第19回 じんましん
2024年5月6日
健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。
じんましんになったことがある方なら、じんましんの痒みのつらさ、お分かりになるのではないでしょうか。
じんましんは突然、皮膚にかゆみを伴う発疹が現れる病気です。通常発疹は24時間位に消えてしまうことが多く、じんましんの約9割は1週間以内には治ります。ところが、中には数ヶ月、数年と続き慢性化してしまうものもあります。
今回はじんましんについて少し詳しく解説していきます。
じんましんのメカニズム
皮膚の深いところにある真皮には、ヒスタミンを含む肥満細胞が存在します。肥満細胞に外から何らかの刺激が加わると、中からヒスタミンが放出され、血管の外に血漿成分が浸み出してきます。この血漿成分が多くなると皮膚が膨らみ、血管も拡張して赤みを帯びてくるようになります。
これがじんましんの正体ですが、ヒスタミンは知覚神経も刺激してかゆみも引き起こします。
じんましんの原因
じんましんの原因は、「物理性の刺激」による接触性じんましん、寒冷じんましん、紫外線じんましんや、「発汗」によるコリン性じんましん、「アレルギー」による食物・薬品じんましんなどがありますが、原因を特定できるものは全体の3割弱と言われています。全体の7割が原因不明のじんましんとなっています。
じんましんの治療
じんましんを起こす原因がわかっている場合は、その原因を取り除きできるだけ回避しますが、ほとんどのじんましんが原因不明です。
当院ではアレルギー科を掲げている事もあり、連日じんましんやアレルギー性皮膚炎の方が来院されます。「昨日の夜から急にじんましんが出て…」という方と、「数年前から夜になるとじんましんがでるんです」という方に大きく二つに分かれます。
急性じんましんと慢性じんましんですね。二つの治療は少し異なりますが当院での治療法をご紹介します。
急性じんましんは、全身の発疹、強い痒み、まぶたや口唇の腫れ、呼吸苦を訴える方もいるくらい激しい症状のことが多いので、救急の治療となります。当院では、すぐに炎症を抑える点滴や解毒剤と言われる注射を行います。通常は治療後1日で軽快しますが、症状の強い方は3日間連続で点滴や注射を行う場合があります。
慢性じんましんは、ほとんど原因がわからないことが多く、アレルギー体質を改善する治療をしていきます。ヒスタグロビン注射を週1回ごとに6回を1クールとして投与していきます。アレルギーの原因が何であれこの治療は功を成すことが多く、何年も治らなかったじんましんが徐々になくなっていきます。また、夜になっても交感神経から副交感神経に切り替わらず、交感神経が興奮したままの状態だと夜に慢性じんましんが起きると考えています。まずは交感神経を興奮させない生活指導をしていきます。例えば、コーヒー・紅茶・緑茶をやめる(朝飲んだカフェインでも夜に響いていきますので不眠の人も控えてくださいね)、甘いものを控える(血糖が上がったあとは血糖が下がり、このとき交感神経が興奮します)、夜は間接照明などで明るさを落としてリラックスする、など生活スタイルの改善も提案していきます。
あとはアレルギーを引き起こしやすい方は特に小麦(グルテン)と牛乳(カゼイン)を避けるようにお話ししていきます。
薬だけではなく、こうした食生活や生活習慣の改善も必要になってきますので総合的にアプローチしていくことが大切だと考えています。
じんましんを引き起こさない体を作ることが治療のゴールですね。
じんましんでお困りの方は参考にされてみてください。