、特にぐっときた、珠玉の歌い出しを、3つ紹介しようと思う。


①『愛の標識』クリープハイプ(作詞:尾崎世界観)

死ぬまで一生愛されてると思ってたよ

歌ネット

思いの強度に、くらくらする。

死ぬまで一生愛されてる、なんて、信じられない。私は。

(死ぬまで一生愛されてると思ってた、と思い込もうとしたことは、あるかもしれない。)

たとえこの先、仮に、結婚したいと思う人と会って、結婚することになったとしても、信じられないと思う。

それはきっと、相手に対する信頼がないという話ではなくって、「愛」という概念そのものに対する、際限のない、そして根源的な信頼に由来している気がする。

愛をそれほどまでに信頼できる、ある意味では無邪気な、思いの強度に、ぐっときた。

②『KissHug』aiko(作詞:AIKO)

友達だなんて一度も思った事はなかった

歌ネット

すごく、すごく残酷な告白だ。

そりゃあ、こう言われて、純粋に嬉しい人もいるかもしれないけれど、おそらく多くの場合、この告白は残酷で、攻撃性さえ宿している。

でも、きっと主体は、告白の残酷さも、攻撃性も、自覚しているような気がする。

それでも、言わずにはいられなかった、切実さがある。

「なかった」と過去形になっているところは、主体が相手との関係性の変化を覚悟していることを暗示しているように感じて、そこに、ことさら、ぐっときた。

③『一番綺麗な私を』中島美嘉(作詞:杉山勝彦)

もしもあの春にあなたと出逢わなければ
舞い散る花びらはただ白く見えていたでしょうか?

歌ネット

すこし長めのワンセンテンス、疑問文の歌い出し。

主体には、舞い散る花びらは、ただの白には見えていない。

別の色?

それとも、何か特別な白?

人との出逢いで、世界の色彩感覚が変わる、というのは、ともすればチープな表現になってしまいかねないところがあると思う。

そこを、重厚感すら感じさせる表現に仕立て上げている、職人の技術力、みたいなものまで感じさせるところに、ぐっときた。

(意図せず3選が、恋愛ものばかりになってしまった。好評であれば第2弾も書こうと考えているので、おゆるしを。)

おわりに

今日の短歌

目が合ってはじめましてのその前に君に惹かれていた気がしてる/弓吉えり


まだ、はじめまして、さえ、ひとことも言葉を交わしていなくても、目が合っただけで、その人に惹かれてしまうことがある。

恋愛に限らず、ね。

惹かれてしまう、と無意識に書いたのだけれど、てしまう、ということは、私のなかに、どこかで、罪悪感があるのだろうか。

決め手になるのは、はじめましてのあとかもしれないけれど、はじめましての前から、何かが、始まっている、そんな直感がある。

歌にもそういうところがある気がしていて、ぐっときた歌い出しの話をさんざんしておいて何なんだけれども、歌い出しの前、イントロが流れ始めたときに、もうその歌に惹かれていることがある。

それは、イントロの音楽的なすばらしさ(=私にはくわしくわからない部分)もさることながら、これからやってくる歌い出しへの果てしない期待、予感めいたものも、含まれている気がしてならない。

たぶん、たぶん、イントロと歌い出しのあいだには、私には計り知れない、親密な関係性が築かれていて、その関係性のあわいで、私は陶酔し、わけがわからないながらも、精いっぱいの、つたない賛辞を送るのだろう。

よかったら、あなたがぐっときた珠玉の歌い出しも、教えてください。

#創作大賞2024 #エッセイ部門

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