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地方貴族の愛したハルモニームジーク④モーツァルト「セレナード 変ホ長調 K.375

こんにちは、内田夢美(https://x.com/yumemi_uchida)です。
山梨に移り住んで、5年目。
ぶどう農家を営みつつ、
オーボエの演奏やレッスンなどの音楽活動をしております。

はじめに

2025年1月10日(金)18:30からYCC県民文化ホール(甲府市)にて
『地方貴族の愛したハルモニームジーク』を開催致します。


開催に先立って、曲目解説をアップしていきます!
本日はこのコンサートのメイン、「セレナーデ 変ホ長調 K.375」について。

出演者である、ホルンの山口敬太郎さんにご寄稿いただきました。

セレナード 変ホ長調 K.375

セレナードの「セレ」というのは、黄昏とか夕方という意味で、セレナードという演奏形態も、元々は夕方や夜に敬愛する人の自宅の窓の下など、屋外で演奏されるものであった。
それは次第に、当時の貴族や富豪達の誕生日或いは結婚の祝いなどの機会に、邸宅の広間で演奏されるようにもなっていった。
当時の作曲家達もそうした依頼の為に、こぞって作品を作っていた。

祝宴は依頼者の要望に応えるべくして作られているので、その音楽の内容も実に多岐にわたり、楽器編成も楽章の数も様々で、中には8つの楽章を擁し、演奏時間も1時間を超えるような巨大な作品も存在する。

今回の演奏会で取り上げるセレナードは、当時とても流行していた8つの管楽器の編成で書かれている。管楽器の合奏はとても手軽に音楽が楽しめたせいか、オリジナル作品の他、オペラやそれ以外の、例えば当時の巷の流行歌などを編曲して演奏されていたりと、これは今日の日本全国で、吹奏楽のコンクールや演奏会が盛んに行われているのと、発想が似ているようにも感じられる。

モーツァルトは、この作品をはじめは6人の編成で1781年10月に作曲したが、翌年7月にウィーンで、オーボエ2本を追加した八重奏の編成に書き直した。
モーツァルト渾身の、当時の吹奏楽作品を是非とも堪能していただきたい。

第一楽章 アレグロ・マエストーソ 変ホ長調 4/4拍子 ソナタ形式
当時はセレナード本編の演奏前に行進曲を演奏する習慣があったが、この曲では最初の楽章に行進曲風な要素を盛り込み、行進曲を省略しても問題ないように書かれている。
堂々とした始まり方が印象的な楽章。

第二楽章 メヌエット 変ホ長調 3/4拍子
中間部のトリオはハ短調に転調し、そのコントラストが楽しめる。

第三楽章 アダージョ 変ホ長調 2/2拍子 展開部のないソナタ形式
オペラの登場人物達が言葉を交わすように、各楽器が織りなす旋律が美しい。

第四楽章 メヌエット 変ホ長調 3/4拍子
中間部のトリオは変イ長調に転じている。多楽章のセレナードには、複数のメヌエットがよく存在する。

第五楽章 アレグロ 変ホ長調 2/4拍子 ロンド形式
明るく華やかなフィナーレ。
(山口 敬太郎)

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関連note

今回のコンサートの関連noteは、こちらにまとめてあります。


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