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地方貴族の愛したハルモニームジーク③グノー「9つの管楽器のための小交響曲」

こんにちは、内田夢美(https://x.com/yumemi_uchida)です。
山梨に移り住んで、5年目。
ぶどう農家を営みつつ、
オーボエの演奏やレッスンなどの音楽活動をしております。

はじめに

2025年1月10日(金)18:30からYCC県民文化ホール(甲府市)にて
『地方貴族の愛したハルモニームジーク』を開催致します。

開催に先立って、曲目解説をアップしていきます!
本日は、グノーの「9つの管楽器のための小交響曲」について。
出演者であります、オーボエの山内花さんにご寄稿いただきました!

グノー「9つの管楽器のための小交響曲」

シャルル・フランソワ・グノー(1818〜1893)は19世紀フランス・ロマン派の作曲家である。
父は画家、母はピアニストの芸術家の次男としてパリに生まれた。

代表曲に歌劇《ファウスト》、ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685~1750)の名作《平均律クラヴィーア曲集》第1巻の前奏曲ハ長調に旋律をのせた《アヴェ・マリア》が挙げられる。

《9つの管楽器のための小交響曲》はグノーにとって晩年に近い1885年に作曲された。編成はハルモニームジークの形態に1本のフルートを加えた木管九重奏となっている。

フルート奏者であり作曲家としても活躍したポール・タファネル率いるフランス管楽器室内楽協会(Société de musique de chambre pour instruments à vent)のためにグノーはこの作品を手がけ、献呈する。初演は1885年4月30日にパリのサル・プレイエルで行われた。

当時は交響曲といえばフルオーケストラの大きな編成のものが流行であったが、グノーは敢えて逆行し奏者を少人数にすることを選択する。
従って交響曲とは銘打っているものの、あくまで小(petit)交響曲であり、区分としては室内楽作品といえるだろう。
これは後の20世紀におけるシンフォニエッタや室内交響曲の先駆的作品となっている。

楽曲の構造としては典型的な交響曲と似た作りとなっており、第一楽章はゆったりとした導入から始まり明るく朗らかなアレグレットへと続く。
第二楽章アンダンテカンタービレは美しいフルートの旋律が印象的で柔らかく穏やか。
第三楽章スケルツォは狩猟の音楽の要素を持ち、6/8拍子の快活なメロディを担う。力強くホルンが入ってきて始まる中間部(トリオ)は牧歌的な踊りを彷彿とさせる。
最終楽章では弾けるような遊び心に加え生き生きとした疾走感のある音楽で曲を閉じる。

この曲には長くとられた旋律や展開部での意外な和声の動きなどロマン派時代の傾向がいくつか見られるが、本質的にはそれ以前の、形式と和声が明瞭なよりシンプルな時代への回帰である。

グノーはこの作品において何かのテーマに頼ることなく、聴き手に楽しさや喜びを提供することを意図して作曲したと考えられる。
そのため広い層の聴衆に親しみやすく、またグノーが持つ優れたオーケストレーション能力や色彩豊かなメロディ作りの技術を感じさせる魅力的な作品となっている。(山内 花)

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