ハナウタ〜September〜
ふと気づくと口ずさんでいた。
まだ秋を歌うには早いのだが。
なんだかそんな気分。
ちょっと切ない夜の始まり。
“September”って響きがいい。
夏の恋の終わり、小さな別れ、枯れ葉の匂い。
秋は歌になりやすい。いろんな情景が浮かぶ。
“November”だとちょっと違う。
秋よりもっと寒さが増して、その分切なさも深まりそうだが、11月だとちょっとエピソードが浮かばない。
何より“November”と言う響きは、なんだか音に乗せにくい。
夏は……。
夏は海、太陽、恋に青春。エピソードが満載。
でも“August”とは歌わない。
November同様、やはり音に乗せにくい。
夏を歌にするなら、もうストレートに“夏”って言った方がいい。英語にするなら“summer”だ。
そう歌詞を紡いだ松本隆は、やはり類い稀なる作詞家だ。
夏の暑さに疲れたのか、少しBlueな気分でそんなことを思いながら、豚汁をすすっている私。
あれ?
鼻歌って気分がよいときにうたう歌って辞書には書いてある。
私は今どっちなんだ。